理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。
駅から義母宅に向かう道の途中。
蓮の葉に水がたまっていた。
立ち止まり、ジーっとみて、写真を撮る。
その後、ジーっとみて、しばらくそのままそこにいた。
あざやかな緑のお皿に、ぷっくりとたまったそれは、水まんじゅうみたいだった。
しばらくそこにいたのは、義母宅に行きたくなかったせいではない。
あまりにもぷるりんと可愛くて、なんだか見ていたかったのだ。
ようやく歩き出して、いつものようにコンビニに寄った。
そして義母の大好きなコーヒーゼリーを買う。
お弁当のお供にはお湯を注ぐだけのもずくスープを選んだ。
昼食時。
もずくスープを一口飲むと、「いい出汁だ。いい味だ」と義母は連呼した。
たしかに上品なお吸い物のような味で、いい出汁だった。
私は、するりんと口の中に入ってくるもずくが、気持ちよくてご機嫌。
さっき見た蓮の葉の上のぷるりんとした感じと似ている気がした。
食後はお待ちかねの大好きなコーヒーゼリー。
「甘いね」といいながら、小さなスプーンで勢いよく食べる義母。
と、大きくすくい過ぎたコーヒーゼリーが、ボトッと下に落ちた。
洋服についた染みを一生懸命拭いた義母は、コーヒーゼリーが畳の上に落ちたことには
気づいていないようだった。
それは食後に拾えばいい。
そこからしばらくは、ゼリーのカップを持つ左手の位置、口に運ぶ時の距離を
徹底的にレクチャー。
毎度のことながら、このやりとりを聞いている人は、私を鬼教官と思うだろう。
食後に一口大のコーヒーゼリーが畳の上に落ちていたことを知ると、
義母は新鮮に驚いていた。
そのゼリーも、ちょうど蓮の葉の上のぷるりんとした水を連想させた。
蓮の葉と違って、畳は水気をはじいてはくれないけれど。
おやつには、茶色いおまんじゅうを1個。
コーヒーと一緒に出した。
私が自分用のコーヒーを淹れてテーブルに着くと、
まさか! 義母がおまんじゅうをコーヒーカップに浸しているのを目撃。
慌てて止めたけれど、おまんじゅうはしっとり、というか、ぐっしょり。
仕方がないから小皿を出してフォークを渡したら、美味しそうに続きを食べた。
こんなことなら水まんじゅうにすればよかったな。
そして、ホラ! と言ってさっき撮ったこの写真を見せてあげればよかったな。
雨に打たれながらの帰宅の途でそんなことを思った。
追記:蓮の葉、蓮の葉と書いてしまいましたが、正しくはサトイモの葉でした。
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