ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからはそのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回取り上げたドラマは大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」です。
主演の横浜流星さんはカンヌでも上映された映画「国宝」でもとても注目を浴びていますね。
本屋さんでおなじみのTSUTAYAさんとは直接血縁などがあるわけではないそうですが、な
んとなく響きに親しみがわきます。
主人公の蔦屋重三郎は幼いころ吉原遊郭の養子となって育ち、貸本業から出版業を興し、業
界の風雲児として活躍してゆく。また、喜多川歌麿や十返舎一九などのスターを見出し世に送り出す名プロデューサーとという一面もある。そんな波乱万丈の蔦重の人生が江戸の文化や田沼意次を中心とする幕府の政治を絡めて描かれている。
時代劇で再認識する空間の力
時代劇が好きなので大河ドラマも必ず見ますが、 時代劇はなぜか毎回気持ちよくストーリーに没入できます。それはもしかしたら画面がスッキリ見えているからかもしれません。
とにかく時代劇は画面に映るモノが少ないと思うのです。
余計な関心を引くものが画面に登場しないので人に集中できるのです。
「べらぼう」も然り。女性の着物や吉原では華やかな柄や色を楽しむことはありますが、空間で観るとかなりシンプルです。
例えば出版関係の旦那衆が集まる場面はよく出てきますが、 大広間に人だけがずらっと並ぶ配置で時々お膳が据えられる程度です。
そのおかげでちょっとしたしぐさや動きなどが目立ってより物語を面白くさせています。
現代は様々なテイストの素敵なモノがあふれています。 もしかしたらそれが鑑賞する目線や気持ちの散ってしまう原因なのだと思いました。
例えば、自分がとある場所で集中したい時、特別なモノを飾りたい時、そんな時こそ何もない空間が力を持ち、自分に集中できたり、素晴らしいモノをより際立たせてくれるでしょう。
時代劇はそんな「ない空間」の力を再認識させてくれます。
ほとんどのモノが四角くてスッキリ収まる
畳、障子、箪笥。思い浮かべると、全て四角形・長方形です。
さらに着物や帯もそもそも長方形の布からできていますし、畳んだらきれいに長方形になります。 しまう箪笥が長方形なら包む風呂敷は四角い。食事の時は四角いお膳がセットされ、重ねても美しい。つくづく四角は収まりが良くてスッキリ見えます。
とりわけ整理収納アドバイザーとして現代はあまり着なくなってしまった着物について考えてみたいと思います。
着物や帯は高級でもそうでなくてもほぼ全て同じ形です。そのため畳み方が同じ、四角く平たくなるという手軽さは最強の推しポイントです。やっぱり四角って好き。
一方洋服は様々な形があるため、畳み方や保管の方法もかなりのパターンがあるので、その分手間もかかります。楽しみ方が増える分保管する場所も必要になります。
また、着物は形が同じという制限があることから逆に柄や糸の違い、織りや染め、帯の結び
方、半襟や帯揚げなどで変化をつけるなど工夫しておしゃれを楽しむところが粋で素敵です。
それにちょっと食べすぎたりサイズが変わっても帯を緩めて対応できるところも良いですね!
ただやはり天然繊維のモノが多いので手入れに神経を使う点が普段着として着るには難しい
ところです。
べらぼうでは吉原の女性たちの美しい着物がぱっと目立ちますが、旦那衆の柄もなかなか凝
っていてそのあたりも発見があり楽しめます。
最近は手軽に着られたり、洗濯機で洗える着物など色々あるようなので、私も秋には着てみたいな。まずは今夏、浴衣でも引っ張り出してみようと思います。
物語はまだまだ中盤です。これからいよいよ喜多川歌麿の活躍しそうな雰囲気が漂っていま
すね。 浮世絵も素敵ですが、個人的には「耕書堂」の看板のフォントがとっても素敵で気に入っています。 四角い板に個性的な文字が映えています。 看板が素敵だと「お!良さそうなお店」って思いませんか?