ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
毎回一つのドラマと整理収納をリンクして語ります。
今回私が取り上げるドラマは、波留さん主演の「わたしのお嫁くん」です。
整理収納業界の方は観ている方もいらっしゃるとちらほら噂を聞くこのドラマ。
NHKの前期の朝ドラ「舞いあがれ!」で硬派なエンジニアを演じた高杉真宙さんがどんな家事男子を演じるのかも気になりますね。
速見穂香(波留)は大手家電メーカー ラクーン・エレクトロニクスのナンバーワン営業マン。
普段からよく気が付くそつない振る舞いに周りからは「理想のお嫁さん」と言われていますが、実はズボラで汚部屋に住んでいます。
そこへ穂香を慕う家事全般が神的に得意な後輩社員 山本知博(高杉真宙)が、ひょんなことから穂香の部屋を見てしまったことがきっかけで同棲を始めることになります。
同棲のきっかけが、「家事が苦手」と「家事が得意」という利害関係に片思いが絡んでいるというなかなかレアなケースだと最初は思いましたが、今の世の中あり得なくもないのかもしれません。
私の周りでも「子供が同棲をするので家を出る」という話はここ最近結構聞きますし、「同棲」のハードル自体が以前よりだいぶ下がっているようです。
最初はびっくりしましたが恋愛以外でも誰かと生活を共にするということは生活者としてのたくさんの学びもあり、良い経験になると思うようになりました。
同棲のきっかけになった山本くんの「汚部屋」の片づけは見事なもので、
1. モノをすべて出す
2. 要るか、要らないかで分ける
3. モノの居場所を決めて収納する
という順番であっという間に片づけてしまいます。
ただその後、穂香の部屋はたびたびリバウンドしているのがアドバイザーとしては気になるところです。
リバウンドの原因はいろいろありますが、穂香の場合「モノを元に戻す」ことが苦手のようです。
手ごろな高さ、例えばダイニングの椅子の背や棚の上にモノを重ねて置いてしまう。
モノの置き方から「置いた後の事」つまり「使う時の事」は考えていないようです。ただ、置きやすい高さだから置くのでしょう。
ところが、ビジネス用の服に関してはきちんと置き場所も決めて管理できています。
出かける前にスチームをあて、入念にチェックをしているところはさすが営業マンの鏡です!
つまり穂香にとって最も大切な「仕事」に関するモノ(仕事着)は管理できるということで、決して片づけ自体ができないというわけではなさそうです。
だいぶ偏った片づけですが……。
このドラマでは今のところ山本くんと穂香は仕事と家事を「分業制」で行っています。
とはいえ、山本くんもフルで働くサラリーマン。いくら家事が得意とはいえ、家事の全てを引き受け、穂香はお給料を入れるだけというのはバランスが悪い気がします。
まさにこのままでは「都合の良い嫁」です。
前にも書きましたが同棲の良いところの一つに「生活者としての学び」があることだと思います。ですが、汚部屋を脱出できたときに学んだ「お片付け」は残念ながら穂香の身になっていません。
散らかっていることがそもそもあまり気にならないタイプとお見受けしますが、山本くんの想いに胡坐をかいていると(穂香にそんなつもりはないのだけれど)そのうち痛い目に合うかもしれません!
誰かと住む以上、お互いの幸せのために一緒に暮らしを作っていかなくてはなりません。
例えば片付けに関して言えば、共有スペースは自分のモノで散らかさないとか、一緒に使っているモノはきちんと決まった場所に戻すとか。
今、二人のリビングはとても片付いていますが、これがキープできているのは穂香も多少は気を付けて暮らしているからだと思いたいところです。
そう、たとえ穂香の部屋がまた汚部屋になりそうな気配がしていようとも……。
どうか穂香が散らかしたモノを山本くんが拾って歩いていませんように。
さて、二人のキッチンにはオーブン、ホットプレート、電気圧力鍋、 炊飯器とさすが大手家電メーカー勤務というだけあって様々な家電がずらりと並んでいます。
これらを駆使して楽家事を体現してくれる場面もこれから期待できるかな?とこちらも密かに楽しみにしています。