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これが人生じゃん!

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

わが家には香典返しでいただいた本が一冊リビングのテレビ脇に置いてある。
それは『夢をかなえるゾウ』の大ヒットなどで知られる水野敬也さんと長沼直樹さんによる本で、帯にはシリーズ累計180万部突破とある。
タイトルは『人生はZooっと楽しい! 毎日がとことん楽しくなる65の方法』(文響社/2014.11)
180万部はいただいた当時の帯なので、部数はきっともっと伸びていることだろう。

簡単に言うと、65種類の動物の写真とその下に「なるほどー」とか「深いっ」と思える言葉が載っている。
その裏ページは「大切なこと」とうたわれている表の言葉の解説、誰のエピソードを元に書かれたものかが説明されている。さらに類似する偉人たちの名言も掲載されている。

ライトなのに深い、そして圧倒的にセレクトされている写真がおもしろい。

これを香典返しでくださるセンスがすばらしいと思う。
私は存じ上げない方だ。夫の仕事の関係の方が亡くなられた後、送られてきたものだった。細かい関係性は控えるが、
「私が気に入ってる本です」というようなメッセージが添えられていた。
送ってくださった方と会うことは、私のみならず夫もこの先ないだろう。
ちなみに故人の持ち物だったわけでももちろんない。

この本の楽しみ方は、開いてすぐのところにトリセツのように書かれている。
切り離してカードのようにも使えるし、プレゼントにもいいし、いつも目につくところに置いておいてもいいなど、いくつかある。

贈り物に使われ、わが家に届いてからは目につくところに置いているから、
まさにこの本のねらい通りの楽しみ方をしているというわけだ。

わが家では、これをほぼ毎朝、ランダムにめくって、「その日のお言葉いただきます」
みたいに使っている。
写真にほっこりしたり、引き当てた言葉が思わず耳が痛くなるようなものだったり、
お告げみたいに思えて救われるようないい気になって一日を始めたりするのだ。

本はまじめに頭からページをめくるタイプだが、
この本に限ってはそうしていない。
事実、巻頭にこの本の楽しみ方、トリセツが載っているというのは、つい今しがた知ったくらいだ。
わが家に来てから4~5年は経過しているというのに。

動物は全部で65種類。つまり言葉も65。
スタート、挑戦、リラックスなど、7つのカテゴリーに分かれている。

ふと、65のうち一度も開いていないページがあるのかどうかを確かめてみた。
何度も同じページが出て「またこれだ!」なんていうこともよくあるものだから、
確認してみたくなったのだ。
1日に2ページずつ開いているのだから、なかなかの頻度である。

ページをめくる。……これは見た。
ページをめくる。……これはこの間出たばっかり。
ページをめくる。……しょっちゅう出てる。

こんな風に確認してみたところ、「え、これ初めてじゃない?」というページが
数ページあったことに気づき、驚いた。

プチお告げみたいな気分でめくっているものだから、数年間の機会があっても一度も開かれなかったページというのは、欲しい言葉じゃなかったということだろうか。
単に、よく開くページは開きぐせがついているだけのような気もするが。

巻末には65の動物の解説が載っている。
分布や生息環境、特徴や体長・体重まである。
動物好きにもやさしい作りだ。

写真はストックフォトからのものであるらしく、提供元が記されている。
そうか、そうなのか、一人の動物写真家の作品というわけではないんだな。
ということは、これをセレクトするために、どれだけの枚数の写真を見たのだろうと想像したら少しクラクラする。

そして思う。
読まれないページがある。たまたまめくるページがあって、何度も出てきて目にするページもある。
これが人生じゃん!と。

だから軽やかな遊びごころで、度々この本をめくっていられるのだろう。
あとは、なんといっても出し入れしやすい定位置があるってことだよね。