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山梨まったなし⑤_きらめく宝石と私の名前

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

高校生からのつきあいの友人との山梨旅を短期集中連載。温泉宿での宿泊明けの午前、近くで開催された地元のふれあいマーケットでおいしいジャムと出会ってほっこりしたという話が前回。

山梨まったなし④_ご法度の瓶ものでホクホク日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。 友人との1泊2日の山梨旅の様子を短期集中連載。その④は翌朝立ち寄った朝市でのおいしいものとの出会いの話。...

石和温泉駅から徒歩で向かったのは、甲州天然石工房 採石の蔵。
旅割クーポンも使えるところでちょっとお楽しみ的なこともしようと立ち寄った。
出迎えてくれるのは建物の前にどーんとどかっと腰かけた武田信玄公。
まずは世界の天然石が展示されている博物館に入館。

どかーんと大きなアメジスト。
クリスタルのスカルなど、右を見ても左を見てもキラキラが止まらない。

宝石にまつわる地理・歴史の情報が豊富で、展示は特にライティング命というところだろう。
宝石に縁があった人生かというと、さほどではない。
でも自分の名前には水晶の晶の字が使われているし、6月生まれだから、なんとなく水晶には思い入れがあるような。
山梨では特に水晶がたくさんとれたということだから、なんとなく関連があるような気もして心躍る気もするような。
この頼りなげな言い回しになるのは、私の名前に使われている晶の字に関するエピソードが関係している。

小学校の国語の時間だった。
漢和辞典の使い方(辞書の引き方)を習う授業だった。
辞書の引き方の基本を教えてもらい、「では次は自分の名前の漢字を辞書で調べてみましょう」という課題が出た。
「晶」の字を調べると
星が三つ瞬いている様子。水晶。
とあった。

「みなさんの名前をつけてくれたご両親やご親戚は、名前にこうした思いを込めてつけてくれているのですよ。今日お家に帰ったら、自分の名前の由来を改めて聞いてみるのもいいですね」
まあ、そんなことを言われたのだ。

星が三つ瞬いている様子。水晶。……というのを覚えて、母にその日の夜、ちょっと照れながら聞いた。
「ねえねえ、私の名前つける時、漢和辞典で調べてつけてくれたの? 星が三つ瞬いている様子を表している漢字なんだよね。そういう思いが込められているの?」

この問いに母は、漢和辞典で調べてはいない。晶の漢字の意味についても「そうなの?」みたいな答えだった。
これには娘として軽く失望。じゃあ、なんでこの名を? の先にも軽く失望するエピソードがあるのだけれど、長くなるのでまあそれはまた時が来たら思い出すことにしよう。

でも、おかげさまでなのか、「水晶」がらみの話になると、いつだってこのエピソードは出し入れできるようになっているので、もう失望分の元は取れたと思っている。
(全国のよいご両親は決してマネしないでください)

さて、博物館を適度にスローテンポで私たちは歩いた。
「見てみて、これすごいよ!」その形や色に反応したり、
「ねえねえ、〇〇だって」と宝石につけられた名前に反応したり、
ほどよく前のめり。これが旅先での楽しみ方のコツだと長く生きて実感しているからだ。
博物館や美術館などはスーッと行き過ぎれば、ほんの数分で歩き終えてしまうのだから。

そうして博物館の出口は広々した宝石のショップにつながっている。
そこにはたくさんの石、アクセサリーなどが展示販売されている。

ちょうどショップの入口あたりで店員さん兼博物館の説明員さんに話しかけられた。
聞けば、午前中はかなり団体客でにぎわったのでてんてこ舞いだったそうだ。
「バスが何台も来たからね」と、混雑具合はバスが何台来るかが目安のようだ。
「午後はもう今日はバス来ないから」
つまり、大波が過ぎ去って、ホッと一息というところらしい。
とにかくフレンドリーに話しかけてくれる。
販売営業という意味もあるだろうけど、そんなことより何より、根本的に人がいいのだろう。

ここで、私のとある持ち物に注目が次々に集まったという話はまた今度にしよう。
(つづく)