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クリスマスプレゼントの選択肢②

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

クリスマスプレゼントにまつわるほとんど唯一の記憶を書いた。

クリスマスプレゼントの選択肢①日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。 クリスマスのエピソードがSNSにあふれる今日明日。 どうにもあったかい記憶は見当たらないなか、絞り出すように思い出したクリスマスプレゼントの話のその①...

するともう一つやけにはっきりと思い出したクリスマスプレゼント「ザ・おもちゃ~ゲーム」の記憶。
それもやっぱり兄がやけに誘導していた。
迷っていたのは「クイズダービーゲーム」、「アスレチックランドゲーム」の2つだった。

「アスレチックランドゲーム」は、銀玉をスタートからゴールまで、落とさないように時間以内に運ぶゲーム。
トライアングルのような二本の銀のレールを開閉させながら運んだり、ゴールまでは簡単に運べないのかハラハラドキドキ……みたいなやつだった。
鮮明に憶えているので、おもちゃ屋さんで見たとかだけでなく、実際にどこかで触ったりもしたのだろう。
本気で欲しがっていた。
昭和にヒットしたこのゲームは令和に復刻という形で、現在タカラトミーから発売されているようだ。

もう一つは「クイズダービーゲーム」。
TBSの長寿番組として放送されていた「クイズダービー」をゲームにしたものだった。
一枠は篠沢教授、二枠は女優の長山藍子さん、三枠は漫画家はらたいらさん、四枠は三択の女王竹下景子さん、そして五枠はゲスト。
もうスラスラと書き出せるところを見ると、かなりよく見ていたのだろう。

迷って迷って、結果、「クイズダービーゲーム」をセレクトした。
理由も覚えている。
兄が、「アスレチックゲームは攻略しちゃったら面白くなくなっちゃうけど、クイズダービーゲームならみんなで出来るし、飽きることはないんじゃない?」と言ったのだ。

「あそっか」が口ぐせの末っ子は、「あそっか」と言ってそれをリクエストした。
ゲームの遊び方は、
①問題文と5人分の倍率が書かれたカードを5つのスロットの下に挟み込む。
②司会者役が問題を読み上げる。
③参加者役が正解者を予想して金額を賭ける。たしか人生ゲームのようにお金もついていたような……。
④スロットを回して回答モニターの扉を開けるとそこに数字が書かれているので、正解に賭けた人が倍率分の金額をもらえる。

たしかこんな感じだった。
実際の番組では、倍率の低い知識人に賭けるか、大穴狙いでいくかみたいな、まさにダービーを楽しむクイズ番組だったわけだが、ゲームは結局、すべて三択(四択だったか?)で、あとはスロット次第だから時の運で決まる。

最初の頃は真面目に問題文を読んでいたけれど、慣れてくると
「問題関係ないんだよね」となり、読み上げなくなったのではなかったか。
でも司会者役をやりたくて、
「倍率は5、8、3、4、6!」なんて、大橋巨泉さんを真似ていた。
最終問題になると「さらに倍!」というのがお約束で、それも真似ていた。

読むのが楽しかったのか、仕切るのが楽しかったのか、
お金の計算をするのが楽しかったのか、その時の感情はもう覚えていない。
家族ともお友達とも遊んだ記憶はうっすらとある。

そして、このゲームで一番印象に残っていることと言えば、
回答者のイラストに描かれている名前だった。
見た目はなんとなく篠沢教授とかはらたいらさんなのだが、
肩書は「大学教授」「漫画家」「女優」みたいに書かれていた。
子ども心に、「まあ、ここには実際に番組に出ている人の名前は書けないよね。出演者は変わるかもしれないしね」と妙に冷静に納得していた。

一人遊びも好きだったので、このゲームの元を取るくらいはしっかり遊んだことだろう。
実は買ってもらったおもちゃの部品を無くしたり、すぐに飽きてないがしろにしている友達を見ては、小さく軽蔑していた。
「私なら大事に長く遊ぶのに……」と。

そう考えると、意外と幼い頃からモノと向き合っていたのだな、などと思うクリスマス。
「飽きたらちゃっちゃと手放せばいいんだよ」とは言いたくない自分がいるのは、案外こんなことが理由なのかもしれない。
(おわり)