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はじめまして黒アヒージョ

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

名物にうまいものなし、なんてことわざがあるけれど、土地の味を実は知らないってこともよくある。
私が暮らす千葉県はなかなか広いので、実は行ったことない場所も多いし、
知らない味もたくさんある。

理由あって毎週通っている千葉のある町は、車で30分もかからず太平洋を見に行ける場所だ。
そんなわけで久しぶりに九十九里を訪れた。
目的はサンライズ九十九里という国民宿舎での昼食。

お目当ての御膳を注文して美味しく食べたのだが、メニューの中に気になるものがあった。
【九十九里浜黒アヒージョ】とある。1日限定10食、1200円なり。

黒アヒージョとは最後に醤油で仕上げるアヒージョで、千葉県イチ押しのメニューらしい。
ほーら、もう全然知らないことが出て来た。

どこからどう見てもお酒に合うメニューという感じだけど、せっかく来たのだからという好奇心が勝って、注文してみた。

アヒージョといえば、直径10~12㎝程度の小さいスキレットで提供されるのだとばかり思っていた。
だから割高だと思うけど、記念だから、ネタだから……なんて言っていたのだ。

しかし、テーブルに運ばれてきたのは、スキレット(大)だった。
御膳でしっかりお腹は満たされていたので、もうここからは食レポに徹することにしよう。

この【九十九里浜黒アヒージョ】には、その名の通り九十九里名物がもりもりっと盛り込まれている。

・サンライズアボカドポークベーコン(千葉県産)
どうやらアボカドサンライズポークという豚肉が県内で生産されているらしい。

・いわし丸干し(九十九里産)
これは知ってる。そして歳を重ねて、いわしの丸干しってクオリティ高いよね、おいしいのはおいしいよね……ということも知ってる。

・ながらみ(九十九里産)
貝好きの私としては、ながらみも大好き。楊枝を使ってちゅるんとうまく中身を取り出して食べる自信がある。

・葉たまねぎ(白子産)
どこにでもいつでもあるものでもなく、たぶん都内とかで買ったら高いのではないかな。義母宅近くのスーパーなら新鮮でおいしいのが手に入る。辛味が少なく、実がやわらかく、炒めてもぬたで食べるのもいい。

・菜の花(房州産)
こじゃれた小料理屋さんでメニューにおひたしとかあったら頼みたくなっちゃうやーつ、だけどいつも内心、地元なら安いのになぁと思っていた。そのせいか売っているのをみかけるとよく購入する。納豆についていたカラシを消費できるチャンス!と思ってからし和えを作る。

・銚子ぬれせんべい
千葉のおみやげにとことん困ると、全然地元じゃないのにこのぬれせんべいを使わせてもらっている。私はそもそも湿気たせんべいが好きな子どもだったから、これも大好き。いまや銚子ぬれせんべいはブランド化していて有名だ。

と、なぜか食材ひとつひとつをボリューミーに語ってしまったが、それらが全部乗せされたのが
【九十九里浜黒アヒージョ】だった。
ベーコンでいわしの丸干しが巻かれていた。
写真を見た友人は「ちょっとグロテスクだね」と言っていたっけ。

驚いたのは、丸干しが6匹も入っていたことだ。なんならもう一回り小ぶりなもので良かったよ。でもきっと、インパクトを狙ったよね。
それと、これをメインのおつまみにしながらお酒飲んだり、それこそアウトドア料理として楽しむにはもってこい! なのだろうな。

ごめん、ボリュームたっぷりのいわし御膳を食べちゃってたからね、私は。

さて、食べ方である。
ぬれせんべいを適当にちぎって、グツグツと10分くらい煮立たせたら、ニンニク醤油を回し入れて出来上がりだと説明してくれた。
しかし、ニンニク醤油は入れすぎないように、少量ずつ味を見ながら入れるように再三言われた。
ドバドバ入れて大変なことになってしまったお客さんが多いのだろう。

大丈夫、私たちはお酒も飲んでいないし、そもそもお腹がいっぱいなんですもの、慎重にやるわ! と心の中でウインクして、グツグツとアヒージョが食べ頃になるのを待った。

そもそもやわらかい菜の花や葉たまねぎは、かなりクタっとしてしまい、存在感が薄くなる。
ちょっともったいないかも。
ながらみは、オイルから取り出したタイミングでは殻がアツアツなので要注意。

そして、いわし丸干しは最強だということに気づく。
あまり放っておくと内臓が破裂してパチンとはねるので、ころあいを見て小皿に取るべし。
いわしとオイルはそもそも相性がいいので、丸干しが入ったアヒージョは、なるほど納得。

ぬれせんべいはと言えば、これ、濃い口味をセレクトしていると思うけど、これはうす口か、甘口でもいいぞ、きっと。

そんなことをもごもご食べながら思いつつ、横を見れば目の前に広がる海。
「あー、宿泊できるなら、諸々気にせずお酒飲みながら食べられるのになぁ」
とこれも心の中でつぶやいた。