理由あって週イチ義母宅 PR

その時、私には赤いタオルが見えた

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理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。

月イチでケアマネージャーさんが訪問して次月のスケジュール確認などを含めた面談をしてくれる。その日はいつも義母がシャンとする。
医者や介護認定の際にシャンとして、家族のほうがあわあわするという話はよく聞く。
わが義母も例外ではないのだが、これは万国共通なのだろうか。

ご機嫌でおしゃべりし、デイサービスでのレクリエーションで1位をとった時の記念写真を見ながら写真に写る自分を自分の母だと間違えていた。
スタッフさんに促されたのだろう、カメラに向かってピースサインをしている。
そのピースがチョリーッスみたいになっていた。
だから、
「ええ、〇〇さん←義母の母の名がチョリーッスなんてする?」
と言ったら
「たまにするよ」と義母。
ケアマネさんと3人でガハハと笑った。

デイサービスで書き溜めたプリントも月イチで渡してもらえる。
ぬりえや計算だけじゃなく、書写もあった。
紀貫之の短歌を書いている。4枠目は見本を見ながら白紙に書くようになっているのだが、たいそう美しい文字だ。
最近は読めない文字が増えたり、書けない文字が増えたりしていたので、時間をかけて丁寧に真面目に書いたであろう義母を心からすごいと思う。

名前をフルネームでこれでもか!と書いてあるプリントもあった。
薄墨でプリントされている見本の文字をなぞり、やがて白紙部分に書く。
名前のほかに
「元気ですか」というバージョンもあった。
元気ですか。元気ですか。元気ですか。元気ですか。元気です。元気ですか。
ギャグみたいに何箇所かには「元気です」というレスがついていた。

アントニオ猪木さんを思いながら、その元気な文字を見てまた笑った。