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「しあわせな結婚」に観る整理収納

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ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。

小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからはそのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。

今回取り上げたドラマは阿部サダオさん主演の「しあわせな結婚」です。
脚本は大石静さん、妻役が松たか子さんと超豪華!期待はおのずと膨らみますね。

主人公の原田幸太郎(阿部サダオ)は、情報番組のコメンテーターからクイズ番組までこなす元検事の敏腕弁護士。独身主義者で生きてきたが、急病で病院に担ぎ込まれたことがきっかけで人生に孤独や不安を感じるようになる。
病院のエレベーターで父の見舞いへ来た鈴木ネルラ(松たか子)と出会い、運命的な恋に落ちる。 そのまま結婚した二人だったが、実はネルラには大きな秘密があった。
過去に、元婚約者で画家の布勢(玉置玲央)を殺害した容疑をかけられていたのだ。
当時の記憶を失っているネルラは本当は殺人者なのか、そして幸太郎はネルラと幸せになれ
るのか?

察するって難しいから

幸太郎は両親が既に他界していて、一人っ子のため文字通り独りで生きてきました。 頭の良さを生かし、早くから家を出て自立した暮らしをしていたようです。 弁護士である彼は口が立ち、頭の回転も速いため、ネルラに対しても疑問に思うことは彼女を傷つけない程度にすぐに聞いて解決します。 口に出せないモヤモヤを抱えている時は法廷での尋問がきつくなるなど態度に出てしまうところは弁護士っぽくなくて人間臭い一面と言えます。

ネルラは母親の死や弟を死なせてしまった罪の意識を背負い、一時大学に行かなくなります
が、父の説得で大学院まで進み、イタリアへ留学し、絵画修復士となります。
やっと生きる意味を得て歩き出したネルラでしたが、布勢の事件から自分を責め、修復士の仕事を辞め、自ら幸せを捨てた暮らしをしてきました。
幸太郎と出会ったネルラは、やっと自分の幸せを考えることが出来るようになったその矢先に布勢の事件の再捜査が決まり、事件を知らなかった幸太郎を不安にさせる結果となっています。

ネルラは自分が幸せを望むと不幸が起こるという連鎖によって、混沌と絶望の中にいます。
問題に解決策を見出して、どんどん前に進む幸太郎と、降りかかる災難を自分のせいだと捉えて、がんじがらめになるネルラとはそもそも物事のとらえ方も解決方法も違います。
幸太郎はネルラのため、夫婦の幸せのために精一杯やっているのに、ネルラはどうして同じように取り組んでくれないの?と理解に苦しみます。 自分のやり方、と相手との齟齬に戸惑うのです。
こんな二人には「整理」が必要です。まずはお互いの気持ちや考えを全出しして二人の幸せの形を話し合い、それに向かって何をしてゆくのかを考えることです。 この時「ん?」と思うことがあってもとりあえずはお互いを受け止めるおおらかさを持ちましょう。実はこれが一番ハードルが高いかもしれないけれど。 「しあわせ」を望んでいても、人によって方法やスピードは違うものです。でもそれは話さないとわからない。察するなんて無理です。
ただ今回の場合、ネルラにとっては恐ろしい記憶の一部が断片的によみがえり、その恐怖はきっと言葉にすることがかなり難しいほど辛いものだったことでしょう。そこは慮ってあげてほしい。 自分の気持ちや状況を言葉にするのが苦手なネルラ。今こそネルラのペースに合わせて寄り添ってあげる事こそが信頼への第一歩になると思うのです。頑張れ幸太郎!
思い合っているのにすれ違ってしまう二人。それでも何とか運命を信じて乗り越えてほしいです。

散らかりにくい二人の動作

ネルラと同居している部屋には幸太郎の持ち込んだモノが見当たりません。もともと彼が住んでいたマンションはそのままなのでそちらにも荷物を置いているとしても、ネルラの一人暮らしと言っても良いほどです。
画面には広いリビングダイニングキッチンと寝室しか映らないけれど、私の妄想では別に収納部屋があって、幸太郎のモノはそこにまとまって置いてあるのではないでしょうか?書類とかパソコン周りのモノとかプライベートの服やちょっとした趣味のものなど、人間一人が増えるわけなのでそれなりの物量はありそうです。そんな部屋があれば見てみたい!

また、幸太郎の動きを観察してみると散らかりにくい動きをしていることに気が付きます。 帰宅すると決まった場所に鞄を置き、スーツやネクタイも外すとすぐにハンガーにかける人であろうことはテレビ局の控室の様子でもわかります。ソファや床の上にポイっと置いたり、間違っても靴下をソファの隙間にねじ込んだりするタイプではなさそうです。何しろ問題を先送りにすることが苦手で、できることは何かしら手を打ち、リスクを回避したい人とお見受けしますので、散らかした後に自分に帰ってくるリスクの方が大きいと考えているのでしょう。
そして極めつけは第3話の最後に出てきた、幸太郎のマンションです。モノが何もないことに驚きました!モデルルームのようです。この様子から、そもそもモノを持たないタイプの人なのかもしれません。 趣味の話も出てこないので、趣味もないと仮定すると、ますますモノは増えないので、散らかりようがないと言えます。幸太郎にとって部屋とはただ「休息をとる場所」のようです。

一方、ネルラは芸術に明るいということもあり、作品的なものや美術関係の本も結構ありますし、キッチン家電も料理の場面があまり登場しない割に充実しています。ただ、美的センスがあるのでモノが多い割にとてもセンス良く配置されていて散らかった印象はありません。
ネルラの場合は空間を演出することも暮らしの大切な要素であるため美しく保つことが苦で
はないのだと思います。(掃除や洗濯はその範疇外ですが)
妄想ですが、幸太郎と出会う前の部屋は「自分に罰を与え続けていた時期」なので、もしかしたらもっと殺風景な何もない部屋か、布勢の事件が起きる前のまま時が止まった部屋だったのかもしれません。 今は温かみがあって寛げる素敵な部屋になっていると思います。
ともかく、二人とも特性は違っても散らかりにくいタイプなのでその部分で相手に与えるストレスはなさそうですね。

幸太郎は結婚当初、同僚に言っていました。
「1 点突破の魅力があればうっとうしさは消える」
うまくいかない時ほどそのことを思い出して!と伝えたい。
夫婦なんてどこの家庭もそこそこスリルとサスペンス。
知性だけでない愛でネルラとの幸せを手に入れてほしいです。

文・みのわ香波
ひつじPlanning主催 整理収納アドバイザー。
ドラマを観る時は「ながら観」はせず、できれば一人でじっくり派。
登場人物の観察からの妄想がルーティン。
ドラマは「暮らしを切り取ったもの」、整理収納は「暮らしそのもの」
「映画に観る整理収納」「ドラマに観る整理収納」(ブログ専用ver)はひつじPlanningのちょっとずつお片付けでゆるっと掲載中。
木曜ドラマ「しあわせな結婚」

放送:テレビ朝日系 毎週木曜 よる9:00〜
脚本:大石 静
音楽:世武裕子
出演:阿部サダヲ、松たか子、板垣李光人、玉置玲央 金田哲、馬場徹、辻凪子、杉野遥亮、堀内敬子、小松和重、岡部たかし、段田安則ほか