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「テミスの不確かな法廷」に観る整理収納

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ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。

小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからはそのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。

今回取り上げたドラマは松山ケンイチさん主演の「テミスの不確かな法廷」 です。
安堂清春(松山ケンイチ)は前橋地裁の特例判事補だ。
ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けており、そのことを隠して仕事をしている。
幼いころ、この特性のために世間とうまく折り合えなかった安堂だったが、六法全書という明確なルールが世の中にあることを知り、安心したことから法律家になることを志した。
判事になってからはルール(法律)に基づき、自分の感じる事件の矛盾や違和感と丁寧に向き合いながら真実を解き明かす日々を送っている。彼の独特な真実への向き合い方は、同僚や事件に関わる人に様々な影響を与えてゆく。

六法全書は武器の使い方を教える本

3話では、ある運送会社の運転手がカーブを回り切れずに起こした死亡事故に対して、その娘が事故の原因は過重労働にあるとし、裁判を起こします。
実はカーブが回り切れなかった原因には明らかな業務上の無理があったのですが、その無理
な状況は運送業界の法律改定の影響を受けたものでした。
事故を起こした男性の同僚はその全てを知っていましたが、あきらめたように安堂にこう言うのです。
「(運送業界の)法律が勝手に変わってしまって、自分たちを守ってくれなくなった。守られなかった自分たちはいったいどうすればよいのか」
安堂は「労働契約法、労働基準法、労働者災害補償保険法 で保護されます。法律はわが身を守ってくれる武器です。武器の使い方次第ではあなたを守ってくれます。使い方は六法全書に書いてあります」と伝えます。
法律はこの世界を平和で平等に遂行するために必要不可欠なルールです。
しかし、使い方によっては自分にとって味方にもなれば敵にもなります。
その後同僚の男性は法律を味方にし、真実を証言することで、胸を張って生きていく道を選びます。
生きていく中で困難にあった時、どんな法律が自分を守ってくれるのか、私は知識がないばかりかその使い方にも興味を持っていなかったことが少し怖くなりました。

わからないことをわかっていないとわからないことはわかりません

安堂が時々言うセリフですが、全てひらがなで書いたのは「分かる」「解る」「判る」と、どの解釈が正しいのか決められなかったからです。
なぞかけのような言葉ですが、しみじみそうだなと胸に響きますし、「わかる」ということは本当に難しいと思います。
自分をわかる、相手をわかる、状況をわかる、法律をわかる、考えるほどに裁判のように責任を伴う「わかる」の重さにクラクラします。
ただ、ドラマを観ていて、気づくことがありました。
それは、何かを完璧にわかることはできない、でも言葉や行動や事象の理由をわかろうとす
る、そのことがまずは大切なのだという事です。そして自分は何がわかっていないのかを知ることが全てのスタートになるのです。
私の暮らしに関わる事で私のわかっていない事、たくさんありそうです。
税金や保険などお金のこと、健康、仕事など暮らしのこと、平和や選挙など世界や国のこと。60年近く生きてきたのにわかっていないことだらけで我ながら焦りますが、一つ一つわかるようになっていきたいと思います。

考えてみれば、モノやコトを整理する時にも同じようなことをしています。
なぜ所有するのか、なぜそう分けるのか、なぜそのようにしまうのかその理由を一生懸命考えます。
理由なく持っているモノや抱え込んでいるコトの意味に向き合い、手放し、分けて、収めていく。整理収納の考え方はこれからも私の武器となりそうです。

ところで題名にもあるテミスとは正義・法・秩序を司るギリシャ神話の女神の事です。
裁判所の玄関でみかける目隠しをして天秤・剣を持っている、あの女神です。そのテミスの
「不確かな法廷」という題名は確かな事とは何だとおもいますか? と問いかけられているように感じます。
起きた事実と丁寧に向き合いながらその真実を真摯に解き明かしてゆく安堂の物語は後半に
入り、自分自身の事にも向き合ってゆくようです。
彼がどう迷って、考えて決めてゆくのか彼の父親のセリフが引っ掛かっている私です。
「何を言おうと、人は信じたいものを信じる」
ああ、なんて不確か! だからこそ、安堂の決断までの変遷をじっくりと見守っていきたいです。

文・みのわ香波
ひつじPlanning主催 整理収納アドバイザー。
ドラマを観る時は「ながら観」はせず、できれば一人でじっくり派。
登場人物の観察からの妄想がルーティン。
ドラマは「暮らしを切り取ったもの」、整理収納は「暮らしそのもの」
「映画に観る整理収納」「ドラマに観る整理収納」(ブログ専用ver)はひつじPlanningのちょっとずつお片付けでゆるっと掲載中。
 ドラマ10 テミスの不確かな法廷

放送:NHK 毎週火曜夜10時〜
原作: 直島翔 「テミスの不確かな法廷」
脚本:浜田秀哉
音楽: jizue

出演: 松山ケンイチ 鳴海唯 恒松祐里 山崎樹範 山田真歩 葉山奨之/市川実日子/和久井映見 遠藤憲一 ほか