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にわか解説者の誕生日

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

大会最終日、そして日曜日の午前中、カーリング女子の決勝戦はすばらしい日時に行われた。
視聴率、きっとすごかったろうな。
私はまったくのスポーツ音痴だけれど、観るのは大好き。
しかし、今日は久しぶりの外出で、その時間は在宅していなかった。地下鉄の車内。決勝戦が始まっている時間だ。
スマホの充電の減り具合が恐ろしく早いので、あまり繋ぎたくないのだけれど、
やっぱり気になる、試合経過。

右隣に座っている夫婦らしき人たちが一生懸命にスマホの画面に注目している。
どうやら試合経過を見ているみたいだ。
「これはねらってここにしてるのかな?」
「うん、こうすれば裏に入れるからここに置くんでしょ」
「でもこれはなんの意味があるの?」
時折、自信ありげに、次の瞬間は、「知らんけど」のテンションで会話をしている。

今度は別の場所で、やはりスマホをチェックしながら、夫婦らしき人たちの会話。
「だからさ、これはさ……」
こちらは主に男性が熱心に戦術やルールを説明している。

オリンピック恒例、1億総にわか解説者の誕生。
手元で中継を見ることができるし、速報が実況されるので、
家電量販店の大型テレビの前に集まって皆が観る……という光景ではなくて、
個々人でチェックできるのが現在だ。

カーリングのような複雑なルールや戦法がある競技は、
にわか解説のし甲斐があるってなものだ。
実際、私もちょっと聞き耳を立てていた。
コロナ禍で、電車内でのおしゃべりは控えましょうというのがここ最近ではあるが、
日本カ―リング女子初めての決勝進出は、その暗黙のルールに勝てない注目度の高さだ。

でも実は欲しいのはそういう解説ではなく、速報だ。

「第3エンド終わって、〇対〇かぁ日本ここから追い上げたいね」
みたいな気の利いた実況を、あまり興奮せずに漏らしてくれる人はいないかね。
いや、それは自分でチェックせよ!なのだが。目的地に着いて、試合結果を確認した。帰宅したら、またこれでもか、これでもかとスポーツニュースを梯子する予定だ。
そして自分もまるでにわか解説者になって
いや、それは違う、本物の解説者の受け売りで、
あれは良かった、これは素晴らしかったと口にするのだ。
それもなんか悪くないよな。

さあ、目の前に料理が運ばれてきた。
塩釜がまるで雪のように見えたので、ビバ、冬のオリンピック! の思いを込めて
割った……。

というのは、実は後付けだったりもする。

雪、じゃなかった塩の中身は美味なるお肉でした!