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シニア世代に足を突っ込みかけた人たちへの応援歌『帰ってきたマイ・ブラザー』

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誰かと一緒に観劇すると、共感が何倍にも膨らんだり、違った目線がプラスされます。
作品をフィーチャーしながら、ゲストと共にさまざまな目線でエンタメを楽しくご紹介します。

今回ご紹介する舞台作品は、シス・カンパニー公演『帰ってきたマイ・ブラザー』。
水谷豊さんをはじめ、熟練の皆さまによる楽しい作品です。
ご一緒したのは、整理収納アドバイザーの橋口真樹子さんと安田万妃さん。
観劇後は劇場近くの某ファミレスで、あっちこっちに脱線しつつ、楽しく感想を語りました。

神奈川県、浦賀のとあるホールのリハーサル室。ここに40年ぶりに「ブラザー4(フォー)」のメンバー若村ハジメ(水谷豊)、信二(段田安則)、裕三(高橋克実)、四郎(堤真一)が集結した。その名の通り、彼らは兄弟。声をかけたのはかつてのマネージャー中迫(寺脇康文)だ。いわゆる一発屋だった彼らは、その後それぞれの人生を歩んできた。
再結成を待ちわびていたのは、彼らの熱狂的ファンの釈堂梨花(峯村リエ)、幸恵(池谷のぶえ)姉妹。ブラザー4は華々しい復活を遂げるのか?

※以下、作品のネタバレを大いに含みます。

店員さんもうらやむ
味のある役者がそろった舞台

栗原 こういう言い方が正しいのかわかりませんが、キャストの皆さん、楽しそうでしたよね。
安田 わかる。あの楽しそうな感じが垣間見えたことで、より一体感を感じたよね。
橋口 途中、リアルにウケたりしてたよね。
安田 堤さん、本当に笑っちゃってた。
栗原 アドリブじゃないのにアドリブ風に見せてるのかも? とも思っちゃいました。
橋口 私も、それもあるかなと思った。
栗原 そう思ってしまうくらい百戦錬磨のキャストでしたもんね。あのラフな感じなんかは……、
安田 敢えて出してるのかもしれないか! 本当、皆さんお上手でした。私、驚いたのは高橋(克実)さん。失礼ながらもっと顔だけ大きいのかななんてテレビを見て思ってたんだけど(笑)。
橋口 スタイルいいよね。皆が、最後にあのスーツを着て出てきた時に「あれっ!」って思うほどカッコ良かった。
安田 水谷さんは、奥さんの(伊藤)蘭さんもコンサートをしていたり、娘さんの趣里さんも、家族全員活躍してるよね。
栗原 趣里さんは舞台や映画でも活躍されてるし、次の朝ドラ『ブギウギ』の主演ですもんね。
(脱線①ここからしばし趣里さん……で盛り上がった後、別のファミリーの話へ脱線しました)

栗原 パンフレットの中にキャストの皆さんの「わが青春の推し」という項目があるんだけど、克実さんも寺脇さんも、水谷豊さんって書いてある。
橋口 それくらい年の差があるんだね。
安田 『相棒』で共演する時に寺脇さんは、憧れの水谷豊さんと……って言ってたもんね。
栗原
 克実さんが1961年、寺脇さんが1962年生まれで、段田さんが1957年、水谷さんが1952年生まれみたいですよ。
(と、ここでパフェを運んでくれた店員さん登場)
店員 行って来られたんですね? 私、チケット取れなかった人ですぅー。
栗原 サイコーでしたよ!!
(店員さん退場)
橋口 堤さんは?
栗原 堤さんは1964年です。
安田 えーっ、堤さんももう59歳か、頑張ってるね。映画ではアクションしたりするし。
橋口 堤さんってここ数年でだいぶ味が出て来てる感じするよね。逆に女性陣(池谷のぶえさんと峯村リエさん)は年齢不詳だね。
安田 今日観ていてつくづく思ったけど、女優さんは主演で演じる人よりも、こうやって脇で着実に演じている方のほうが長く活躍できるよね。
橋口
 女優さんも客観的に自分を知った上で方向性を修正したり考えている人と、若さと人気の勢いに乗ったままで時間が経過した人とで差が出る気がする。
栗原 主演でも助演でもハングリーに鍛錬を続けていかないと……ですもんね。
(脱線②ここからしばし具体名を出しつつ、年齢を重ねて素敵な女優さん、イケメン俳優さんの話へと華麗に脱線しつつ、仕事論にまで及びました)

記憶のすれ違いは
兄弟や親子間あるある

橋口 それにしても今日の作品、演出の妙だったよね。「もしかして最後まで歌ってくれないかもよ」って栗ちゃんも言ってたけど。最後まで歌ってくれないのかなーと思わせて、ドーン! というところが、もう完全に私もファン心理になっちゃって、泣いてしまったよ。
栗原 まさか、まっこさんが泣いていたとは。ヘヘ、じゃあ私も演出に一役買っちゃったかな(笑)。
橋口 私が思いのほか感動したのは、あのラストに至るまでに4人兄弟のいろいろを見せていたじゃない? 私たぶん自分が4人姉弟だから……。
安田 そっかー。何番目だっけ?
橋口 私は長女。(舞台の中でもあったけれど)誰々は覚えてない、誰々がいつもこうだった、ああだったっていうやりとりにすごく既視感があって。実家に集まると皆の記憶がちょっとずつ違ったりするんだよね。
栗原 じゃあ、まさに今日のブラザー4のあのやりとりが!
橋口 そうなの。ほんとにわかるなぁと思った。だからこのお芝居で描かれていた家族がもう一度つながる、絆を取り戻すっていうあの感覚、あの場面を観ながら「本当に良かったね……」って思っちゃって。
安田 記憶のすれ違い、わかるー。私には兄がいて、二人とも実家を離れているけど、生前、母のいる実家に帰ると「あんたが好きやったフルー〇ェ作っといたで」って出してくれるわけ。「お母さん、私それ好きじゃない。それ好きなのお兄ちゃんじゃない?」っていうやりとりがあってね。
でも後で確認したら兄が「俺も好きじゃない」って(笑)。だから結局、それが好きだったのは母だったんだなって。
栗原 そう思いこんじゃってたんだ。面白い~。
橋口 CMで子どもが美味しそうに食べているのを見て、子どもは好きに違いないってもう刷り込まれていたのかもしれないよね。
(脱線③ここからしばし、安田さんとお母様との思い出話や片づけの貴重な話をシェア)

『相棒』ファンも納得の共演
若造でいられるって幸せ

橋口 この舞台のリアル感がすごかったよね。つい最近、そういう会話したわっていうのがいっぱいあった。そう思えちゃうくらい自然で、なおかつ皆の特徴に合わせたしゃべり方が面白かった。
栗原 結局、水谷さん演じるハジメが毎朝飲んでいるのはなんだったんだろう?
安田 セサ〇ンでしょって思ってた(笑)。
橋口 私はやず〇のなんとか……とか、錠剤だよね、言ってたもんね。
安田 それにしても生の堤さん、カッコ良くて興奮しました。
栗原 登場した時、ちょっと声出てましたよ!
橋口 一番最後、挨拶が終わった後は、堤さんが一番不器用な感じだったね。
安田 男くさくていいんですよー。
栗原 
恥ずかしがり屋感出てましたね。水谷さんは、一瞬、「あ、右京さんだ!」っていうしゃべり方に聞こえたシーンがあったような……。
安田 そういうのもあえてちょいちょい挟んでるのかもしれない。
橋口 皆、期待するもんね。だって一番最初のやりとりが亀山くんと右京さんだよ! あ、役名違うけど。
栗原 再放送もバッチリ見てます! っていう感じのお客様多かったですしね。
安田 このメンバーの中では寺脇さんが若手に見えたよね。
栗原 
なんだか嬉しそうでしたよね。寺脇さんもご自身が中心のユニット・地球ゴージャスではそれこそ若手を束ねて、ベテランとして存在しているから、若手でいられる機会って貴重だし、嬉しいんじゃないかな。
安田 若造でいられるって幸せなんだよね。
栗原 お二人も整理収納業界では重鎮だから、実感されること多々あり、なんですね。
(脱線④ここからしばし、整理収納業界の今昔の話や、SNSツール今昔の話でエンドレス)

栗原 世間では、長男(一番上)しっかり者、次男(間っ子)ちゃっかり、三男(末っ子)甘えん坊みたいなステレオタイプな図式がありますけど、今日の四兄弟はどうでした?
橋口 そのイメージの一方で、一番上って誰にも比べられず、場合によってはのびのび自由でマイペースっていうところもあるよね。今日のハジメ(水谷豊)はそっちタイプに見えなかった? お兄ちゃんとして一番天真爛漫で自由である意味マイペースだった。それがまた面白かった。
安田 長男って、ああいう長男としっかりせねば系長男とに分かれるよね。
栗原 そう考えると二番目の信二(段田安則)は堅実派の雰囲気を出してたよね。
橋口 間に挟まれる何かもあり、上に振り回される身近なライバル的な何かもあり……ね。私は4人姉弟の一番上だけど、今日のハジメタイプだったかも?
安田 兄弟って不思議だよね。分かり合えるようで別にわかってないし。私、お兄ちゃんのことなんて未だにわかってないし……。今日のあの4兄弟は、誰と誰が仲がいいとか、一人が歪んでいるとかそういうのがなかったね。みんな平等というか。
橋口 ハジメの愛がそういう関係を作ったんじゃないかと思う。お父さんを早くに亡くしてから、みんなで、4人で!っていうのを大事にしてたんだよね。
安田 なんだかんだいって、みんな長男のことが好きだよね。
(脱線⑤ここからしばし、皆、それぞれの兄弟関係やお子さんの話へ)

橋口 それにしても今回、会場が皆、自由に反応している感じが良かったよね。手拍子も自然に沸いていたし、よく笑っていたし。
安田 アメリカの映画館じゃないけど、皆、盛り上がってた。ああいうのいいよね。
栗原 しかも盛り上げるために妙な煽りで笑わせたり、いじったりする感じでもなかったのが質がいいなと思ったなぁ。コロナ禍で一切なくなっていた雰囲気だったので、それを思うとちょっとジーンともしちゃう。
橋口 この期間にオンライン視聴というのも増えたよね。それはそれでいいなと思っていて、日程が合わないけど見てみたい、チケットも安い状態で家で観られるっていうメリットがあるよね。ありがたいんだけど、でも家で、自分の反応が相手に届かないところでテレビのような感覚で観るのと、今日みたいに面白いところで皆がワッと沸くことで役者さんたちがさらに乗るみたいのがあるほうがいいなって思うんだよね。家で一人で観ると、どうしても集中力が途切れる時もあるし。
今日、劇場で観て、リアルに勝るものはないなと再認識しました。リアルで観たからこそ、この作品はシニア世代に足を突っ込みかけた人たちへの応援歌にもなってるって実感できたんだと思う。
安田 そう。シニア世代に向けて、これからまだ次の人生があるよっていうメッセージをくれる作品だったね。私、ドンピシャだった。
栗原 自分にとってタイムリーな作品に出会えるのも舞台のいいところですよね。たくさん脱線しつつもとても楽しい観劇&観劇シェアとなりました。ありがとうございました!

劇場近くのファミレスの店員さんは、演目チェックもきっとされているんでしょうね。
今回エンタラクティブしてくださったのは……
橋口真樹子 (Makiko Hashiguchi)さん
Sunny Days代表
一般社団法人 親・子の片づけ教育研究所 理事
「整理力」と「7つの習慣」で、個人や家族の幸せな人生を整えるサポートが特徴。 家族の片づけに悩む保護者向けの講演会はオンラインのお問い合わせも多く、 子ども達を直接サポートするためのオンライン講座「7つの習慣J®」を伝えるファシリテーターとしても活動中。
Sunny Days幸せな毎日の「整理力」

安田万妃 (Maki Yasuda)さん
一般社団法人エニアグラムお片づけ理事
大阪府出身東京都在住。お片づけ会社で教育担当の経験後独立。エニアグラム心理学で心と頭を解放してお片づけを通して、自分軸を見つけるサポート。クライアント宅訪問件数1000件、セミナー講師140回以上の経験を持つ。
一般社団法人エニアグラムお片づけ