ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回私が取り上げるドラマは、赤楚衛二さん主演の「こっち向いてよ向井くん」です。
雰囲気良し、性格良し、仕事できる、イケメンの３３歳向井くん。
でも気が付けば１０年間彼女がいません。
いざ恋をしようと積極的に動くのですが、なぜか空回りでうまくいきません。
「なんでなんだ？」ともがく向井くんに義弟のスパイスバーで出会った坂井戸洸稀（波留）
が辛口分析を浴びせる日々。
結婚をゴールと考えて「頼りがいのある男になりたい」向井くんとそうではない女子たち。
悩み、焦り、ドタバタしながらも自分と向き合ってゆく向井くんや周りの人々の恋愛ストーリーです。
自分の恋愛がうまくいかないのは１０年前の彼女 藤堂美和子（生田絵梨花）との別れの原因が関係しているのでは？と思っていた向井くん。
彼女とは「ずっと守ってあげたい」と向井君が言った事から関係が変わり、終わったと思っていて、原因は当時の自分が頼りなかったからだと思っています。
同窓会で美和子と再会し、部屋に通うようになったある日、
向井くんはずっと気になっていた「別れの原因」を聞きます。
実は結婚する気がなかった美和子は、結婚をゴールと考えている向井くんとの価値観の違い
に戸惑っていたと話します。その価値観を埋めるために
「もっと話を聞いてほしかった」と。
他のカップルたちも自分の気持ちと相手の気持ちとのギャップに戸惑い、答えを探して悩みます。彼らのやり取りを見ていると、他人事だと冷静に見えることが、自分事だと見えなくなるのだなと気づきます。それは「世間的にこうあるべき」という理想や「自分はこういう人間だ」という思い込みが邪魔をしているようです。
面白かったのは８話での向井くんと坂井戸さんとの会話。
注文したパフェを見て、坂井戸さんは、キレイに飾り付けられたパフェの上の部分が好きで、それを食べ終わったらあとはひたすらコーンフレークとアイスだけ。もはや上の部分だけで良い。
と言います。つまり自分は恋愛の一番きれいなところだけを楽しみたい。自分もきれいなところしか見せたくないし、あまり美しくない素の部分と向き合うことは苦手だと話すのです。
ところが向井くんはこれに激しく反論します。
「パフェの本体はコーンフレークとバニラアイスのゾーンだ」と。これ、恋愛関係なく単にパフェだけについて話しているところが向井くんらしくて良いのです。
因みに私はキレイに飾り付けられたフルーツを食べた後にアイスを吸ったコーンフレークを食べるのが大好きなので、あれ全部でパフェでしょと思っています。
話はそれましたが、坂井戸さんは向井くんの熱弁に最初「え？そこ？」という感じだったのですが、「パフェの本体」は人によって違うんだということに気が付くのです。
さて、多少強引ですが「パフェの本体」を住空間に置き換えて考えてみました。
スッキリとモデルルームのように片付いた空間がすべての人にとって「パフェの本体」とは限りません。大事なのは自分や家族の望む幸せがその先にあるか？ということで、例えばそこが他人から見て片付いていなくても良いのではないかと思うのです。
ですからまずは自分が望む、大好きなパフェの本体がどこなのか？を知ることが大事で、それを伝え合うこともとっても大切です。
ついでに言っちゃうと、我が家もそんな理由から多分世間で一般的に思われているような整
理収納アドバイザーの家にしては片付いていないと思います。（あら、言ってしまいました）
さて、ある日向井くんは美和子の部屋に１つの段ボールを見つけます。
中にはいろいろなモノたちが入っています。
美和子は「身の回りの整理期間中」と言って一日１つ絶対モノを捨てるのだと話します。
昔は大好きだった同じものも時間がたてば「何とも思わない要らないモノ」になるから時々見直すことが大切だと言うのです。
その時に美和子が着ている T シャツがいい。
「Have a nice day good vibes only take it easy」。
意図的に選んでいるのか気になりますね。
そんな美和子の部屋は空間の割にモノが多く、壁の前にはほぼ隙間なく収納が置かれていま
す。また、広くない部屋にはダイニングテーブル、テレビの前のテーブル、寝室のテーブル、仕事用のデスクとテーブル類が４つもあります。それぞれのテーブルに食事用、仕事用……と役割を決めてしまっていて「こうあるべき」な感じを受けます。
その後、向井くんとも元カレともスッキリ別れて、新たに登山を始めるという美和子はスッキリした顔つきで新しく買った登山靴やキャンプ道具を眺めています。
自分の価値観に自信をもって行動し始めた美和子の部屋はきっとこれからもっと美和子らし
い「good vibes only」な目的のはっきりした部屋に変わっていくでしょう。
残すところあと２回。
そんな美和子の部屋が見られるのか、密かに楽しみにしてみたいと思います。
