日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
舞台を観に行く時に忘れてはいけないもの。
それは……チケットである。なにはともあれ、チケットなのである。
私の場合、眼鏡も必須だ。
でもとにかくチケットは絶対なのである。
先日、免許更新に眼鏡を忘れた私は、今日、改めて更新に行くことにしていた。
朝、「眼鏡を忘れないようにね」というやりとりをした。
そして今度は観劇に出かける夫に玄関で「眼鏡持った?」と確認する。
「忘れた」
おいおいおい、自分で私に言ったばかりで、そちらが忘れているとは。
そんな平和なやり取りの朝だった。
出かける準備をそろそろしようかと思っていたタイミングでLINEが届く。
「チケット忘れた」
その短い一文は絶望の色をしている。
普段滅多に使うことがない落胆のスタンプもついてきた。
そうは言っても、まだ、第二部、第三部がある。
私の出かけついでに、チケットは駅で受け渡すことにした。
私は私で、今度こそ眼鏡を忘れないで、その他の持ち物の確認もして駅へ向かった。
「サイアクダ」という空気を身にまとった夫と、昼ご飯を食べてからそれぞれの目的地へ
改めて向かうことにした。
普段は何が食べたいかを聞くと、割りと私の出方を待つタイプの夫だが、
「どこで食べる?」と聞くと、短く答えて上りエスカレーターに乗る。
ランチは回転寿司になった。
「やけ回転寿司だ!」
気持ちはよーくわかる。文句なくその自棄回転寿司に付き合うことにした。
やけは自棄と書くらしい。
気持ちがよーく表されている。そしてタッチパネルでポチポチしながら、
まだ混みあう前の回転寿司店でランチをした。
さあ、切り替えて、第二部、第三部を楽しんでいってらっしゃい!
回転寿司で気持ちがよっしゃと切り替わったとは言い難かったけれど、
むしろ第二部、第三部があるのだからよしとするべし。
そして私は考える。どうすればこの絶対に真似したくない「チケット忘れ」が防げるのかを。
今のところ、声掛けしかなさそうだけれど、自分のためにはどうすればいい?
アラーム? 手帳をチェック?
ほんの10日前、免許更新に眼鏡を忘れた身としては、ちょっと他人事に思えなかった。
ひとまず、自分がそうなったときは自棄になって何を食べようか?
というのは考えないことにしておくことにした。