映画『茶飲友達』クリエイターインタビュー02
映画のスチールを担当し、official photo&book「family face」を彩る数々の写真を手がけたフォトグラファーの松井綾音さんに、ご自身のキャリアや映画について、そしてまもなく開催される映画『茶飲友達』公開記念写真展についてうかがいました。
-- 松井さんのフォトグラファーとしてのスタートと、現在のお仕事について教えてください。
松井 映画の現場でのスチール撮影を担当することが多いですが、取材でポートレートを撮ったり、アパレルファッション関連の商品写真を撮影することもあります。基本的には人を撮ることが多いですね。
カメラを始めたのは家族写真を撮るためでした。兵庫から上京して20代前半はバイトを掛け持ちする日々だったのですが、写真を撮ることを趣味で終わらせたくないと思い、都内のスタジオにて勤務し、アシスタントをして撮影の基礎を学びました。その後、独立して今年で4年目になります。
-- 今作『茶飲友達』のスチール担当になったのも紹介からということでしたよね。
松井 はい。監督がスチールを探している時に、出演されている役者さんからご紹介いただいたということで、ご指名いただいて現場に入るのは初めてだったので、見つけていただいてありがとうございますという思いです。
-- 撮影現場はいかがでしたか?
松井 現場に入る前、クラウドファンディングのサイトに掲載するためのスチール撮影でキャストの皆さんにはお会いして撮影もしていましたし、映画のリハーサル現場も見に行ったので、キャスト・スタッフの皆さんとの距離は近くなれた状態で撮影現場にのぞめました。寒い中でしたが、ワンカットワンカット充実していて、撮りたくなる場面が沢山ありました。
-- 撮影にあたって役者さんとコミュニケーションを取ることは大事ですか?
松井 作品性にもよりますね。茶飲友達でいうと、台本を頂いて読んだ時に家族の写真を撮りたいなと思ったんです。そうなると、関係性は近い方がいいかなと思い積極的にコミュニケーションを取るように心がけました。
-- 松井さんの目には『茶飲友達』のキャストはどのように写っていたのでしょう。
松井 ワークショップや撮影前のリハーサルも経て、映画に出演されている方々はとにかく皆さんパワフルでとてもフレンドリーでした。その姿を見て、私もより良いものを撮りたいと、頑張ろうという気持ちが湧きました。
-- シリアスなシーンも多い作品ですが、撮影に際して心がけていたことや、松井さんなりの距離感はどうされていましたか。
松井 本編の撮影の邪魔を絶対しない事を心掛けてます。これは、当たり前のことなのですが、シリアスなシーンは特に。
現場に入ると、役者さんはその場に存在するだけでその役の人そのものになっているとおもいます。なので、本番以外のところでも、撮影する事はあるのですが、やはり本番中が一番素晴らしい表情をみせてくれます。映画のスチールは、映画の素晴らしいところを宣伝したいので、本番中の写真も撮影させていただきます。本番中は特に、役者さんの邪魔にならないように、かつ良い画角で撮れるように、段取りから全て見て現場にずっといるように心がけて居ました。
『茶飲友達』では、印象的なシーンがいくつもあったので全シーン撮影し、全キャスト撮影させて頂きました。
-- 主演の岡本玲さんはどんな印象でしたか?
松井 今回が初めましてだったのですが、気さくで、周りをよく見てくださっていて頼りになる、お姉さん的な存在です。私のことも気にかけてくださったり、岡本さんと会ってお話しすると、自己肯定感がぐっとあがるんですよ。
-- 12日からは映画の公開記念写真展も開催されますね。いかがですか?
松井 毎回、現場に入る時は写真集を作る気持ちでのぞむので、とても嬉しいです。映像とまったく同じものを撮るなら、映画の映像の切り抜きでいいわけですから、別の視点からこの作品の世界観を写すことが出来て、それを見ていただけるのはありがたいことだなと思います。写真展では役者さんの顔、素敵な表情を見に来ていただきたいなと思っています。
-- 今後の活動も含めて、松井さんがこれから撮りたいものについてお聞かせください。松井 私が撮った写真を見て、「この人のこと好きかも!」って思ってもらえるような写真を撮っていきたいです。そして、撮られている方自身にも、「楽しい!」と思ってもらえるような、10年後20年後に見て、思い出せるような、その人自身の「記録」を残していけたらな、と思います。