理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。
義母宅へはたいてい週末にかけて私、中一日を開けて夫が出かけている。
先日、買い物に行く際に、義母から1000円札を預かった。
というより、出させたという感じか。
次に夫が来る日はバレンタインデーだから、お義母さんの代わりにチョコ買ってくるね! という具合。
前年はたしか、スーパーでどちらの色の箱にするか、一緒に選んでいたのだが、
最近は買い出しも私だけで行くことがほとんどだ。義母にチョコを買ってくるねと言ってもピンと来ていないようだった。
そもそもセレモニーが極度に少ない家である。
同月後半に控える息子の誕生日も残念ながら眼中にない状態だったりもするのだ……。
前年はたしか、スーパーでどちらの色の箱にするか、一緒に選んでいたのだが、
最近は買い出しも私だけで行くことがほとんどだ。義母にチョコを買ってくるねと言ってもピンと来ていないようだった。
そもそもセレモニーが極度に少ない家である。
同月後半に控える息子の誕生日も残念ながら眼中にない状態だったりもするのだ……。
買い物から帰り、包装紙に包まれたチョコの箱を渡す。やはりピンと来ていない。
箱に紙を貼り、忘れないようメモを書いてもらった。
箱に紙を貼り、忘れないようメモを書いてもらった。
「二月十四日、〇〇様にプレゼントです。
どうぞ。いつもありがとう!」
「どうぞ」までしか書いていなかったので、ありがとうを付け加えるようアドバイスしたのは私だ。
この箱をテーブルの上に置いたら、きっとどこかにしまいこむにちがいない。
電話の横に置けば、目に入りやすいし、日付も入っているから大丈夫だろうか。
それだって2日後までそこにある保証はないけれど、それはそれでちょっとしたゲームというか、賭けみたいな気分でいようか。
その日、私が帰り仕度をしていると、義母がチョコの箱を持って「コレ……」と私の顔を見て困った顔をしている。
さきほど箱に貼った義母自身が書いたメモを読み上げてもらった。
「二月十四日、〇〇様にプレゼントです。
どうぞ。いつもありがとう!」
読み上げた後、「じゃあコレ、貴方から渡して」という義母。
「いやいやいや、明後日来る予定だから、お義母さんから渡してください。そのためのチョコだよ」
「そうだね」と「なんだかわからないや」の両方が混ざった義母の顔を見ながら、仕掛けた気分でその日を終えた。
さて、翌々日、義母宅にいる夫とメッセージのやりとりをした。
私「ところで、お義母さんから何か受け取りましたか?」
夫「何も。どら焼きは食べさせましたが?」
私「あら? 電話の横にないかしら?」
夫「あったが上に紙が置いてあって、目に入っていないようだ」
私「そうなのね。では、“これは何? もらっていいの?”と小芝居しておくれ♪」
しばらくして、
夫「セレモニー終了」
私「お疲れさまでしたー」
なんじゃそれ……の自作自演? の休日が終わった。
お義母さん、あなたの息子はチョコレートが大好きなんだよ。
まあ、覚えておかなくてもいいけどさ。
あれから2年の月日が流れた。
バレンタインデーは義母宅では完全スルーのイベントとなった。
誕生日はせめて何かしようよね。