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京都で庭園を楽しむ③_東福寺 方丈

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

庭園に焦点を当て、作庭家 重森三玲さんの庭をめぐる京都。東福寺の塔頭、光明院の感激の時間を終えると、その足で東福寺の勅使門から入り、そびえたつ三門、本堂(仏殿)を見上げると、こんな立派なものを作り上げた古の人へのリスペクトの気持ちが湧いてくる。

そして、重森三玲さん作の庭を見学すべく、方丈へ。
方丈とは僧侶の住居。ここに東西南北に4つの庭があり、「八相の庭」と名付けられている。
まずはじめに目にするのは、南庭。ここが110坪と一番面積が広く、メインどころだ。
巨大な石が向かって左に配され、砂が美しく整えられている様は、きちんとしているのに
心が穏やかになる。
きちんとしているから心が穏やかになるのか。
きれいに掃除も行き届いた整ったお部屋が清々しいことに似ているだろうか。
廊下をはさんで反対は東庭。こちらはこじんまりとしていて、円柱の石が7つ配されている。これが北斗七星に見立てられているという。
美しい砂紋に建つこの円柱は、便所で使われていた柱石をリサイクルしているという。

奥に進むと北庭がある。
敷石が市松模様になっていて、苔とのパッチワークがモダンだ。
奥にはサツキ、そしてモミジが青く茂っている。
これが秋になり色づくとまたものすごい絵になるのだという。
タイル萌え、パッチワーク好きの私には、この市松模様も萌えるポイントだ。
敷石ももとは恩賜門に使われていたもののリサイクル。
確かに、禅の教えを思えば、庭を造る材料をリサイクルすることは驚くことではないのかもしれない。
あるものを生かし、整える。
これもまた、ある材料で収納を生み出すことと共通しているようだ。

角を曲がると目の前には西庭。ここは大きなパッチワークという感じ。井田市松(せいでんいちまつ)と呼ばれる。
さつきの刈り込みが、いわゆる角刈りで、「自分、不器用ですから」と心の中で渡哲也さんの声が鳴った。
左には小さな三尊石。
3つ飾るとバランスがいいっていうのも、整えた部屋を飾る時のポイントで教えてもらったことがあったっけ。

ぐるりと一周してくる再び大きな南庭。
こちらからは五山に見立てた築山が美しく見え、まっすぐや渦の砂紋の中に斜めのラインが入っていて、これもまた美しい図形を見るよう。

重森三玲さんはこの庭を昭和14年に完成した。
寺が創建された鎌倉時代の庭園を基にしながら、現代的な要素も加え、しかもリサイクルの材料も使うなんて、
すばらしきリノベーション。

こんな風に無理やり何かに例えたり、なぞらえたりしなくても、庭があることの豊かさを実感せずにはいられない。

庭園めぐりはもう少しつづく。