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「ちょっとだけエスパー」に観る整理収納

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ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。

小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからはそのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。

今回取り上げたドラマは大泉洋さん主演の「ちょっとだけエスパー」 です。
文太(大泉洋)は会社の金を横領し、クビになった元サラリーマン。妻とも離婚し、絶望のどん底にいた。そんな時「ノナマーレ」という会社から面接の案内が届き、社長に気に入れられ、就職が決まる。 社長である兆(岡田将生)から命じられ不思議なカプセルを飲むと文太は「ちょっとだけエスパー」となり指示される仕事をするようになる。それは誰かに傘を持っていかせたり、誰かの携帯の電源を使い切ったりと本当にちょっとしたことなのだが、それがその人たちの人生を良い方向へと導いてゆく。そしてそれは「世界を救うため」なのだと聞かされていた。文太は四季(宮崎あおい)という女性と夫婦として暮らすことも命じられていたため同居していたが、実は四季は兆の妻となるという未来を持った人であった。とある手違いから未来の記憶と現在が混乱している不安定な状態であった四季は文太を兆と思い込んでいたのだ。
同じようにちょっとだけエスパーである桜介(ディーン・フジオカ)、円寂(高畑淳子)、半蔵(宇野祥平)らとともに文太は世界を救えるのか。

事実では測れないもの

ノナマーレの社員たちは動物と話せたり、花を咲かすことが出来るなどほんのちょっとだけ
エスパーだ。 その中でも文太は体に触れるとその人の心の声が聞こえるというかなり役に立ちそうな能力を持つ。
当初、文太は四季が自分を本当は夫と思っていないと考えていたのだが、その能力で四季の
本心を聞くことが出来、四季が心から文太を夫と思い、愛していることを知る。 ノナマーレには「人を愛してはならない」という決まりがあることから、文太は四季を愛すまいと頑張るのだが、どうしても惹かれていってしまう。

第7話で四季はとうとう本当の事(兆との未来や文太との関係)を知り、自分もその記憶を手にするのだが、迷わず文太を選ぶ。 兆にはかわいそうだけれど、人間とはそういうものだよねと思ってしまった。兆との結婚が事実として存在していたとしても文太と出会ってしまったのだ。
物語の中では度々人々のとの関係性が樹木のように映し出されるが、何かと出会い影響を受
け、未来が変わることでその樹形を変えてゆく。
出会うという事実には人の心がもれなくついてくるわけで、心には誰も介入できないのだ。人と人との関係は不思議なものだ。
これはモノと人との関係でもあることだ。
例えばこんな経験はないだろうか。
あなたはとあるレストランで大変美味しい料理と出会う。あんまり美味しかったので再訪して今度は別の料理を食べたらこの間よりもっとおいしい料理と出会ってしまった。 前に食べた料理も最高においしかったけれど今回出会った料理にもっと心が動いてしまったのだ。
人によっては前の料理の方が美味しいと言うかもしれない。 けれど一番を決めるのはあなたなのだ。 新たな料理との出会いはあなたを新たな世界へと連れていくだろう。 だから人もモノも出会うもの、選ぶことをおろそかにしてはいけないと私は思う。 その選択が自分の人生を左右するかもしれないのだから。

程よい遠慮が家事参加につながる

本当の夫婦ではないということが文太に遠慮を生み、それが日々の家事になかなかに丁度
よく作用しているように思う。 食事の準備や片付けなど文太は積極的に手伝っている様子があるのだ。 想像するに前の結婚のときはモーレツサラリーマンだったらしいので、おそらく家庭は省みず、家事も妻任せだったのではないかと思われる。 仕事上の妻という遠慮は職場の同僚感覚で、「自分も仕事として家事に参加すべき」という文太の仕事人間らしさがうまく作用している。 この心理作戦は同じようなタイプの夫に応用できないだろうか。 家事は家の仕事そのものだ。会社のように他人との仕事だと思うようにすれば、「手が回らない仕事はないか」少々自分が疲れていても、「やるべき家事を片づけよう!」ともうひと踏ん張りするのではないかと思う。誰かに家事を任せきりにするという行為は大げさではなくはっきり言って遠慮がない、と私は思う。

それにしても赤の他人の文太がやってきてすぐに家事を手伝えるということは四季ちゃんの
収納がわかりやすいということに他ならない。 手際よくクリーニングの仕事をこなしている四季ちゃんを見ているとキッチングッズの配置などが気になる。もう少し映してほしいな。物語は大詰めまで来ているが、まだ謎がたくさんあって、どんな回収劇があるのか期待が高まる。未来に何が起こるというのか、文太は人々を救うのかそれとも……。

文・みのわ香波
ひつじPlanning主催 整理収納アドバイザー。
ドラマを観る時は「ながら観」はせず、できれば一人でじっくり派。
登場人物の観察からの妄想がルーティン。
ドラマは「暮らしを切り取ったもの」、整理収納は「暮らしそのもの」
「映画に観る整理収納」「ドラマに観る整理収納」(ブログ専用ver)はひつじPlanningのちょっとずつお片付けでゆるっと掲載中。
ちょっとだけエスパー

放送:テレビ朝日 毎週火曜 よる9:00〜
脚本:野木亜紀子
音楽:髙見優 信澤宣明
出演:大泉洋、宮﨑あおい、ディーン・フジオカ、高畑淳子、宇野祥平、北村匠海、新原泰佑、向里祐香、麿赤兒、岡田将生ほか