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「アンメット ある脳外科医の日記」に観る整理収納

ひつじのまなざし06
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ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。

今回私が取り上げるドラマは、杉咲花さん主演の「アンメット ある脳外科医の日記」です。
杉咲花さんは昨年話題になった映画「市子」でも新たな魅力を見せてくれたりと目の離せない女優さんの一人です。相手役の若葉竜也さんはその「市子」でも相手役をされていました。とってもはまり役だと思います。
原作者の子鹿ゆずるさんは元脳外科医ということで、リアリティーのある描写は患者目線からも医療従事者としての視点からも説得力を増しているように思います。

川内ミヤビ(杉咲花)は優秀な脳外科医であったが、1年半前の事故が原因で脳に記憶障害を負ってしまう。記憶がその日しか持たないミヤビは、忘れてしまう約2年間の出来事を毎朝日記を読むことで何とか繋ぎとめていた。危険を伴う医療行為から距離を置き、看護師補助をしていたが、そんなミヤビの前に一人の優秀だがちょっと変わっている脳外科医 三瓶友治(若葉竜也)が現れる。彼の強引ながらもまっすぐな導きにより脳外科医として再スタートを切るミヤビだったが、記憶障害は実は操作されていた事実が発覚する。
ミヤビの失った記憶の陰に隠されている「何か」を突き止め、記憶を取り戻して脳外科医としての将来を手にするための三瓶や仲間たちとの日々が綴られる。

脳の不思議、人間の不思議

記憶が1日しかもたない医師がどうやって医療行為をするのだろう。
「記憶」という目に見えない不確かな情報処理能力は実にあいまいでおぼつかない。
最近は特に「昨日何食べたっけ?」の世界で何とか生きている私ですが、私ごときの暮らしにはそれほどの支障はありません。ですが、仕事となれば別です。メモを取り、リマインダーに助けられ、つつがなく業務を遂行するよう努力します。
ミヤビの記憶は毎朝リセットされてしまいます。それも過去約2年間の事すべて。毎朝自分の記憶障害を初めて知るところから始まる朝はどんなにか過酷なことかと想像してしまいます。
ミスの許されない医療現場で、そのプレッシャーと、自分の病と向き合いながら、ミヤビは毎日自分のできる事に愚直に取り組みます。
それにドラマ内にも出てきますが、記憶は仕事のためにだけにあるのではありません。嬉しかったこと、悲しかったこと、切なかったこと……。心や感情と密接につながっています。
原作者 子鹿ゆずるさんは「言葉、記憶、技術は脳の別々の部位が担当していることが解明されています。しかし「心」はどこにあるのか、その正体さえもあいまいなままです」とコメントされています。
それらが毎日失われる絶望は計り知れません。
ですが、ドラマの中には「強い記憶は心が覚えている」といったセリフも出てきます。
なんてことでしょう。
脳も心も人間の機能は本当に不思議です。

伝える事、知ること、探ること。そこに道は開ける

ミヤビは当初、自分の障害から医師として医療現場に携わるべきではないのではと考えてい
ました。しかし、三瓶の登場で、自分の状態や気持ちを周りの人に伝えることが新たな可能性を開いていく事、記憶に問題があっても、鍛錬を積んだ技術は十分医師として通用する事、1つの方法がだめでもいくらでも別の方法でトライできる事を知っていきます。
そしてその経験はミヤビだけでなく周囲の環境や人々の考え方にも大きな変化をもたらすの
です。

これらは整理収納をする時でも同じように活かされます。
自分の現状(どの程度片づけたいのか、どうして片づけたいのか)を共に暮らしたり仕事をする相手と伝え合い、お互いの事を理解し合い、実現するために様々な方法を試し、探ってゆく。
そうすることで、きっと独りよがりでない、みんなの「心地よい空間」が出来上がっていくのです。 そして不思議とそれは伝染し、最初は片付けに後ろ向きだった人の気持ちも変えていきます。
最近特に思うのです。その探ってゆく過程や見つける喜びにも実は心が満たされるんじゃないかなと。そしてその満たされた気持ちはきっと空間にも反映されて、最初に思い描いていたよりももっと素敵なゴールにつながるのではないかと。
空間がいくら整っても心が置き去りでは本当の意味での人生の豊かさはきっと手に入らない
のですから。
「アンメット」とは「満たされない」という意味です。人は皆何かしら満たされないモノを抱えているからこそ、満たそうと一人で頑張るけれど、形は違えどみんなそうだよね、と思いを分け合うことで、自分でも思いもよらない変化や進化を手にすることが出来るのかもしれません。
私も彼らを見習って、まずは自分の本当の気持ちと向き合ってみよう! そしてそれを伝えてみよう!と思いましたよ。(ああ、あれもこれも言ってしまいそうで怖いけれど……)

ドラマは終盤戦。ミステリー要素もありながら、ミヤビと三瓶のこれからにも注目です!

文・みのわ香波
ひつじPlanning主催 整理収納アドバイザー。
ドラマを観る時は「ながら観」はせず、できれば一人でじっくり派。
登場人物の観察からの妄想がルーティン。
ドラマは「暮らしを切り取ったもの」、整理収納は「暮らしそのもの」
「映画に観る整理収納」「ドラマに観る整理収納」(ブログ専用ver)はひつじPlanningのちょっとずつお片付けでゆるっと掲載中。
アンメット ある脳外科医の日記
放送:カンテレ 毎週月曜 よる11時~
出演:杉咲 花、若葉竜也、岡山天音、生田絵梨花、山谷花純、尾崎匠海(INI)、中村里帆、安井順平、野呂佳代、千葉雄大、小市慢太郎、酒向 芳、吉瀬美智子、井浦 新