ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回私が取り上げるドラマは、NHK 夜ドラ 松本穂香さん、堤真一さん出演の「ミワさんなりすます」です。
「朝ドラ」ならぬ「夜ドラ」皆さん知ってますか?
月曜から木曜の22:45から23:00の15分間放送しています。
以前「作りたい女と食べたい女」をこちらのコラムでも取り上げさせていただきました。
年間1,000本鑑賞する映画オタクの久保田ミワ29歳(松本穂香)は DVD レンタルショップで5年間働くフリーター。
映画愛が凄すぎて度々お客様を論破したりする事がきっかけでクビになってしまいます。
新たな仕事を探そうと検索していると、ミワの推し俳優 八海崇(堤真一)が家政婦を募集している記事を発見。募集条件には当てはまらないものの、どんな人が採用されたのか気になり、家に行ってみます。
八海邸の前で、家政婦に採用された美羽さくら(恒松祐里)が交通事故にあい、救急車で運ばれるところに居合わせたミワは、勘違いされ、美羽さくらとして八海邸に入ることになります。
美羽さんになりすまして家政婦になったミワ。度々ダダ洩れる映画愛がまさかの八海との距離を縮めてゆきます。そんな時に美羽が退院してミワの前に現れて……。
というはらはらドキドキなストーリーです。
このドラマで最初に「お?」と思ったのは家政婦募集の条件です。
数ある条件(4大卒以上、TOEIC800点以上など)の中に「整理収納アドバイザー」という文字を見つけたからです。
ドラマの中とはいえ、高いスキルを求められる家政婦の資格の1つとしてここまで認知されてきたのか。と嬉しくなってしまいました。
そして八海邸の家政婦のロッカー室にはこんな張り紙も貼ってありました。
「5S 活動 整理 整頓 清掃 清潔 躾」
いわゆる職場環境を整えて効率的に仕事を行うための活動です。
そしてその下にはこのような言葉が書いてあります。
「余計なものは持ち込まない 習慣づけは心付けから」
この場合の「心付け」は私の頭に浮かんだ「チップ」的なモノではなく、「気を付ける事、注意」の事だと思われます。
それにしても「余計なものは持ち込まない」というのは本当に大切なこと。整った空間を維持するために欠かせないことです。もしかしてこのセットを作った方の中にアドバイザーがいらっしゃるのでは?と思ってしまうほどでした。
八海邸は大変広い邸宅で調べてみると文京区にある和敬塾本館でロケをされているみたいで
す。英国チューダー様式の美しい室内は毎回見ていて飽きません。
※和敬塾本館《旧細川侯爵邸》とは、 東京・目白の男子大学生寮で、公益財団法人和敬塾
もちろんキッチンや控室もよく映るのですが、作業する場所(机の上)は常に何も置かれていませんし、モノがまっすぐ置かれ、きれいに並んでいます。
その様子は本当に美しく、何かを始めたくなるような空間になっていることに感心させられます。そこを使う皆がこの状態をキープしていることも素晴らしい!
入院していた美羽さんが無事退院して、突然ミワの家に現われます。
ミワはなりすましを謝罪し、八海崇のファンであることを告白します。するとなんと美羽さんも熱烈なファンだとわかり、意気投合。なりすましはそのまま続行することになります。(この展開はまだ安心できるレベルではないのですが)
安心したミワは DVD に埋もれた自分の部屋を公開するのですが、同じ八海ファンでも二人の映画への関わり方が全く違う点も興味深いのです。
ミワ……映画は DVD のまま持ち、鑑賞は等速。
美羽さん……映画はデータで所持、鑑賞は倍速。
どちらがどうということはないのですが、いかにも「今」を反映している対比と思いませんか?
映画やドラマが大好きな私でも今やモノによっては倍速で観る時がありますし、データで保存は納得できます。スペースは限られているし、自分だけで暮らしているわけではないので。
ですが一方でケースごととっておきたい、並べて鑑賞したい!という気持ちもよくわかります。
ミワにとっては他の何を置くより優先順位が高いのですからこれはこれでいいと思います。
そんなミワの部屋はもちろん壁という壁が DVD で埋めつくされています。
中でも気になったのが窓をふさぐように置かれた棚です。
他と違い棚板と棚板の間に空間が開いているのです。他の棚はDVDを取り出す時のための指1本分の隙間を残してぎっしり DVD が詰まっているというのに。
なぜか?
と考えてみました。それは昼間のシーンでわかりました。その棚の隙間からは日の光が入ってきていたのです。
ミワは換気と採光のために間を開けていたのではないでしょうか。
それはとても感心する点ではありますが、既に棚に収まらないDVDや雑誌が床に積まれている状況を考えると、この状況が続かなくなるのも時間の問題でしょう。
残ったスペースは天井近くに吊り棚を設置するかキッチンスペースを侵食するかになるかと思われます。他にどんな収納方法があるかなと考えてみたい。ああ、ミワの家に行ってみたいです。収納という点だけでなく、私は映画も好きなので。ミワの家に行ってみたい! あの空間を味わってみたい! と思っていたらなんとあの空間の一部を再現しているイベントをやっているそうです。
なんと! サクッと行ってみようかしら。
顔はめパネルもあるって。(どんな顔はめ?)
八海に心酔するミワ(松本穂香)の表情がおかしくもとってもかわいいのもこのドラマの見どころだと思います。加えて初めてドラマ主題歌に参加するというハナレグミの曲もとってもいい!
「めっちゃ夢中、夢中の宇宙、空中浮遊、四六時中、空中浮遊、目を閉じて浮かぶ世界 全部私のモノ」(注:みのわの耳コピ)
韻を踏んだ歌詞にやさしいメロディーが素敵な世界観を作っています。
秋の夜長にお勧めの15分の夜ドラ。
12月まで放送予定なのでまだ間に合いますよ~