ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
そんな私が毎回一つのドラマと整理収納をリンクして語ります。
私が今回整理収納とリンクしたドラマは
奈緒さん主演の「ファーストペンギン!」です。
縁もゆかりもない「漁業の世界」に飛び込んだシングルマザー岩崎和佳(奈緒)と、彼女と共に改革の荒波に漕ぎ出した漁師たちの奇跡の実話をモデルにした物語です。
まだ 1 話しか拝見していませんが、これはとってもお片づけの現場と共通する部分がある! とかなり注目度の高い内容でした。
実は整理収納アドバイザーとして多くの方に知ってもらいたい大切な事が隠れているのです。
そして、「実話」がもとになっていると知って、ますます興味が湧きました。
そもそも「ファーストペンギン」とは何を指す言葉なのか?
下の様な説明が公式 HPに記載されています。
ペンギンは元来、臆病な動物。そのため多くの敵が潜む海に、なかなか飛び込むことができない。しかし、勇気ある一羽が飛び込むと、仲間たちも次々と荒海へ!その「勇気ある一羽目」の事を「ファーストペンギン」と呼ぶ。 注1
知らない事を始めることは非常に勇気が要る事です。知らない=不安・怖いという事もできるかもしれません。
主人公の和佳は家なし、金なし、仕事なしのシングルマザーで見知らぬ港町にやってきます。
機転の利く、バイタリティーのある女性ですが、高校時代に正しい事を教師から理不尽に否定され、納得できないまま長いものに巻かれた苦い過去を引きずっています。
そんな機転の利く和佳に目を付けた漁師の片岡(堤真一)は「この浜を立て直してほしい!」と依頼します。
片岡は仲間の中山(梶原善)、磯田(吹越満)と「さんし船団丸」という会社を経営しているので
すが、こちらも経営危機まっただ中! その原因の一端が漁協との関係にあることをわかっていながら甘んじている、ちょっと頼りない優柔不断な男性です。
和佳は浜から消費者へ直送する「お魚ボックス」の商品化をすぐに思いつきますが、片岡たちから大反対されます。
理由は「昔から漁協を通さずに魚を売る事はしてこなかったから」。
つまり、今までのやり方を変えて何か起きたら困る、だからやりたくない。という事なのです。
和佳が提案したことはまさにファーストペンギンにならないとできない事でした。
そして、そんな勇気は片岡たちにはなかったのです。
立て直してほしいと依頼しておきながら納得できる理由もなく動く勇気がない片岡たちに和佳はかつての「長いものに巻かれた」苦い経験を思い出します。
家や職場を整理する時もこのような摩擦は大なり小なり起きます。
今までのやり方をがらりと変えたり、全てを見直して問題点に正面から取り組むことは
面倒だったり、変化を望まない人もいるからです。
特にそれをすると困る人や、指図されたくない人は強く抵抗するかもしれません。
「困る」というのは自分の利益を脅かされると言い換えることもできます。
ではそんな中でも整理を前に進めるためにはどうしたらよいのでしょうか。
それは、整理する人「皆で同じ強い目的を持つ」ことです。
職場であれば、整理をすることでモノを探さなくなり、お客様対応も早くなり、空間がスッキリして気分よく仕事が捗るようになります。
その環境が利益と時間を生み出し満足度も上がるといったいい事ばかりと言えます。
その先に具体的に利益で数値目標を立てるとますます効果は見える化できます。
目的を決める時に大切なのは、ドラマの中でも地元の統括さんのアドバイスとして出てきます。
「商売は売り手も買い手も社会にも皆が得するようにしなければいけない」
つまり、それに関わる人皆が「やってよかった!」と思い、満足できることが大事という事です。
その様な目的が提案できれば、多少紆余曲折があっても同じ方向で頑張ってゆけます。
実は和佳は最初はこの仕事に自信もなく乗り気ではありませんでした。
ですが、魚嫌いの自分や息子が美味しく魚を食べられたことや(このお魚がと~っても美味しそう! )片岡の「この浜を元通りの活気ある浜にしたい」という言葉に自分の目的も重ねたよう
です。そして和佳自身が「やりたい」と思っていることもとても大事な点です。
人は「やりたい事」には、大変でも楽しく取り組むことができますし、それこそが目的を達成で
きるかできないかを分けるポイントと言えます。
片岡たちと和佳の気持ちにはまだ温度差があります。そんな煮え切らない片岡や高圧的な漁協のトップ杉浦(梅沢富雄)に和佳が啖呵を切る場面は必見です!
それは彼らにだけでなく、間違っているとわかっているのに踏み出さない人皆に向けられているような激しさがありました。過去の悔しさを今度こそ自分の知恵で乗り越えられるのか?
まだ腹をくくる事が出来ない片岡たちを奮い立たせ、「漁協や社会にとってもこの改革は必要な事」と分かってもらい「皆が満足できる改革」はどんな提案なのか、和佳の機転が発揮される
見どころです。
さあ、後は一歩飛び込む勇気を持つことです。
実はこれが一番大変な事かもしれませんね。
整理収納サポートに伺うお客様も「依頼するのに勇気が要った」、「家族に協力してもらうのを話すのが難しい」とおっしゃいます。
でも、でもですよ、その先にうっすら見えているのは素敵な世界ではありませんか?
それが見えているなら、是非エイっと飛び込んでみましょう。
片岡の言う通り「あと 10 年 20 年、どれだけ生きるかわからない」
そう、人生はアッという間なのですから。
今後、さんし船団丸の面々がどんな風に変化してファーストペンギンである和佳に続いて海に飛び込んでゆくのか。
威勢の良い和佳(奈緒)が古い慣習に縛られた海の男たちを先導してどんなステキな未来を見せてくれるのか、ワクワクします。
注1:「ファーストペンギン!」公式 HP イントロダクションより抜粋