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幸せな間接的コミュニケーション

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

舞台のパンフレットっている? 
答えは「いる」であって欲しい。

パンフレット編集を担当させていただいた舞台『SERI~ひとつのいのち』が10月6日、銀座 博品館劇場で開幕した。
作品に関しては別の場で書かせていだくとして、ここではパンフレットの話を。
パンフレットに限らないが、自分が編集やライティングに携わったものが出来上がり、手にする時は心が浮き立つ。と、同時に完成したものを見ると、もうこれは自分の手を離れたものだと強く自覚する。

それは私が普段は一観客としてパンフレットを購入する立場だから思うことでもある。
最近は仕事の資料的意味合いもありながら購入しているが、やっぱり観劇時に手にするそれは、観劇のお供であり、手引きであり、記念である。

私が手に取ってまず開くページは8割方クレジットのページ。
これはあまり一般的でない。
でもそれ以外は、主催者の言葉をじっくり読んだり、キャストのアンケートを集中して読んだり、美しい写真にうっとりすることもある。

パンフレットに限らないが、ページはどこから開いてもいい。
開演前に読む、読まないも自由。

でも、編集に携わるものから言うと、ページの順には意味がちゃんとある。
見開きで何と何を対にするか……とかね。

整理収納にあてはめてみればよくわかる。
全部必要なものならどういう風に収納しても構わないなんてことはないわけで、その場所に置く意味、その順に並べる意味があるのと似ている。
整理収納理論の中に「モノには製作者の意図がある」という解説があるように、
「製作者の意図」「作り手の思いやねらい」そうしたものが存在している。

パンフレットはそれを少しアシストする役割も担っているのではないだろうか。
それは幸せな間接的コミュニケーションだ。

繰り返すが、ページはどこから開いて、どこから読み始めてもいい。それはページをめくる人の自由なのだ。
出来た後は観る人の自由、作られた後は使う人の自由がある。

それを踏まえた上で、観劇されたたくさんの方と幸せな間接的コミュニケーションが出来るといいな。
そう願いながら劇場を出た。

上演期間中は、「心の中で手売り中」とタイトルして、パンフのおすすめどころを小さくつぶやいたりもしている。
ミュージカル『SERI~ひとつのいのち』は、10月16日(日)まで。