日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
あれ、夏の甲子園、決勝は明日じゃなかったっけ?
と思ってしまうようなタイトルだ。
7年ぶり何回目の……とは、発熱のことである。
そもそも頑丈に出来ている。
冗談じゃなく、周囲には「熱はオリンピックくらい、4年に1回くらいしか出ない」と言っていたが、近年はそれもはるかに超えて出すことがなかった。
そういえば週イチ義母宅に通っていた4年4カ月、私の体調都合で行けなかった日はなかった気がする。
そもそも頑丈に出来ているのだ。
7年前は取材でご一緒していたカメラマンがお子さんからもらったインフルエンザがうつった。まあまあな時間をかけて撮影カット数も多く、「密」の状態だったのだ。
当時はその言い方はなかったけれど。
翌朝、編集部からの電話で「カメラマンインフルエンザ罹患」の一報を聞いて、
祈るような気持ちだったり、気休めで辛いものとか食べて発汗しようとか(そもそも気休めにもなってない?)したけれど、
大人になってから初めてのインフルエンザだった。
月日は流れた。風邪らしい風邪もひかずに過ごしてきたこの数年間。
そして流行りものには乗らないタイプだと豪語してきた私は、
わかりやすい流行りは去ったこのタイミングで、罹患し、発熱したのである。
発症翌日、病院の予約が取れ、自転車で向かった。
行きは10以内で行ける距離にあるのでとても便利。
(帰りは登りなので、もう少しかかる)
大きな病院なので発熱外来の対応は非常にスムーズ。
前日より熱は落ち着いていたので、気持ちも冷静だったが、ネットで予約したことに安心して診察券を忘れるミスはありつつも、それはなくても対応してもらえた。
そんな患者さん多いんだろうね。
プレハブ小屋で待機している間に問診表を書く。
熱、咳、痰、鼻水、頭痛、関節痛、ふらつきなどなどの症状がそれぞれあるのかないのかを書き込み、ある場合はいつからなのかを記入する。
ようやく呼ばれた。
ビニールの仕切り越しにお医者さんが問診票を見ながら淡々と確認していく。
そして症状に合わせた薬の説明があった。
熱は38.8度(私が今回発熱した最高体温)くらいまで上がったら、解熱剤を飲んでください。
咳の薬、毎食後飲んでください。痰は今は出ていなくても上手く切れないと咳の原因になりますから薬出します。飲んでください。
指さし確認のようにピチッピチッと言われるので、「はい」「はい」と背筋を伸ばして答えていた。
「鼻は、かみましょう」
え、ここ笑うところ? と思ったが、元来真面目な私は「はい」と答えた。
そして頭の中で「鼻は出たらかむ、鼻は出たらかむ」と繰り返した。
「熱は乱高下という感じなんですが、そういう場合は……?」
と質問すると、
ほんの一瞬「だーかーらー!!」というテンションをメガネの端に見せたそのお医者さんが
熱は38.8度(私が今回発熱した最高体温)くらいまで上がったら、解熱剤を飲んでください。
と一言一句変えずに説明した。
「はーい、スンマセン」と心の中で舌を出しつつ、「はい、承知しました」と真面目に返答し、お礼を言った。
1日に何回何十回とこのやりとりをしているお医者さんの苦労を思えば
一瞬の「だーかーらー!!」くらい許せるのである。
向かいの薬局で薬を処方された際、薬剤師さんが1種類ずつ丁寧に説明してくれた。
これまた1日何回何十回としているはずだ。
「解熱剤は高熱が出なかったら飲まないでいいとお医者さんに言われたので、これは今日以降高熱が出なかったら余らせていいんですよね」と聞いた。
「だーかーらー!!」はなく、「そうです、そうです!!」と薬剤師さんは言った。
「解熱剤は1年もちますから、飲まなくても捨てずに取っておいてください。頭痛とか発熱の時に使えますから」
いろいろ丸っと収まって、こちらも心からのお礼を言って薬局をあとにした。
ただね、私さ、次に熱が出るのは何年後かわからないんだ。
今回が7年ぶりだったんだもの。
こんな消費期限切れはむしろウェルカムだけどさ。
※写真はコロコロしたずんだ団子が7つということで……