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この冬、グレーがやってきた

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

自他共に認める緑(色)好き。
着る服も、グリーン、カーキ、ブラウン、マスタードなどアースカラーが多い。
モノトーンはワードローブにも少なく、黒は自分の色じゃないという意識だった。
その代わりグレーは、手が出せる色、そんな感じだ。

2021年冬、グレーに縁がある。
一つは、先日作品展をレポートした水墨画家、荒井恵子さんとの出会い。

荒井さんの作品をフィーチャーしたカレンダー製作のお手伝いをした。
12カ月分の作品をピックアップして、ここに少し解説を加える。
作品の力があるから、詳細な文字情報はいらないけれど、
カレンダーは毎日目にするものだから、言葉が作家の思いを補完したり、見る人の思考を広げてくれるかもしれない。

荒井さんからお話を聞いて、わずか130文字程度の言葉にまとめるお手伝いだった。
少し、詩のように書かせてもらった。


こういう仕事は初めてだったと思う。作家の思いだからクレジットはない仕事だけれど、
クリエイティブなものに携われて、形になって嬉しい。
非売品の予定だったけれど、よい仕上がりだからと作品展で限定販売された。
受付の方に、「カレンダー売れてますか?」とたずねたら、限定品が残り4部とのこと。
印刷会社の担当さんに報告したから、もしかして補充されているかも。

もう一つは、ミュージカル『GREY』。
パンフレットの編集を手掛けた。
作品の世界観を打ち出しながら、観劇の前も後もページをめくりたくなるものにすること。
プロデューサーの頭の中を覗かせてもらい、アイディア出しをしながらページ構成をまとめる。
観客目線、ファン目線も考えられるのは、私自身が観劇好きで、パンフレットをたくさん目にしてきたからこそだと、ここは自負している。

話が少し逸れたが、『GREY』という作品は、作者の板垣恭一さん曰く、
黒と白の間にあるグレーには、濃いものもあれば、薄いものもあって無限。黒と白、ネガとポジの間には、いろんな感情がある。(感情だけでなく)


表題曲「♪GREY」の歌詞に
無限の灰色をどう捉えるのか
絶望と見るのか
希望と見るのか

というのが出てくる。
グレーってなんて深くて、懐が深いのだろうと心が満ちる思いがした。

墨を扱う荒井恵子さんも、墨の濃淡は、本当に無限にあって、墨の摺り方、水、紙、温度、筆、もちろん腕も、いろいろなものに作用して一つとして同じではないと教えてくれた。
墨を摺ることは、呼吸と向き合うことだとも。

多様性を表では謳う割には、マウントをとりあったり、~べきと決めつけたり、自分にも他者にも不寛容なことは多い。
私自身も何が出来ているわけではないけど、
寛容さについてこの頃よく考える。

この冬、私にとってグレーは、懐が深くて、とても好きな色の一つになった。