日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
高校生からのつきあいの友人との山梨旅を短期集中連載。電車の発車時刻までの間に山梨の人の優しさに触れたという話が前回。
全国旅行支援がスタートして、週末のお宿は比較的埋まっていた。紅葉にバッチリのタイミングだからなおさらだろう。
選んだお宿は石和温泉駅から徒歩15分くらいの昭和52年創業の温泉旅館。和室10室という小ぢんまり感がむしろいいなと感じた。
館内は昭和レトロな雰囲気で……と公式サイトか口コミかで書かれていた。
昭和レトロ。このお宿より歳上の私たちも十分に昭和レトロということになるか。
今回一緒に旅をした友人は、とびきり童顔で高校時代からそれは全く変わらないので、昭和レトロだなんてね、とも思うが、まあ同級生というものはいつの時代も、この先も変わらないのだよね。
アメニティや館内設備が女性ウケする、みたいな宿ではないこともあってか(失敬)、この日は女性の宿泊客は少なかったようで、お風呂は夜も朝も貸切状態でサイコーだった。
山梨の温泉旅館と言えば、その昔、旅行会社で働いているときに、学生時代の友人グループと温泉旅行に来たことがあった。
離れのあるお部屋に案内され、それはそれは贅沢な経験。桃の食前酒が美味しくて、追加で頼んで飲み過ぎる……みたいな、若気の至りもあったっけ。
そうした記憶と共に強烈に覚えているのは、その時、その日がサッカーW杯の出場を決めたあの「ジョホールバルの奇跡」の日だったということ。
当然のことながら熱狂して見て、大騒ぎしたのだが、お部屋が離れだったので叱られずに済んだ。
今年はあれから何回目のW杯なのだっけ?
…………。
さて、話を戻そう。
今回泊まった温泉宿は、鴨鍋が名物とのこと。
鴨すき焼き鍋か鴨みそ鍋を選べた。私たちは後者を選択した。
お料理はどれも美味しく、鴨みそ鍋も味が濃すぎることなく、とてもいただきやすい。
天ぷら盛り合わせの中に、めずらしい鴨のささみの天ぷらがあって、二人ともこれが一番おいしくて印象に残った。
美味しく楽しく食事を済ませ、夜はお部屋でまったり。
久しぶりの旅行でウキウキしておやつを買い込んで持参していたが、お部屋で飲み直すこともなければ、おやつをつまむこともなかった。
こういう配分、覚えておこう、などと思うのも旅が久しぶりな証拠だ。
天気予報で明日は雨。気温も下がると予報されているがどうだろう。
そうして山梨の夜は更けていった。
(つづく)