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No.3 マリカジ 『ここはグリーン・ウッド』『君に届け』を語る

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ファシリテイト型整理収納コミック「モモとナナ」の作者・マリカジが語るマンガ・アニメの世界。タイトルはよく知っているけれど実は内容はよく知らないというマンガ初心者も読みたくなる!? 胸アツの理由をインタビュー形式でお届けします。

No.3 マリカジ『ここはグリーン・ウッド』『君に届け』を語る

今しかないこの時間を大事にしているのが尊い

―― 『ここはグリーン・ウッド』(那須雪絵)という作品、初めて聞きました。
マリカジ 元々は『花とゆめ』という雑誌に連載されていたマンガです。男子校の学生寮が舞台で、グリーン・ウッドというのは、緑林(りょくりん)寮という寮の名前から付けた愛称なんです。そのグリーン・ウッドに住む男子高校生たちのわちゃわちゃした日常が描かれています。

―― そう聞くと、ドラマ化とかされていそうな感じもしますが。
マリカジ そうなんですよね。作品自体がもうだいぶ昔に連載されていたので、どこかで一度ドラマ化はされていたはずです。
※2008年7月よりTOKYO MXほかにて「ここはグリーン・ウッド〜青春男子寮日誌〜」でドラマ化。
 2019年7月にはSCHOOL STAGE『ここはグリーン・ウッド』として天王洲・銀河劇場にて舞台化。

―― この作品のなにがマリカジさんをムネアツにさせたのですか?
マリカジ 登場人物たちが自由にバカなことをしているところと言いますか。ちょっとギャグ漫画に近いような感じなんです。
壮大な物語とかではなく、ただただ男子高校生たちの生き様を楽しい感じで描く、でも、その時にしかないまぶしい感じなんです。こういう青春を送れたら楽しそうだなみたいな気持ちになるんですよね。作者さんも女性だし、若干のオタク女子目線があるんです。

―― 「イケメン☆パラダイス」みたいな?
マリカジ そうです、そうです。女子も出てきますし、主人公が恋したりもします。でも、そこの話はあんまりメインではなくて、それぞれの若者たちが抱える葛藤なんかがあって、でもそれをバカバカしく描いているんですよね。「こういうのが描けたらいいなぁ」と漫画家として影響を受けている作品です。

―― 先生とか家族も出てくるんですか?
マリカジ 出てきます。主人公のお兄ちゃんが出てくるんですが、結構家族との微妙な関係も描かれていて、そこもハートフルでいいんですよね。私の好きな少女マンガ作品の中に『海街diary』があるんですが、それともちょっと似ているんです。『海街diary』に出てくる人たち、あの四姉妹って、みんなちょっとどこかしらダメなところがある。みんな何か足りなくて、間違っちゃったりとか、人を傷つけちゃったりとかするんですよね。でも、まあしょうがないよね……と思える感じで生きている。
『ここはグリーン・ウッド』は、もう少しラフな感じでみんなのダメなところも描いていて、わっはっはって笑い合いながら、でも今しかないその時間を大事にしているような部分が尊いなぁと思えるんです。
日常の中にある平凡な幸せとか、人のありふれた弱い部分とかをていねいに描いた少女マンガが私は好きなんだなと思います。

―― 少年マンガとは真逆の部分に対して魅力を感じている?
マリカジ 今回ピックアップしている作品でいうとそうなりますね。『ここはグリーン・ウッド』は、兄弟愛あり、親子愛あり、友情も先輩後輩間の愛もありのハートフルな作品なので、なんでもっとメジャー作品として受け入れられていないんだろうって、実は少し憤りを感じちゃったりしてたんです。

一度手放したことで見えた傍らに置いておきたい作品

―― もう一つ推しの作品をあげてくださってますね。
マリカジ 『君に届け』です。ちょっと語ってもいいですか? 恋愛ものがあんまり得意じゃない私が、唯一ドハマりした恋愛少女マンガなものですから。
私の中では少女マンガ好きって、恋愛ものが好きなイメージ。有名な作品がたくさんありますが、私、実は読んだことない作品も多いんです。

―― 『君に届け』は、多部未華子さん、三浦春馬さんで映画化された作品として記憶していますが、未見です。どんな作品ですか?
マリカジ 実は『君に届け』はギャグ要素も結構あったりするんです。主人公の爽子(さわこ)は、見た目が貞子みたいで、ちょっと根暗で、自分のことをネガティブに捉えていた子。その爽子が高校で出会った人たちとの交流の中で自分の良さに気づいていく物語です。恋愛がメインでありつつ、基本的には爽子が自分と向き合い、自分を受け入れて、外の世界と関われるようになるという成長物語なんです。

―― 単純に「君はメガネをはずした方がかわいいよ♡」的な話では、ない?
マリカジ ではないです。さわやか代表の彼氏の風早くんは、「メガネをはずすとかわいいよ」的なことではない、爽子の魅力をちゃんと見てくれる人なんです。そして爽子の方も風早くんが人気者でカッコイイから好きなわけじゃないというところがいいんです。
二人は両想いなのにすれ違っちゃうっていう、少女マンガあるあるなシーンが続くんですけれど、周りはみんな風早くんのことを、さわやか! カッコイイ! 人気者! リーダーシップがある!って見ているけど、爽子は風早くんが「ただそこにいてくれればいいの」って言うんです。
多くを語らないそのセリフ「ただいてくれればいい」って言える爽子ってすごいなぁって思うんです。
この感覚、自分が大人になったから思うのかなぁ?

―― 例えば、あの時助けてくれたから……みたいなエピソードからの好きではないということ、なんですね?
マリカジ もちろん、マンガらしいエピソードは出てくるんですが、純粋に真っ直ぐお互いを見ていたというところがいいんです。そんなの少女マンガだから成り立つことでしょ、と言いたくなっちゃうかもしれませんが、結局リアルもそうじゃないかなって思うんですよね。「この人の仕事が出来るところが好き」なんて思ったとしても、仕事なんていつ出来なくなるかわからないし、いつまでも成り立つ条件ではないですよね。変わるかもしれない条件で相手を好きになると危ない。そうじゃないんだよっていうところを刺激してくれるマンガだなぁと思っています。

―― 深いですね。ただただ青春キラキラ~☆な作品かと思っていました。
マリカジ 青春キラキラ~☆なんですよ、基本は。眩しいんです! でも私がこの作品が好きな理由、ムネアツになる理由はこういうことみたいです。
『君に届け』は結構むずかしいセリフも多いんです。詩的というのかな。だから「これってどういう意味かな?」とつい考えちゃったりして、読ませる作品でもあるんです。

―― 『君に届け』は全30巻。これも読破されてるんですよね。
マリカジ はい。実は、整理収納アドバイザーになってから一度『君に届け』を手放したんです。古本屋に持って行って。でもまたどうしても読みたくなって、買い直したんです。これは傍らに置いておこうって。

―― いいエピソードですね。一度手放したからこそ、これは傍らに置いておきたい作品だと明確に思えたのかも? そういうエピソード持っている方、多いかもしれませんね。今回もたっぷりマンガ愛をありがとうございました。

次回の「ムネアツたからばこ」はアニメ作品をご紹介いただきます。
(聞き手/栗原晶子)

マリカジ
整理収納アドバイザーで漫画家。
元々片づけが大嫌いだったのに、今では整理収納をどんな風に漫画で表現できるかと日々妄想している。
アニメの声優さんが大好きで、夫と娘と一緒に声優さんのライブに行くのが趣味。
ツイッターはほぼ毎日何かを呟いてます。
暮らしハズムお片づけ主催。

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