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映画『茶飲友達』写真展「ある家族」レポート

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2/12(日)~2/19(日)に開催中の映画『茶飲友達』写真展「ある家族」、お店番をしたライターのリポートをお届けします。

映画『茶飲友達』が上映されている渋谷のユーロスペースから徒歩約5分の場所にあるOak Cube Rental Gallery & Studio。ここで映画の写真展が1週間限定で開催されている。
展示されているすべての写真を手掛けた同映画のスチール担当、松井さんのインタビューはコチラ

『茶飲友達』クリエイターインタビュー/松井綾音(フォトグラファー)映画の中にはさまざまな人生や日常がある。 劇場公開される映画を、整理収納目線を交えて紹介するシネマレビューの特別編、クリエイターインタビュー。映画のスチールを担当されたフォトグラファーの松井綾音さんにお話を伺いました。...

写真展のタイトルは「ある家族」。
映画を観た方なら、その家族が何を示しているのかはおわかりになるだろう。
そして、まだご覧になっていない方が写真だけを見ても、きっといろいろ感じるのではないだろうか。

会期中、1日だけギャラリーでのお店番を担当させていただいた。
作品同様、その数時間もとても濃密であたたかった。

人気の奥渋エリアの端にあるギャラリーの階段をあがり、ガラスの扉を開けると、
入って左にキャストのサインがたくさん入ったポスター、そして監督のメッセージが掲示されている。そのすぐ横に映画の場面写真が整然と並ぶ。

入って右はオフショットコーナー。たくさんの、実にたくさんの撮影時のオフショット写真が貼りつけられている。それは肩を寄せ合うようにギュッと貼られている。
その壁の下の棚には、いくつかのフォトフレームに入った写真。

稼働式の壁には、『茶飲友達』のキャストたちのスチール写真。
サイズも形もいろいろだ。正方形も長方形もあり、正面を向いている顔もあれば、
横顔もある。

その壁の裏には大きく引き伸ばされた6枚の珠玉の写真。
これは外からガラス越しに見ることも出来る。

そして、入口から見て正面にも印象的な写真が数点。

こんな風に書いてしまってはネタばれではないかと感じるだろうが、
そんなのは杞憂だ。現にギャラリー内は撮影可になっている。
どんなに予告されていても、SNSで流れてきても、実際の目で、自分の距離感で見ることで感じられる力と熱に満ちているから。

私がお店番をした数時間の印象だけだが、入って右のオフショットコーナーから見る人が多かった。
理由はきっといくつかある。
まずは物理的なこと。入口に手指消毒スプレーがあり、それを使うと体の向きがそちらになるからだ。
また、左側の場面写真コーナーは整然と並んでいるので、一人でも見ている人がいるとなんとなく邪魔したくない感じに思うのかもしれない。

オフショットコーナーを見ている時間は長い。
単純に枚数が多いというのもある。でも少し違う気もした。
写真を見ている方々の背中を見ていたら、暖をとっているように見えたのだ。
今は2月、外は寒い。そしてたった今映画を観てきた人たちは、いろいろな思いを抱え、
現実を突きつけられ、体感温度がコントロールできないような気持ちになっている人もいるに違いない。
そういう人たちにとって、このオフショットコーナーは暖がとれる場所なのだ。まるで足湯に浸かるみたいに。
肩を寄せ合うような写真と書いたのも、そんなところからだ。

場面写真のコーナーを見てみよう。
場面写真とは文字通り、映画のシーンがおさめられた写真。
3×6に並んだ18点の写真の中からどうにも気になる場面の前でじっと佇む人がいたり、今観てきた映画の記憶をたどるように順に見る人もいた。

写真展には、外山監督やフォトグラファーの松井さん、出演俳優が在廊している時間帯もあり、今観てきたばかりの映画の感想を口にしたり、「あのシーンはこういうことですか?」と確認するように質問する方もたくさんいた。
その様子を見ながら、当たり前だが映画は観客のためのものだということがわかる。
当たり前だが、当たり前じゃない感じの世の中な気もしていたから、少し嬉しい。

そしてこれも当たり前だが、観客にもそれぞれ背景がある。
家族に対する価値観もさまざま、だから気になる箇所も、気に入る写真もいろいろなのだ。
何人かの方にはお声をかけて、映画の感想をうかがった。
なぜご覧になろうと思ったのかもうかがった。
当たり前に理由もいろいろだった。
そして、さらに思う。映画は、エンタメは観客のためにあると信じていいんだなと。

“一億総批評家”みたいな世の中で、自分の言葉や自分の思いで感想を言ったり、したためたりすることができる作品とその世界がここにあった。

実はこれもまた何人かの方には、「どの写真がお気に入りですか?」と無茶ぶりのような質問もさせていただいた。
いい写真がたくさんあって迷う方が多かった。でもそう聞いたら改めてギャラリーを見返して答えをくださった方もいたし、あえて決めなかった方もいた。
その反応の一つひとつもそうだよね……と思えた。

ギャラリーには、壁に展示されていない、もっと多くの写真がアルバムとして置いてもある。
映画を観る前にいらした方は、
「必ずこの後、映画を観に行きます!」と言い、
映画を観た後にいらした方は、
「この写真を見てから映画を観たら、またいろいろ感じそうですね」と言った。

映画『茶飲友達』公開記念写真展「ある家族」は、明日19日17時まで。

映画『茶飲友達』公開記念写真展
ある家族
スクリーンを彩る場面写真から貴重なオフショットまで
2023年2月12日(日)~2月19日(日)
Oak Cube Rental Gallery & Studio
素晴らしい写真の数々が掲載されたphoto&bookは、劇場のほか、ギャラリーでもお求めいただけます!

「family face」official photo & book

判型:A5サイズ・38ページオールカラー

価格:1,000円(税込)

劇場にて販売

茶飲友達
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2023年2月4日(土)ユーロスペース他全国順次公開

監督・脚本:外山文治
出演:岡本玲 磯西真喜 海沼未羽 /
渡辺哲

配給:イーチタイム (c)2022茶飲友達フィルムパートナーズ 2022年/シネマスコープ/5.1ch/135分