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『茶飲友達』クリエイターインタビュー/三宅宇太郎(グラフィックデザイナー)

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映画『茶飲友達』クリエイターインタビュー01

official photo&book「family face」のデザインを担当したグラフィックデザイナーの三宅宇太郎さんにご自身のキャリアやphoto&bookのデザインについてうかがいました。

-- 三宅さんがデザインのお仕事を始められたきっかけを教えてください。
三宅 僕は陶芸の町、栃木県益子町の出身で両親ともに陶芸家なんです。周りには窯がい
くつも集まっている地域だったので独特の環境だったと思います。小さい頃から絵は好き
でよく描いていました。田舎だったので、音楽、映画、ファッション、雑誌などカルチャー
を感じるものが身近に少なかったので羨ましいと思っていました。

-- 当時好きだったもの、気になった作品といえば?
三宅  映画は『スワロウテイル』(1996 /岩井俊二監督 ) や『トレインスポッティング』(1996 /ダニー・ボイル監督 )、雑誌なら『H』なんかが好きで、カルチャーを感じるクリエイティブに興味がありましたね。
デザインに関わるようになったのも、きっかけとしてはデザイン関係なら自分にも出来そ
うだと思って学校に行ったのが始まりです。「グラフィックデザイン」なんて実際にはよく
わかってないままスタートしたのが本当のところです。

-- 現在は映画関連の宣伝美術を手がけることが多いとうかがいましたが、それはいつの何がきっかけだったのですか?
三宅  制作会社で広告の仕事をした後は、タイポグラフィの巨匠、アートディレクターの
浅葉克己氏の事務所で修行をさせてもらっていた時代もあります。タイポグラフィやグラフィックデザイン漬けの毎日で、忙しいけど学びも多く、思い返すと一番青春だったかなぁ。
雑誌のデザイン会社なども経て、ある時、『大人は判ってくれない(フランソワ・トリュ
フォー)』など数多くの宣伝美術を手掛けた「野口久光」氏の展覧会用の図録デザインの仕
事が個人的に舞い込んできました。結果的にそれがフリーとしての 1 本目の仕事になりま
した。今思うと、自分の行く末が導かれていた気もします。

その後、映画『横浜メリー』(2005) の中村高寛監督が、2016 年に手がけた『禅と骨』というドキュメンタリー映画の映像内で使うタイポグラフィの話をいただいて 300 カットくらいデザインしました。宣伝美術もそのまま担当することになり、それが映画の宣伝美術を
主とする今につながっています。

-- 今回、映画『茶飲友達』のphoto&bookのデザインを手がけられましたが、はじめに映画をご覧になった感想を教えてください。
三宅 この映画の存在は既に耳に入っていましたが、外山監督の作品は観たことはありま
せんでした。映画を観た感想は、社会派でありながらドラマ性が高く、これがオリジナル
作品であることがまずすごいなと思いました。また、これは ENBU ゼミナール作品の特徴
ともいえるかもしれないけど、キャラクターが本人に見えてくるのがすごいなと思ったり。
特にティーガールズを演じたシニアの皆さんが生き生きしていて、そこが救われたなぁ。
テーマは重いけど、しみったれた気持ちにならない、彼女らは人に求められているし、そ
の生き生きとした感じが photo&book に掲載した写真にも表れていると思います。

-- 今回のphoto&bookには映画の題名とは違う「family face」というタイトルがついています。発案は三宅さんでしたよね。photo&bookをデザインするにあたり、大量のスチール(ポートレートや場面写真)をご覧になった時の印象は?
三宅 素晴らしかったです。ただの写真ではなくて、その人の存在が写っていると感じま
した。なので、最初に松井さんの写真を見た時に、ある程度ページのイメージは出来上がっ
ていました。タイトルに関しては、映画から独立したコンセプチャルブックとして成立す
ると思ったので提案してみました。

-- デザインワークの中でこだわった点を教えてください。
三宅 全体の雰囲気や流れですね。ガチャガチャしたものにはしたくなくて、シンプルに
写真を見せていく、言葉を伝える、落ち着きのあるものにしたいなと思いながらデザイン
しました。
表紙は匿名性があるものがいいなと感じていて、最初の打ち合わせの時に、監督に「この
お茶は何色ですか?」と質問した時からぼんやりとイメージは湧いていました。はっきり
と誰かはわからなく、ページをめくっていくと登場人物たちの輪郭(顔)が現れるという
流れです。冒頭の外山監督の文章がとてもいいので、順にページをめくって読んでいただ
くとしっくり来ると思います。

-- たくさんの方に映画と共に、手に取っていただきたいですよね。最後に三宅さんの今後のお仕事の抱負をお聞かせください。
三宅 あまり先のビジョンを持つタイプではなくここまで来てますが、最近は人とのつな
がりが仕事につながることも増えています。映画の仕事が好きだし、楽しいので、今後も
さまざまな作品に関われたらいいなと思っています。

三宅宇太郎(Utaro Miyake)
グラフィックデザイナー/アートディレクター

1984年栃木県益子町生まれ。映画の宣伝美術を中心に幅白くデザインやディレクションを手がける。タイポグラフィで参画したTRIAXIS 須磨海岸(設計/ICADA)では2019年日本空間デザイン賞金賞を受賞。その他に東京TDC 賞、Graphic Design in Japan、 世界ポスタートリエンナーレトヤマなど入選多数。
HP→ https://utaromiyake.com/
INST→ https://www.instagram.com/utaromiyake

三宅さんがデザインされたphoto&bookは、劇場でお求めいただけます!

「family face」official photo & book

判型:A5サイズ・38ページオールカラー

価格:1,000円(税込)

劇場にて販売

茶飲友達
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2023年2月4日(土)ユーロスペース他全国順次公開

監督・脚本:外山文治
出演:岡本玲 磯西真喜 海沼未羽 /
渡辺哲

配給:イーチタイム (c)2022茶飲友達フィルムパートナーズ 2022年/シネマスコープ/5.1ch/135分