ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
そんな私が毎回一つのドラマと整理収納をリンクして語ります。
私が今回整理収納とリンクしたドラマは
連続テレビ小説 福原遥さん主演の「舞いあがれ!」です。
ものづくりの町、東大阪で生まれ育った主人公 岩倉舞(福原遥)は幼少期、引っ込み思案で病気がちでした。五島列島の祖母 祥子(高畑淳子)や島の人たち、東大阪の人たちに囲まれて過ごすうちに少しずつ自信をもって自分の意見を言えるようになり、元気に成長します。小さいころから空に憧れる舞は大学生になり、飛行機づくりに情熱を燃やす仲間と出会い、夢を追いかけてゆきます。
ドラマでは今、舞は大学生で人力飛行機サークル「なにわバードマン」に所属してパイロットとして頑張っているところを放送していますが、
整理収納アドバイザー的にわたしが最初に注目したのは祖母 祥子の家です。
身体が弱かった舞は一時、環境を変えるために祖母である祥子の家に一人で預けられていた
ことがあります。
祥子は娘のめぐみ(永作博美)が家を出てからずっと一人で亡き夫の釣り船を操縦したり、畑を耕したり、手作りジャムを売店で売ったりして暮らしていました。
五島列島に住む祥子の一軒家は土間がある古い日本家屋です。
今はあまり見かけなくなった土間ですが外と中のちょうど中間の立ち位置で、外から差し入れを持ってきた人なども靴のまま奥まで入る事ができます。
土間と居間の間に高めの上がり框があって、そこで靴を履いたり身支度したりするのですが、非常に便利に使われていました。
土間から部屋に上がらずに座って話すこともできますし、広さもちょっとした廊下くらいあります。祥子さんは端の壁にフックをつけていて、毎日使う畑着や帽子、タオルなどをまとめてひっかけて収納していました。その横にはスリムな引き出し収納もあって恐らくここにも外に行く時に必要な虫よけや、荷物を出す時に使う梱包材や洗い替えのタオルや軍手などが入っているのかな、と妄想が広がります。(今後どこかで開けないかしら)
これは整理収納で言うところの「グルーピング」という手法で、別々の用途のモノを一か所に集めて置くことで、作業をする時に効率的な収納法です。
祥子さんが畑に行くときに必ず通る場所に必要なモノが全て揃っているので動線的にもとて
も良いですし、多少畑仕事で汚れて帰ってきても土間と繋がっているので汚れを気にせずに
済みます。
祥子さんの家は全体的にスッキリと片付いていますが、ただスッキリ片付いているだけではなく、効率が良い収納になっているという事ですね。
毎日忙しく働いている祥子さん、効率よく動けるように無意識的にもこのような仕組みができているのかもしれません。
子供でも大人でも関係なくまっすぐ向き合う祥子さんはとっても素敵ですが、きっとモノともきちんと向き合っているのでしょう。
手に取って使ってもらえるモノたちはとってもいきいきして見えます。
また、ドラマの中でナレーターを務める五島列島の名物、「バラモン凧」(さだまさし)は、舞や兄の悠人(横山裕)が生まれた時に祥子が用意していたモノで、大切にしまわれていましたが、
舞に見せてあげようと、すぐに出してくることができたところを見ると、どこにしまったのかちゃんと覚えていたのでしょう。
何年も前にしまっても、「ちゃんと場所を覚えている」という事はとても大切です。
思い出が詰まった大切なモノだと思ってしまいこんで、今は居場所がわからなかったり、もはやある事すら忘れてしまっているなんてことは案外よくあります。
本当に大切なモノは大切にできる量(手入れをできる量)を決めて、忘れない場所にしまっておくことがおススメです。またはしまわないで愛でられるところに飾っておくのもいいですね。
タイムリーに舞に渡すことができたバラモン凧はその後も舞を勇気づける大切な役割を果たしていきます。これこそモノが活かされていると言えるでしょう。
五島列島で祥子と過ごすことで、自分の本心と向き合い、考え、ちゃんと言えるようになった舞はめきめき元気になり、東大阪に帰ってきます。
さて、東大阪の舞の家も整理収納目線で見てみましょう。
舞の母親のめぐみは夫浩太(高橋克典)の工場の手伝いをしながら家事も担当しているとても忙しいお母さんです。
その割に画面に映るキッチンはスッキリと、とても効率よく料理ができるように片付いています。
使用頻度の高いフライパンや調理器具は手に取りやすい場所に吊り下げて整然と並んでいて、いかにも使い勝手が良さそうです。めぐみが留守中に浩太と悠人が料理をしていましたが、普段キッチンに入らない様子の二人でも調理に困らなかったのはこの「わかりやすく、効率重視の収納」が大きな力を発揮したといえるでしょう。
この効率重視のキッチンツールの並びは、五島の祥子のキッチンを彷彿とさせます。
今と違って学校で整理収納について学ぶことが無かった世代(私と同世代)は親の片づけしか見る機会がないので、自然とその方法を身に付けていったのかもしれません。
主人公の舞の部屋にも少し触れましょう。
舞の部屋はいつも片付いていて、スッキリしています。
そもそもモノが少なく、教科書系も少ないですし、年頃の女の子の割にはおしゃれよりも飛行機に興味が向いているようなので、服やバッグなども少ない様子。
「モノが少ない」と、それだけで片付けることが減るので、綺麗を保ちやすいと言えます。
今後、恋愛などが絡んでくるとモノも増えてくるのでしょうか(キャラ的になさそうですが)。
さて、幼いころの面影を思い起こすような、行動が時々ちょっとどんくさい(ごめんなさいね)舞。
先日は勢いよく飲みほしたプロテインと思しき空のカップを今からすぐ洗うのにしっかり蓋を閉め直していた場面には思わず「あら、閉めちゃった!」と突っ込みました。
今後もこんな場面が密かに楽しみです。
そんな舞ですが、うまくいかない事にもあきらめずに自分の本当の気持ちに正直に頑張る姿
は朝ドラの王道です!
思わず応援したくなるヒロインが今後どんなフライトを見せてくれるのか?
先ずはテスト飛行が無事に飛べるよう祈るばかりです。