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文通の記憶がよみがえる『ワタシタチはモノガタリ』

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誰かと一緒に観劇すると、共感が何倍にも膨らんだり、違った目線がプラスされます。
作品をフィーチャーしながら、ゲストと共にさまざまな目線でエンタメを楽しくご紹介します。

今回ご紹介する舞台作品は、PARCO劇場で上演中の演劇、江口のりこさん、松尾論さんらご出演の『ワタシタチはモノガタリ』です。
ご一緒したのは、整理収納アドバイザーの鈴木奈保子さん、福永恵さん、みのわ香波さんです。

※以下、作品のネタバレを大いに含みます。

肘森富子(江口のりこ)と藤本徳人(松尾諭)は中学の文芸部に所属する同級生。
中3の夏に東京に引っ越した徳人と富子は文通を始めた。文通の中で30歳でも互いに独身だったら結婚しようと冗談まじりにした約束は、果たされることはなく、徳人は結婚。これを機に富子はそれまで自分が書いた手紙を手もとに回収した。
作家になることを夢見てきた富子は、2人の文通を元にした携帯小説を発表。登場人物は、富子のトを取り「ミコ」(松岡茉優)と徳人のノを取り、リヒト(千葉雄大)。評判を呼び、書籍化、映画化の話が持ち上がるが……。

幕間で盛り上がる
あるあるな話題とは

福永 あれだけ笑かしておいて、
みのわ 最後は……、
鈴木 
ずるいよね。
栗原 いいラストでしたね。あの舞台美術の文字、読めました?
みのわ 言葉じゃなくなかったですか?
栗原 eとaの文字がくるくると切り替わっていたよね?
鈴木 何かに繋がりそう……と思いながらわからなかった。句読点なの?とか思ったけれど。
みのわ 名前とも絡んでないですもんね。

みのわ 千葉(雄大)くんは可愛かったし、江口(のりこ)さんはすごくスラッとしていたなぁ。
栗原 私、前半のトーンやテンポがかなり好きだったなぁ。だから幕間も手紙ネタで盛り上がりましたよね。今、話したらもったいない、と言うほどさっそく刺激されてました。
みのわ 私も妄想癖があるほうだから、富子の感覚はすごくわかります。彼女の言動、ミコやリヒトが出て来たのをみて、私だけじゃない、みんなやってる!って思っちゃった。

栗原 それにしても松尾さんと江口さんのやりとり最高でしたね。
みのわ 二人とも関西だから、ノリツッコミが自然でよかった。
鈴木 間がいいよね。
福永 ウンピョウ(千葉雄大)面白かったなぁ。
栗原 近くにいるマネージャー(富山えり子)が一番、ウンピョウの芸術信じてなかったのも笑った。
鈴木 完全に商材として使ってるんだなぁって(笑)。
みのわ だから自分の作品を理解してくれたあの一瞬で許しちゃうのも皮肉がきいていてよかった。
福永 そこからの落とし方、最高だった。

誰にでもある!?
青春の文通メモリー


栗原 
ところで、文通ってしてたことある?
福永 してた。高校の時に海外留学生のクリスという女の子のシカゴにいる男友だちと1年くらい文通してました。でも途中で音楽の話になって、私が好きだったヘヴィメタをバカにするような反応だったから、止めちゃった(笑)。
みのわ 昔って薄ーい便箋だったよね。AIR MAILって書いてある。
福永 そうそう。
みのわ 私は文通というほどではなくて、それこそ(舞台の二人のように)引越し先の住所を聞いて、しばらく手紙交換はしたかな。それがだんだん年賀状だけになり、自然消滅って感じだったなぁ。
栗原 私は小学生の頃、教材の後ろの「みんなのひろば」みたいなところのペンフレンド募集きっかけで文通してたよ。仙台の女の子と。
福永 会った?
栗原 写真は送り合ったりしたけど、会いはしなかったと思う。
鈴木 それの終わりってどうなったの?
栗原 小学校終わりのタイミングとかだったかなぁ。
みのわ 「みんなのひろば」私も気になってた。これ、出したら遠くの友だちが出来るのかな? なんて思いながら。
鈴木 あれって住所が載ってるの?
みのわ 編集部に送る仕組みじゃない?
栗原 載せるわけはない、よね? いや……
鈴木 時代、時代。
福永 個人情報保護法が出来てから、気にするようになったから、昔は掲載してたかも! そういえば中学校の頃、修学旅行先の子と文通してたのを思い出した。新幹線の中で知り合った子。
みのわ うわー、青春! いいなぁ~。
福永 それがきっかけで向こうの島に遊びに行ったりしたわ。
鈴木 青春やねー。

栗原 舞台の中では徳人が引っ越す時に富子が住所を聞いて、メモに書いてもらったけど、富子から手紙を送らなければあの文通は始まらなかったんだよね。
みのわ あの時点では男の子のほうが子どもっぽい感じだった。富子は好きだけど、徳人のほうは……って感じで。
栗原 手紙って、今みたいに(メール)送ったのに返信がないことにヤキモキみたいなのはあんまりなかったよね。そもそもゆっくり待つものっていうか。
みのわ 郵便受けは毎日みるけど。
栗原 青春だなぁ。

妄想癖と
なぜか定番のアノ台詞

みのわ みなさんは、妄想癖あります?
福永・鈴木 …………。
栗原 私は妄想しかないけど、みのわさんが妄想癖があると自覚したのはいつから?
みのわ 物心ついた頃から。一人で部屋にいると親が部屋に入ってきても気づかず、宙をみて妄想してるんですよ。その時の興味ごとがどんどん広がっていて、それこそ物語が頭の中で出来てて、それをあとで絵本にしたりしてました。親はとまどってましたけど。
鈴木 妄想はしてなかったかなぁ。でも、うちの兄弟は兄、兄、私、だったから一人っ子状態で遊んでた。リカちゃん人形で一人遊びしてた時の遊び方はちょっと兄たちから心配されたけど。(どういう遊び方だったかは自主規制)
あとはJAC(ジャパンアクションクラブ)が好きだったから、志穂美悦子さんみたいにカッコイイスーツアクターになりたくて想像してたりはしたかも。

みのわ 
「30歳になってもお互い独身だったら結婚しよう」って、2人のやりとりが出てきましたけど、同じこと言ってるのを聞いたことがあるんですよ、あれって……。
鈴木 
私もされてた、その約束。
みのわ 
えーっ、どうなったの?
鈴木 
ギリ手前の29歳で結婚したので。
栗原 あれって、ドラマ「ニューヨーク恋物語」でギバちゃん(柳葉敏郎)と岸本加代子がそういう台詞を言ってたんじゃないかと記憶してるんだけど。
みのわ たしかにあった! だから同じフレーズが使われていたのか。

(この後、栗原の妄想癖から先生のアドバイスが嬉しかった話がタラタラとつづいたのを受けて……)
鈴木 自分の原点のところで言ってもらった言葉って結構掘り返すとあるんだね。『ワタシタチはモノガタリ』の中でも文芸部の先生が、富子に「テクニックに走らず、感性のままに書きなさい」みたいなことをアドバイスしていて、ああ、いいなぁと思って聞いてたので。
みのわ 徳人もそれを踏まえて、売れる本のためじゃなくて、富子の良さを出せるようにと考えていたよね。時間はかかるタイプだけどいい編集者さんなんだよね。

たしかにそこに
イケメンがいた

栗原 ところで幕間にナオコさんの思い出の品の中にあった手紙話で盛り上がりましたけど、あれ、何の話でしたっけ?
鈴木 お手紙(ノートや便箋の紙を折ってあるもの)がたくさん出てきたんだけど、そういう相手からの手紙を見て、私が送ったものが向こうにまだあったらどうなってるんだろうという恐怖。なぜかというと、そういうやりとりをしていたこと自体をまったく覚えていないから! 私が相手からそんなあだ名で呼ばれていたことも覚えていなかった。
みのわ 私も大人になってから交換ノートを見たときに「え、これ私?」って思った。恥ずかしいのできっぱり処分しました。
福永 それで言うと今日のストーリーの中であの手紙って本心で書いていたから徳人はオープンにされたくなかったのか? 実は本心ではなく嘘いつわって、かわして、かわして興味がないことを装っていたから恥ずかしくてさらされたくなかったのか。
栗原 どっちだと思う?
福永 徳人さんなりの物語を紡いできたのに、それを公開されて嫌だったのかなぁ。
みのわ 最初から富子の方は本心を書いてたけど、徳人さんは途中から正面から向き合わないようにしていたような。
栗原 これ以上好きになられないように予防線張っていた感じ?
福永 手紙の中の自分は、偽りの自分だったのかな。
みのわ 中身イケメンなんだよね。だから、イマジナリーなリヒトがイケメンなのは、中身のイケメンが昇華してるのかもしれない。
福永 そういう経緯というか思いの変化があったから、編集者として富子の本を軌道修正したいと思ったのかも。
鈴木 徳人は富子の文章が好きだったから、恋愛でおかしな方向に行くのは防ぎたかったのかもね。
栗原 先生が生徒から本気で好きになられないようにかわすみたいな?
みのわ・福永・鈴木 イケメーン!
福永 それを思ったらなんかだんだんせつなくなっちゃって。
みのわ 富子の才能を知っていたから、成功の邪魔をしたくなかったのかな。イケメンだなぁ。
栗原 だから徳人はああいう真逆なタイプの奥さんと結婚したんだよね。実際もウエッティ&ウエッティよりは、ドライ&ウエッティのほうがうまくいくんじゃないかな。なんかお掃除シートみたくなっちゃいましたけど。

みのわ それにしてもラストの演出は良かったなぁ。視覚的にもすごく素敵だった。
福永 エンディングに向かっているあの感じと、要所要所で聞こえて来るあのメロディー。
みのわ あの音楽の映画のように本当は……みたいな雰囲気も感じさせつつ、
福永 そこはかとなく感じさせていて。
栗原 ではあの物語の先あえて考えるとしたら?
みのわ 本を二人で作り上げて、全うする気がします。夫婦も一つのものを作り上げていってるところあるじゃないですか。だから本を作る作業をすることで結実するような気がします。
栗原 本が出てさ、富子がインタビューされてさ、徳人のことをどんな存在か聞かれたとして「編集者です」って答える。それ以上でもそれ以下でもありません、みたいなね。そんな感じだったらカッコイイね。
福永 奥さんの存在は大きいよね。彼女がバシッとお尻を叩いたから成立する話みたいな。

半券提示を忘れてしまってあぁもったいない! でも美味しいビールが飲めました。<シュマッツ 渋谷パルコ店>

みのわ 奥さん、良かったですよねー。紙でゴミ箱折ってたし。
鈴木 みかんの皮入れる用ね。
栗原 天津甘栗の皮でもいいよね。
みのわ 富子の部屋のソファの下には本がいっぱいあった。あれは片づかないとかじゃなく入れておきたかったんだろうね。
栗原 やっぱり整理収納アドバイザー目線、入ってましたね。とにかくキャストがすべてぴったりで、それをこの4人で見れたのもなんだかぴったりでしたね。
ありがとうございました!!

今回エンタラクティブしてくださったのは……
スズキナオコ (Naoko Suzuki)さん
整理収納アドバイザー1級認定講師、インテリアコーディネーター、衣料管理士1級ほか。

東京都在住。夫と仲良く二人暮らし。「収納好き」が高じて、整理収納アドバイザーに。片付けのプロとして15年、一般家庭の片付けサービスを中心に、片付けレッスンの講師も行う。「むりなく、きれいで、おもしろい」お部屋づくりがコンセプト。ブログは、収納だけでなく、暮らしのアレコレを整えるアイディアが、おもしろくてためになると人気。
カタヅケのコワザ

福永恵 (Megumi Fukunaga)さん 
(株)デジタル・ファイリング・ラボ 代表、整理収納アカデミアマスター、整理収納アドバイザー1級。長年、音楽業界、WEB業界にて、PR業務やシステム業務に数多く携わる。整理収納理論が事業や業務にも活かせることを確信し、デジタル整理を推進するデジタルファイリング・ラボを立ち上げ、今年法人化。趣味はゴルフと四半世紀ぶりに再開したドラム。

デジタルファイリング・ラボ

みのわ香波 (Kanami Minowa)さん 
整理収納アドバイザー資格取得後、個人宅の整理収納サポートを開始。各種セミナーや2級認定講座を通して、自らの人生を変えた経験や現場経験を盛り込んだ大好きな整理収納理論の普及に努めている。また、ライフワークとして写真整理ユニット「アルバム姉妹」としても活動中。趣味はアート・建築・映画・ドラマ鑑賞。
お片付けは後始末ではなく、始まりです_ひつじPlanning