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「ペリカンのパン」きっかけのプチ逡巡

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

わが家にはパン切り包丁がなかった。
理由はシンプルで、なくてもなんとかなったから。食パンは切れているものを買うし、カットして食べるバゲットは私は大好きだけど、
そうでもない人がいるので実は登場回数が少ない。でも実はパン切り包丁には憧れがあった。
どうせ購入するならいいものをと思っていた。
こだわりの包丁を販売している場に出くわして、
試し切りなんかをさせてもらったことがあって、
「うう~ん、いい~」と気持ちよくなったことがあったからだ。
丁寧な暮らし風への憧れもあっただろう。先日、このクリッセイでも書いたように、ペリカンカフェに行った帰りに、
ペリカンのパンを購入した。
1.5斤を購入して、意気揚々と帰宅したのだ。

ここで気づく。わが家にはパン切り包丁がないことに。
冷静に考えれば、これまで通り、普通の包丁で切ればいいのだろう。
しかし、私ははっきりいってペリカンのパンフィーバーだった。

あの美味しいパンをようやく買えて、家で食べるというのに、
パン切り包丁で切らないなんてことがあっていいのか!?

とてつもなくヘンなゾーンに入っていた。
でもせっかく買うならこだわりのパン切り包丁がいいんだよなぁ。
でも、パンは美味しいうちに食べなくちゃもったいないよなぁ。
パン切り包丁なんて、もうこの先買い替えることは絶対ないぞ。
いや、むしろこの先、使う回数なんて限定されているぞ。
これを機に食パンはカットされていないものを買う派になるのか。
そういえば先週、徒歩圏内に高級パン屋さんがオープンしたんだよな。
いや、でもこの土地であの店が長続きするわけないよな。ヘンなゾーンに入った私は、パン切り包丁のことばかり考えていた。
そして、私は、義母宅のある町のスーパーで、普通のパン切り包丁を購入した。なんか負けた気がした。
いや、そんなことはない。ちゃんとその包丁も包丁と言えば……メイドイン新潟のメーカーのものだしさ。

ゾーンに入りながらもどこか冷静さもあって、優先順位をつけていた。

せっかく買うならこだわりのパン切り包丁がいいんだよなぁ→それはなんか見栄だな。
でも、パンは美味しいうちに食べなくちゃもったいないよなぁ→それは絶対!
パン切り包丁なんて、もうこの先買い替えることは絶対ないぞ→知ってる。
いや、むしろこの先、使う回数なんて限定されているぞ。→だから知ってるって。
これを機に食パンはカットされていないものを買う派になるのか。→ならないかもしれないけれど、パン切り包丁があるなら買いたくなるかも。
そういえば先週、徒歩圏内に高級パン屋さんがオープンしたんだよな。→1回くらいは買うかもしれないけど。
いや、でもこの土地であの店が長続きするわけないよな。→それはかなりの確率だと思う。

こんな天使と悪魔的やりとりを自分の中でしながら、結論は
「とにかくペリカンのパンを上手に切って食べたい!」だった。

わが家の包丁ラックに、パン切り包丁が加わった。
切れ味は、感激するほどでもなかった。
ペリカンのパンをうまく切れたかといえば、やはり最初の数枚は厚さまちまちの微妙。
でもバタートーストもはちみつトーストも、おぐらトーストもシナモンリンゴトーストも
楽しむことができた。

今、確実に言えることは、もうこの先、パン切り包丁売り場には立ち寄らないということ。
丁寧な暮らし風すら結局出来ないけれど、
おいしいものとの暮らしは、まだまだ追求し続けるみたいだ。