ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回は「ひつじのまなざし」初のアニメーション作品を取り上げたいと思います。
10月からNHK総合で放映している「チ。―地球の運動について―」です。
原作者の魚豊さんは2022年度手塚治虫文化賞を至上最年少で受賞したことでも話題にな
りました。
15世紀のヨーロッパ某国。
飛び級で大学への進学を認められた12歳の神童・ラファウは、フベルトという謎めいた学者と出会う。
当時宗教上の理由から異端として禁じられていた宇宙に関する仮説「地動説」の研究によって投獄されていたというフベルト。 彼の影響でその研究に興味を抱き始めたラファウは地動説に関するメモを異端審議官であるノヴァクに見つかってしまう。
だがフベルトがそのメモを自分のものだと庇い、自分の命と引き換えにラファウに研究資料の在りかを託す。
ラファウは禁じられている「地動説研究」への魅力に抗えずにいるうちにとうとう異端審問官・ノヴァクにその研究を突き止められてしまう。
逮捕されたラファウは地動説を否定すれば赦される裁判で「地動説を信じています」と宣言する。命を懸けて12歳の少年が守りたかったものとは……。
ラファウは服毒自殺を図り命を落とす。でも物語は今始まったばかりだ。なぜなら地動説を証明する「知」の連鎖は時代を超えて受け継がれるのだ。
宇宙の真理に近付くために誰が、どの様に受け継ぎ、証明してゆくのか、その根底にはいつも熱い思いと無謀さがあった。
壮大な地動説の物語はノヴァクの執拗な追及をかわしながらラファウから民間警備組合のオ
クジー、修道士のバデーニ、天文助手のヨレンタへと受け継がれててゆく。
選択とは
ラファウが命を懸けて「地動説を信じます」と宣言する前、ノヴァクは言っていました。
「君は賢いんだろ?正解を選べるはずだ」と。 生き長らえるための正解は教会の教えに反する地動説の否定になるわけですが、ラファウは目先の自分の命よりも地動説という「知」がこの世に残ることを選択します。
わずか12歳のラファウはその生涯を終える時、実に満足そうな顔をします。
その選択の意味をラファウは「感動」や「愛」という言葉に置き換えたりしています。
そもそも始まりはラファウが出会った地動説に関する研究資料です。
この資料にはそれまで長い長い間積み重ねられた地動説に関する研究の全てが残されていま
した。
山の中にひっそりと隠されたその「知」の塊は出会うべき人に出会ったときにその人の運命を変えます。その資料の隅々にまで関わった人々の真理に近付こうとする熱い想いが染みついているから。
出会うモノによってその後の選択は変わってゆきます。当然人生も変わってゆきます。
人生を賭けるほどの出会い。 そしてそれを命がけで繋いでゆこうとする情熱は読むものを感動させます。
地動説を引き継ぐ者たちは勝ち負けも名声も最後には何もかも捨てて、ただ「チ。」のためだけに生きます。
究極の「整理」と言えるでしょう。
遺された私がするべきこと
タイトルでもある「チ」は「知」であり「血」であり「地」でもあります。
登場人物たちはそれぞれの「チ。」に挑み、翻弄され力強く生きていきます。
時に絶望し、そのたびに考え、生き抜き、死んでゆきます。
死を思う時、どうしても恐怖や悲しみというネガティブな感情が去来します。
私事ですが、最近父を亡くしました。
悲しい思いはありますが、私の父に関して言えば、「生き切った」と言っていいと思っています。
父は好きなことを好きなように(まあまあ家族を巻き込みながら)やって、最後まで生きました。
生まれたからには最後は誰でも死を迎えます。
死ぬまでは生きているわけで、どう生きるのか、生き切るのかを考える時間を父からもらっています。
たいそうな事は出来ないけれど、感動のある日々を送りたい。私なりの真理を見つけたい。
そして受け継いでほしい大切なものがあるなら選び抜いてちゃんと引き継いでいきたいと思
っています。
「不正解は無意味を意味しない」
だから、間違いながら、自分らしく。
「チ。」―地球の運動についてーは
毎週土曜日午後11時45分~NHK総合
今までの放送回はNetflixで全編放映中。
大好きなサカナクションのオープニングも是非。