理由あって週イチ義母宅 PR

いくつになっても自己肯定感

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理由あって週イチ義母宅に通っていた。
これは、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、ちょっとしたホントの話だ。

理由あって施設に入所している義母への面会は3カ月ぶりだった。
先月は夫が撮った動画を見たりもしていたし、様子も聞いていたのでさほど心配はしていなかったが、当然私の顔も名も忘れているだろうなと思っていた。

でも、義母は絶対に「わからない」とは言わないだろうし、聞くだけ野暮なので、
当たり前のテンションで話しかけようと決めていた。
休日の施設のロビーは静かだ。
車椅子の義母は顔色も良く、ヘルシーに見えた。
そしてほとんどの時間、おしゃべりをしていた。

発する単語の7割は言葉になっておらず、聞き取れない。
なぜかハングル語のように聞こえる。
それでもご機嫌に一生懸命話してくれるので、「ん?」と「そうなんだ!」を多用しながら、面会時間いっぱいに会話を続けた。

会話の中に、馬や数字がちょこちょこ出て来た、ような気がした。
そこで私の想像力というか妄想力が爆発。
「ははぁーん、これは同じフロアに競馬好きな人がいるとみた。昨日は日曜日だから、きっと競馬の話をしていた人がいたのではないだろうか」
これに関しては確認のしようもなく、あてずっぽうもいいところだ。
でもそんな風に想像して、義母が誰かの何かの影響を受けて話をしているのだったらいいなと思ったのだ。願ったのだ。

面会時にはコンビニのどら焼きを差し入れするのが、ここ最近の定番。
しかし、この日は最寄りのコンビニにどら焼きが売っておらず、差し入れはスーパーで買った小さな柏餅にした。
その場で葉を剥き、一緒に食べて、食べ方を見せながら、義母が食べ物を口に運ぶ姿を久しぶりに間近で見る。
その日の小さな柏餅は、結構ベタついて食べやすくはなかった。
案の定、義母はあまり美味しそうな顔をしなかった。
この正直な感じも変わらないので安心だ。
ベタついた指を拭きながら、
「それにしても〇子さん、お肌の調子が良さそうね!
お化粧していなくてもつやつやしていてピンクのシャツが似合っているわよ」

実際、義母は肌ツヤが良く、髪の毛もふっさふさ。
やはりバランスのいい食事の効果だろう。逆に言えば、週イチで通っている頃は、
食べたいものを食べたいだけ……だったから、心には良くても肌ツヤは今の方が何倍もよいことの証明だ。

歯が浮くような褒め言葉を私から受け取った義母は、「そう?嬉しい」とニコッと笑った。
褒められ慣れている人は、こういう時、素直に受け止められるのだ。
いくつになっても自己肯定感は大事。

自分を褒めて欲しいだけの承認欲求ほし子さんではなく、
ちゃんと他人を褒めることが出来る人だった。
もちろん平気でディスる人でもあったけれど(笑)。

差し入れ予備に持参したバウムクーヘンは渡し忘れて持ち帰った。
ミニペットボトルのお茶を蓋を開けて渡したら、
お猪口のように蓋に注いで飲もうとしたから慌てて止めたり、
ちゃんと笑った約20分。

次は満面の笑みを引き出す、どら焼きを必ず持って行くよ。

理由あって週イチ義母宅
始まりの朝、笑顔だった理由理由あって週イチ義母宅に通っている。これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、ちょっとしたホントの話だ。週イチ義母宅通いに終わりが来た日の朝の話...