ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからはそのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回私が取り上げるドラマは、山下智久さん主演の「正直不動産2」です。
「2」というからには「1」があったのですが、残念ながらそちらは未鑑賞です。
山下智久さんは少し前に配信で「神の雫/Drops of God」というシリアスなドラマに出演されていたのを観ていたので、コメディという振り巾の大きさに最初対応できませんでした。
ですが、クールなイメージの山Pの意外な感じが面白く、毎回1話完結なのもスッキリ観られてお勧めです。
嘘のつけない営業マン・永瀬財地(山下智久)とカスタマーファーストがモットーの月下咲良(福原遥)は登坂不動産の名コンビ。
人生の大きな買い物であり大切な暮らしの基盤である「不動産」の営業に日々勤しんでいます。
タワマンのメリット・デメリットに悩んだり、賃貸物件の賃貸条件の変化に翻弄されたり、狭小住宅の買い替えがうまくいかなかったりなど、「不動産」を巡る様々な困難を解決するため、本音を言いすぎてほぼ暴言を吐く永瀬(嘘をつけないので)と月下は一生懸命知恵を絞ります。
お客様にとっての本当の幸せとは何か?を一緒に見つけてゆくコメディドラマ。
手段を選ばず実績を伸ばすライバルのミネルヴァ不動産との攻防もみどころです。
今回特に取り上げるのは第3話です。
狭小住宅に住む岡田夫妻(浅利陽介・佐津川愛美)は愛娘の為にピアノの置ける家を購入するために自宅の売却を希望しています。
ところが購入検討者が内見に来てみても「思ったよりも狭いわねえ」と今一つの反応でなかなか買い手が付きません。
おまけに娘が内見者に「ママとパパがケンカばかりしているのはこの家のせいなの。狭いからイライラしちゃうんだって」と痛烈な一撃で買う気も撃沈です。
それもそのはずで、リビングにはなぜかテントが張られ(趣味のキャンプ用品)、ソファも2つあったり、健康器具やバランスボールなどがあったりと、とにかくモノが多いのです。
ちょっと動くとモノにぶつかってしまい、これではイライラするのも無理はありません。
私は思いました。不動屋さんに行く前に整理収納アドバイザーを是非呼んでいただきたい!
そうしたら、内見の前にばっちり片づけてお部屋を広~くして差し上げるのに!
整理収納アドバイザーがやってきたならば、まず最初に「これからどんな暮らしがしたいのか」ご家族一人一人にヒアリングします。
お片付けの現場でもよくあるケースで、家族それぞれの考えや理想の暮らしがお互いに伝わっていない、ということがあります。「言わなくても家族だからわかる」「普通こう思うだろう」「言ってもわかってもらえないだろう」など様々なパターンがありますが、残念ながら家族であっても以心伝心ですべての気持ちを察することは不可能です。ですから、「どんな暮らしがしたいのか」についても一人一人の気持ちをお互いが素直に話し、それに耳を傾けることが大切になります。
物語では岡田夫妻は二人とも娘のために広い家に住みたいと思っているのですが、娘の幸せ
は広い家に住みたいというより「家族が仲良く暮らしたい」(結局は3人ともそうなのですが)だったのです。その焦点が合っていないために夫婦はいつの間にか「家が広くなれば問題は解決する」と思い込んでいました。
どんな暮らしがしたいのかが「家族仲良く暮らしたい」ならば、まずは部屋を狭くして喧嘩の元になっているモノたちを減らすことが、理想の暮らしを手に入れる最短コースではないでしょうか。
私が伺えるならば、キャンプ用品は手放してキャンプをするときだけレンタルにするか、それが無理であれば、貸倉庫を借りて預けることをご提案したいです。健康器具も最低限にしてもらい、ソファも3人にちょうど良いサイズを1つだけ残すか思い切ってなくすのはどうでしょう。
それだけで、この部屋はグーンと広くなって、もしかしたら引っ越さなくても快適に暮らせるかもしれないと思えるのです。
このドラマには実に様々な家が登場するのですが、つくづく家も大きな収納なのだなあと気づきます。
限りある収納スペースは、たとえ小さな引き出しであっても大きな家であっても同じで、モノを無造作に詰め込んでしまうと暮らしも気持ちも快適に回らなくなってしまいます。
そもそも必要なモノは何なのか?許容範囲を超えていないか? は実は常に私たちに問いか
けられていて、その問いに丁寧に向き合うことが自分が望む快適な暮らしには欠かせないことなのかもしれません。
ドラマは毎回全く違うエピソードなので、1話だけでも楽しめますし、不動産業界のことで新たな知識を得ることができるところも魅力です。
様々な住宅を毎回見られる「正直不動産2」は次回で6回目(全10回)です。
改めて、自分と家について考える良いきっかけにもなりそうです