理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。
ケアマネージャーさんの月イチ訪問がある日は、義母が結構機嫌がいい。
チームみんなでお義母さんの味方だよみたいな雰囲気を作って明るく話をしてくれるからだ。
そして何よりケアマネージャーさんの月イチ訪問がある日は、私の機嫌がすこぶるいい。
気になっていることを素直に言えるし、ちょっとクスッと笑えるエピソードを話すと
一緒に笑ってくれたりするからだ。
沢山のお宅をまわって、それこそケースバイケース、十人十色の事情を抱えた本人とその家族に対応し、プロとして常にニュートラルでいなくてはいけないのだと思うと、
本当に大変な仕事だろうなと思う。
私のようなおしゃべりな家族がいると、予定滞在時間をめいいっぱい使ってしまうのだろうしね。
昨日も、最近気にかかっていることについての自分たちなりの考えをお話してみたら、
的確かつおおらかなアドバイスをいただけた。
話してみること、決めつけないことは何より大事だなと思う。
さて、そんな精神的にまあまあ健やかな状態で私が義母に提案したのは、
門扉周辺の草取りだ。
気づいたらニョキニョキと草が顔を出したりしていたのだ。
一緒にやろうと提案した。いや提案というよりそこそこ強引なお願いだったかもしれない。
義母は体がやわらかく、前屈がすばらしい。
私と真逆である。
一人で草取りをするとしたら、私にとってはただの罰ゲーム。
でも義母とするなら、私は調子のいい応援団になれる。
側溝の中にツルの長い雑草が伸びていたので、蓋をはずして草を抜いた。
「どこまでやる? ここまでにしようか?」
選択肢を義母に渡して、ほどよい範囲を二人できれいにした。
「ありがとうお義母さんにやってもらって助かった」と感謝の言葉は
私の心からの声だ。
「私の家の庭はこんなもんじゃなく、草ボーボーで大変なことになってるのに
お義母さんの家の草取りをする私ってえらくない?」
これは心の中の声だ。
程よい疲れがプラスされ、義母がお昼寝をしている間に、仕事で少しお待たせしてしまっていた校正がはかどったのもよかった。
一日の役目を終え、鍵を閉め、義母宅をあとにする。
薄暗いなかでライトが当たった側溝が、美しく見えた。