理由あって週イチ義母宅 PR

何もない一日がくれた味

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理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。

理由あって一日前倒しの週イチ義母宅デイ。今日は何もない一日だ。
週イチとはいえ、病院に連れて行く日もあれば、月末にはカレンダーに書き込みをしたり、

ケアマネさんが訪問してくる日があるかと思えば、散髪に行く日だってある。

でも今日は何も予定がない一日だった。
いつものようにお昼には買ってきたお弁当を一緒に食べ、
終わってしばらくして、義母がトイレに行っている間に掃除機をかけた。
気の入らない掃除機がけを見たからなのか「やろうか?」と義母。
「え、やったー、じゃあお願いしてもいい?」

掃除機がけと言っても義母が過ごす四畳半だけ。それでも気持ちよくなった。
私も義母も。

お天気がいいので、一緒にスーパーに買い物に行くことを提案すると、
これも快諾。ここ最近は「疲れるからいい」と言って誘いに乗らない日が多かったけれど、
私が一緒に行くことを前提に声掛けをしていたのだと思う、快諾だった。
実を言えば、今日はお酢と芋類を買う予定だったので、義母のシルバーカーのポケットをあてにしていたというのもある。
靴を履くのを手伝って、ズボンの裾から出ている肌着を折り返して隠したあと、
ちゃっかりそのことを伝えながらスーパーへ向かった。

帰ってくるとヘトヘトで、そこからはお昼寝タイムだと予想していた。
私はその間に作り置きのおかずづくりに勤しむ算段だった。
しかし、今日の義母はベッドに横にならない。
こうなると「新聞のここを読んで!」タイムになる。あ、私が読んでと言うのだ。
今日、愉快だったのは、歌壇に寄せられた作品の中から選に漏れたものの中から、
マスクやオリンピックをテーマにした短歌を集めた記事。
読めない箇所があって引っかかるとテーブルに行って、その箇所を読み、
また戻ってはポテトサラダの芋をつぶしたり、なますの大根を切ったりを続け、
そうした行ったり来たりを楽しんだ。

義母はその後もうたた寝をしなかった。ここ最近では本当に珍しい。
10分、20分寝て目覚めると、時間感覚がおかしくなり、
「もうこんな時間!私は今日はどこに行けばいいの?」と言う義母に
「今、朝じゃないよ。昼過ぎだよ」とか「夕方の4時だよ」とか
そういう会話をエンドレスでするのが最近の定番だった。

うたた寝をしないから、この時間旅行がなくなり、
週刊〇潮の広告見出しを読み上げながら、「ずいぶん滅茶苦茶なことになってるね」
なんていう義母と集会所みたいなノリで話が出来た。

何もない一日は、うたた寝のない一日。
夕食を食べ終え、薬を飲み、寝る支度が出来たところで、義母宅を出た。
不思議なことに、疲れが少ない。

だから帰りにラーメンを食べて帰った。
なぜそうなるかって!?
実は義母宅のある最寄り駅近くには、美味しいラーメン屋があるのだ。
夫とも、それこそ義母と3人で行ったこともある。
また行きたいなと毎週思いながら、全く行けない時期が続いた。

週イチ義母宅の帰りに一人でも寄ろうといつも思ってきたが、
思った以上に帰りはヘトヘトで、ほんのちょっとの寄り道ができないほど足が重かったり、
電車の時間を気にして、それならば一刻も早く帰宅したい、
そうなっていたのだ。

足取りが軽かった今日、念願のラーメン屋に寄ることにした。
いつもビートルズが流れているその店の
1~2年ぶりの煮卵ラーメンの美味しかったこと……。
ラーメン屋さんに寄ったがために、次の電車の時間に乗り遅れちゃうかも
とやや心配しながら店に入ったが、すぐにオーダー出来た。
いや、違う、久しぶりすぎて忘れていたのだ。
私、ラーメン食べるのかなり早いんだってことを。

余裕で食べ終わり、予定の電車に乗り込んで帰宅した。
何もない一日は、うたた寝のない一日で、久しぶりのラーメンにありつけた一日になった。

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