気整楽の書 PR

Vol.14『三度思いて後おこなう』

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

今年になってまだ3カ月というのに、すでにやり切った感が強いのは年度末だからだろうか?!
それとも昨年の冬から準備していたことが完結するからだろうか?

14年続けた事業のひとつを、この3月末でやめることにした。
うすうす気づいていながらも気づかないふりをしていた自分の気持ちに向き合う出来事があり、その事業をやめる決心をしたのが昨年の冬だった。

自分ひとりで始めて、自分だけで完結することなら、躊躇なく始められるし、やめられるが
自分だけでなく、周りへの影響があることには、始めることもやめることにも慎重だ。

若い頃の自分は怖いもの知らずで、相手のことを思いやる気持ちも少なく失礼で、自分勝手。感情的で直感で動く軽率な人間だったけれど、年齢を重ねるごとに責任のある立場にもなり、用心深く、周到に準備して動く慎重な部分も多くなってきた。

特に断る時、やめる時ほどよく考える。
感情的になって断ったり、やめたりしないように。
少し時間をかけて自分の気持ちを冷静に見つめて、言葉選びも行動も慎重にする。

昨今は決断が早いことが正義のように叫ばれているが、何もかもが当てはまるわけではないはずだ。

『三思後行』さんしこうこう
三度考えた後に行動するという意味。物事を行うときに、熟慮した後、初めて実行すること。

本来は、あまりに慎重になり過ぎると行動に移せないということを戒める言葉であったが、今では一般に浅はかな行いを戒める言葉として用いられる。

今回やめてしまう事業も、周囲の影響や後々のことをよく考えて決断したし、関係者にも丁寧に伝えた。
そこまでしなくてもよい?ということもあったけれど、最後まで納得のできる形で終えたいと思い、これまでの感謝を行動で示したつもりだ。

やめる寂しさよりも今は肩の荷が下りた方が大きくて、気分はとてもスッキリしている。

50歳を過ぎたら、熟考の上、広げていたものを狭め、少しずつ減らしていき、シンプルにしていきたい。
前回のエッセイでも書いたように、今年はそうやって、尖らせていくつもりだ。
やめていいこと、変えたいことはまだあるはずだから。

書・文・松杏
子供の頃から文字を書くのが好き。小学生で習っていた書道を40歳過ぎて再開。文字の美しさ、墨の表現力に魅了されている。
書と整理収納の共通点は余白とバランス。