クリッセイ PR

秋の安芸たび④_心ゆくまで「めし」尽くせ!

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

何十年ぶり過ぎてほぼ初、みたいな状況で広島に行ってきたのは昨秋のこと。
ホテルの大浴場のタオル&スリッパ問題を考え尽くした!? のが前回。

秋の安芸たび③_心ゆくまで「はき」尽くせ!日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。2024年11月に訪れた秋の広島・宮島の旅をつづるシリーズその③。大浴場で経験した履き物のお話。 ...

ホテルのオプションの「嚴島神社ナイトクルーズ」に参加予約していた私たちは、大浴場でひとっ風呂浴びた後、部屋に戻り今夜の夕食を考えた。
宿泊は夕食付きにしていなかったが、大きいホテルだし、何かしらの食事にはありつけるだろうと思ったのだ。

Cさんがフロントで「夕食を食べるなら……」について聞いてくれた。
まずはじめに聞かされたのは、今夜は予約でいっぱいなので館内の飲食施設に飛びこみで入ることは出来ないということ。
どうやら団体客も入っていたようだし、週末に向けてのシフト調整なのか、館内の施設はそもそもクローズにしている箇所も多かったようだ。
秋の安芸の宮島! を考えれば、そして働き手のことを考えればそれもまあ不思議ではない。

売店で何か軽食のようなものが買えるんじゃないかな……とお風呂上がりにのぞいてみたものの、お土産品は充実しているが、サンドイッチやおにぎりのような軽食は売ってはいない。
おつまみっぽいものは結構あったけれど、Cさんはお酒を飲まないし、
私たちはナイトクルーズを控えている。お酒とおつまみでお腹を満たそうなどという案は浮上すらしなかった。

ロビーラウンジなら基本的にはなにかあるよね? と思って確認するも、午後はアフタヌーンティーを提供しているけれど、それも17時でクローズ。

さあ、どうする?
そしてこの辺りでCさんが「ごはんが食べたい! 白米食べたくないですか?」とアナウンスをする回数が増えた。これを「安芸のごはんスイッチ」と名付けよう。
Cさんは、その日の昼食のお好み焼きは完食できなかったし、そういえば前の晩も今朝も「おにぎり」でパワーチャージをしていたっけ。お米、大好きなのだそう。
「安芸のごはんスイッチ」にエンジンがかかり、私たちは夕飯をホテル外で食べることに決めた。
JR宮島口駅周辺には飲食店が数多くあったことは行きに確認している。
駅からは送迎バスで5分程度で宿に到着していた。

ふたたびフロントでCさんがたずねてくれる。
「夕食を外で食べたいのですが、この辺りだとどこかおすすめはありますか?」
するとフロントの若いスタッフさんは、小さな周辺マップを広げた。
ちなみに私たちがGoogle Mapで検索する近くの和食屋さんは、たいていホテル内のレストランだった。

フロントのスタッフさんはこういった。
「歩いて行ける距離だと、ガストとかマクドナルドが2号線沿いにあります」
いやいやいやいやいや……
わかりやすいツッコミのお手本みたいにCさんと私は「それはないわー」となる。

しかしこうなると私たちは是が非でも夕食を食べたくなる。
だって、ナイトクルーズに行って、その後ふたたび温泉にゆっくり浸かって、明日の朝まで何も食べないなんて選択肢はないじゃあないか。
Cさんの「安芸のごはんスイッチ」のエンジンはかかってしまっているのだもの!
もちろん私も。

よし、駅周辺まで行って、そこでしっかり「飯」感のあるものを食べよう!
定食屋さんみたいなところに入ろう。なんとなくいいなと思える店が2つある。
それは行って様子をみて決めよう。そういうことになった。

JR宮島口駅⇔安芸グランドホテルの送迎バスの時刻表をチェックすると、駅発の最終は19:00であることがわかる。これに乗って戻ってくれば、ナイトクルーズの集合時間にも十分に間に合う予想がついた。
そして、私たちは17:40ホテル発の送迎バスに飛び乗った。

そして入店したお店は「和伊菜 ふじの屋」。
口コミの評価が良かったことと、ほかに気になっていた店は居酒屋感が強かったこと、そして店名の和伊菜が決め手になった。
ちなみにこちらのお店こそ、お料理とお酒をゆっくり楽しむタイプのお店だったわけだけど、その日その時の私たちはなにせ「安芸のごはんスイッチ」が入った状態。
ここでアクセルをブイーンとふかして、前のめりで入店した。
先客は1組。常連らしき方がカウンターでゆっくりされていた。

この日のすばらしきメニューはコチラ。

私たちがオーダーしたのは、
・ミヤコ貝煮付け
・四川麻婆豆腐
・小海老入り蓮根まんじゅう
・さつま赤鶏炭火焼き
・湯ドーフからのチーズリゾット

そして「白飯」。
Cさんは堂々たるテンションかつ清らかな声で「それから、ご飯ありますか?」と言った。
一瞬、はて? となる奥さま。ご主人はあの名作ドラマの田中要次さんばりのテンションで「ありますよ」と答えてくれた。
アクセル全開のCさんは、「え? 栗原さんはいいんですか?ごはん。食べたくなりますよ」とめっちゃいい笑顔。
私は大丈夫……と笑い、そこから全速力で夕飯を楽しんだ。
この段階で私はすでに気づいていた。末っ子でいざとなるとアクセルを踏めないタイプの私と、面倒見のいいお姉さんで、しっかり交渉できるCさん。
そうなると、ちゃっかりな私は、「この後、船に乗るけど1杯くらいなら平気だよね?」と生ビールもオーダー。
しかも自分は写真を撮ってもらっておきながら、Cさんを撮らない不親切さ。反省。


「ミヤコ貝の煮付け」は、貝に目がない私のオーダー。
楊枝をポキポキ折りながら、くるんっと中身を取り出しておいしくいただいた。


「小海老入り蓮根まんじゅう」は柚子胡椒がきいていて、とっても美味。
私たちがオーダーした後から来たお客様も注文していて、黒板に書かれたメニュー名はあっという間に消された。


「お店での料理写真って、最初は1品ずつ撮っているのに、気づいたら後半撮り忘れるよね」
たしか、前日もそんな話をしていたし、これってあるある……だと思うが、この日もまんまと料理写真はここまでしか撮っていなかった。

理由は明白。
お料理がおいしくて夢中だったことに加え、私たちには時間が迫っていた。

「四川麻婆豆腐」は、しっかり痺れる花椒がきいていて、ご飯に合う味。
そう、ここで白米が登場! 私もちゃっかりお裾分けしてもらい、いただいた。
この時のCさんの超満足気な顔を写真に撮らなかったのは最大の後悔。
「やっぱりお米が一番!」と、CMみたいにコメントも表情も決まっていたのだから。
お店の方に感想を伝えると、「それはよかった」とはにかみ、提供いただいたのは地元の新米だと教えてくれた。

周りのお客様がゆっくりお酒とお料理を楽しんでいる中、私たちは法定速度を完全に守らずアクセルをさらに全開。
「湯ドーフからのチーズリゾット」
が来ると、あっという間に湯ドーフを取り分け、余韻なくチーズリゾットをリクエストした。

駅前からの送迎バスの最終は19時。お店から1分もあればたどり着く場所だが、こんなに慌ただしいこともなかなかない。
でも気分は最高だった。
私はちゃっかりビールを飲んじゃったし、Cさんは念願のおいしい白米に出会えたから。

旅ってこういうのが楽しい。一人だったら「まあいっか……」となっていたかもしれない。
さすがにチェーン店やファストフードには行かなかっただろうけれど。

お店の方にたっぷり感謝を告げ、私たちは店を出た。
そして見事にJR宮島口駅からホテルへの最終の送迎バスに乗り込むことに成功した。

ちなみに、翌朝はホテルで朝食を美味しくいただいた私たち。
お粥をメインに、その場で握ってくれているおにぎりもしっかり食べた。
「やっぱりお米を食べないと!」
Cさんの清らかで元気な声に、大きくうなずいてバイキングのお盆をにぎやかにした。


(宮島での神事に遭遇の巻につづく)

和伊菜 ふじの屋

住所/廿日市市宮島口1-3-31
営業時間/17:00~23:00(L.O22:30)
定休日/日曜日と第1・第3月曜日

写真/Akiko Kurihara、Chikako Matsuura