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外国人にも大好評!_十一月歌舞伎座特別公演 ようこそ歌舞伎座へ

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歌舞伎をほぼ毎月楽しんでいる50代男性。毎月観るために、座席はいつも三階席。
印象に残った場面や役者さんについて書いています。

今月は舞台機構設備の工事実施のため通常の興行とは違った形の公演です。時間も短いので、チケット代も半額になっていたので、二階席の最前列で観劇しました。
いつもと違って役者さんの顔が、よく見えます。いつもの必需品、オペラグラスを使う必要がありませんでした。

最初は「ようこそ歌舞伎座へ」ということで、中村虎之介さんが進行を担当し、歌舞伎座に来るのが初めて、歌舞伎を観るのが初めての方向けに、易しく解説をするコーナーです。
音楽が流れて、スポットライトが花道にあてられると、すっぽんのあたりにタキシードを着た虎之介さんが立っていました。新宿大歌舞伎で絶賛した若手のホープです。マイクを使って軽妙な挨拶から始まり、松本幸四郎さんに話しかけると、映像が流れ始めるという形でスタートしました。

歌舞伎町で観る!_歌舞伎町大歌舞伎歌舞伎をほぼ毎月楽しんでいる50代男性による、三階席からの歌舞伎レビュー。印象に残った場面や役者さんについて語ります。今月は歌舞伎町で上演中のその名も「歌舞伎町大歌舞伎」。中村屋のさすがの芸達者ぶりが楽しめる演目そろいでした。...

映像で松本幸四郎さんが挨拶をはじめ、搬入口から始まり、舞台裏の説明を裏方の方に話を聞きながら紹介していきます。「上手」「下手」の説明から上手裏、下手裏の担当の方に仕事内容を聞き出したり、大ぜりに乗り、地下まで下りてみたりと普段みられない舞台裏がみられ、ワクワクしました。また、早送りでしたが、大道具の方の仕込みとバラシの様子がみられました。映像が終わると、会場のお客様と一緒に皆で見栄をしたり、殺陣をみせてくれたり、黒子の説明をしたりと楽しい時間がすぎました。

途中で、出演者の中から今日は中村萬太郎さんが登場し、トークに参加しました。
さらにここで、黒子の衣装を着た尾上音蔵さんが、英語が得意のご様子で、通訳をされていました。

後でやる「石橋」の演目の説明もありました。いつもながら外国の方も大勢いらっしゃってましたので、親切でよかったと思いました。

美しい緞帳を写真に収めている人も多かったです。2階席最前列からの眺めはなんと近いことかと実感。

お芝居に移ります。最初は、「三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場」です。
同じ「吉三」の名を持つ三人の盗賊のお話で、初めて三人が出会う場面です。
最初に登場するのは、尾上左近さん演じるお嬢吉三です。最近、本格的に女形をやりだした左近さんですが、このお嬢吉三は、実は男なんですが、女のふりをして、夜鷹のおとせに近づいて、おとせの持っている客が忘れた百両の金を奪うと、川に突き落としてしまって、男に戻ってすごんだセリフをいうところが見もので、そのギャップに客席も沸きました。
中村歌昇さん演じるお坊吉三と、坂東亀蔵さん演じる和尚吉三がその後登場し、見栄をして終了です。お話の、本当の最初の部分だけで初めての方にも味わってもらおうという感じです。

最後の舞踊「石橋(しゃっきょう)」は、「石橋物」と呼ばれる所作事の一系統です。
舞台上に三味線、長唄、鳴り物の方が登場し、演奏を行います。長い毛を用いて、頭を下げ、地面を毛で左右に大きく振る“髪洗い”、ぐるぐる毛を振り回す“巴”、毛を後ろから前に振り下ろし地面にたたきつける“菖蒲叩き”が有名です。
赤毛の獅子の精は4名。中村萬太郎さん、中村種之助さん、中村福之助さん、中村虎之介さんです。基本的にこの4名は、同じ動きをするので、全身を使った激しい動きをしながらも、目で他の方を確認して合わせます。特に、巴といわれる毛をぐるぐる振り回す動きの場合、後半で盛り上がってくる時には、毛を振り回すスピードも回数も日によって違うので、とても大変なのだろうと素人ながらに感じます。でも、派手な動きなので、見るだけで楽しくなってきてしまうのです。

白毛の獅子の精は、尾上松緑さんで、一段高いところで舞っています。大御所感をだしている感じです。有名な連獅子では、赤毛が子獅子、白毛が親獅子なので、今回の「石橋」でも赤毛の獅子の精は、若々しく激しく舞っていたと感じました。

今回は特別公演ということで、いつもより外国の方の割合が多い気がしました。この演目は、解説がなくても、歌舞伎の華やかな一面を感じられる演目ですので、舞いが終わったときの盛り上がりは、すごかったです。獅子の精が5名も並ぶと圧巻ですからね。

今月は筋書はなしで、いつもの売り場には「口上太郎」人形が座っていました。ユーモアたっぷり

通常の興行とは違う形でしたが、私も二階の最前列といういつもと違う経験ができましたし、とても楽しく過ごせました。来月の通常の歌舞伎が、また楽しみです。

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舞台写真付きの詳しい歌舞伎レポートは、エンタメターミナルの記事

文・片岡巳左衛門

47歳ではじめて歌舞伎を観て、役者の生の声と華やかな衣装、舞踊の足拍子の音に魅せられる。
以来、たくさんの演目に触れたいとほぼ毎月、三階席からの歌舞伎鑑賞を続けている。
特に心躍るのは、仁左衛門丈の悪役と田中傳左衛門さんの鼓の音色。