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ないないないなのお正月

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

正月返上で働く姪っ子(一番上)を除く総勢10人が集まり、毎年恒例、わが実家での新年会が催された。
写真は姪っ子(真ん中)がデコレーションした、元日生まれの母のためのバースデーケーキ。スポンジは既製品だけど、間にキウイとイチゴをはさんだ食べやすいケーキに仕上がっていた。
お節第一弾を食べ終わってまったりしている間に、台所でひょひょひょいと手際良く準備してくれた。
86歳になった母は、細い5本のロウソクの火を吹き消すのに難儀していたが、あえて誰も手伝わないところに一族の血をみた気がしたのは、大袈裟だろうか。

お開きとなり、お正月ダイヤにより終バスを逃した私たち夫婦は、次兄の運転で自宅まで送ってもらうちゃっかりぶり。
帰宅して夫が定位置管理の棚に、時計、小銭入れ、財布を置こうとしたところで、長財布がないことに気づいた。

ここからしばし、細かすぎる正月早々の探し物騒動記にお付き合いいただこう。
夫はその日、長財布を尻ポケットに入れていたのは、昼間どこかのタイミングで私も目にしていた。

ないないと焦る夫に、「上着のポケットは? 確実にあったと覚えているのはどのタイミング?」などなど聞いてみる。
一方が焦れば、他方は冷静になる。そういうものだ。
どこかで落とした、忘れたとしたら、候補はいくつかある。

その1  実家
この日最も長い時間を過ごした場所だ。夫はほぼ同じ部屋にいた。

その2 次兄が運転した車
夫は後部座席に座った。時間にしてわずか10分。

その3  わが家が借りているレンタカー
新年会でお酒を飲むために近隣に駐車している。その日の昼、年賀の荷物を実家に持っていくために夫が運転した。

その4 実家の車
年賀を先に持参し、帰りは夫がレンタカー、私が実家の車を借りて連ねて一旦戻り、その後、夫を助手席に乗せて実家へ戻った。新年会でお酒を飲むための策。

とりあえず夫は、近くのパーキングに駐車しているレンタカーに財布を探しに行くことにした。私は各所に連絡を取るから、スマホはマナーモードじゃなく、すぐ気づいて出られるようにしてねと、一言添えた。

ここからの連携プレーが気持ちよかった。

1.私が実家に電話。長兄に状況を伝える。すると次兄一家は、たった今、皆で実家を出たところだということで、長兄から姪っ子たち宛に連絡して車の中に財布がないか確認してくれることになった。

2.結果、次兄レンタカーの中には財布はなく、実家で見つかれば戻ってピックアップし、わが家に届けるよ……という算段を立ててくれたという。

3.焦ってパーキングに向かった夫に、途中経過を伝える。

4.しばらくして、実家の母からの電話が鳴り、夫の財布は無事見つかった。その日、長時間座っていた椅子の薄いクッションの下に隠れていたそうだ。

ああ良かった。そこからは、逆回転みたいに、

5.夫へ報告の電話。ホッとした夫は今にも財布を取りに私の実家へそのレンタカーで向かいそうになったが、慌ててちょっと待機を要請する。

6.そして、姪っ子に連絡をすると、実家へ取りに戻り、わが家へ届けてくれると言ってくれた。「もう戻りかけてるし、まだ全然近くにいたから気にしないで!」とありがたすぎる神対応。

7.それを伝え、夫には急ぎ自宅へ戻るよう告げた。

年賀の交換は日中したので、御礼の気持ちで用意できるとしたら、愛媛から年末に届いた抜群に美味しい紅まどんなくらいだなと、紙袋に詰めて準備し、車を待った。
少し時間を置いて夫が超息切れしながら戻ってきた。息切れするほどには時間が経過していたと思うが、夫は夫でコンビニでとりあえず何か御礼の品をと、お菓子だのなんだのを選ぶのに迷っていたそうだ。
基本的に真面目な人なので、これかな?これじゃないほうがいいかな?と悩んでしまったらしい。その様子が目に浮かんだ。

8.そうして、次兄一家の車がわが家前に到着した。紅まどんなと、コンビニお菓子あれこれを渡して、5人に何度もお礼を言って、見えなくなるまで車に向かって手を振った。

この間、約30〜40分といったところだろうか。新年早々、財布を無くした、落として出てこない……なんてことにならなくて良かった。
ホッとしてどっと疲れて、やっとひと息ついて正月2日が終わった。

この連携プレーが一族の何か、だったかはわからない。
自覚できたことといえば、結局私はちゃっかりの末っ子ということだろう。