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ぎゅっと詰まった彼女の人生とは『ピアフ』

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誰かと一緒に観劇すると、共感が何倍にも膨らんだり、違った目線がプラスされます。
作品をフィーチャーしながら、ゲストと共にさまざまな目線でエンタメを楽しくご紹介します。

今回ご紹介する作品は大竹しのぶさん主演の舞台『ピアフ』
ご一緒したのは、2度目のご登場、整理収納コンサルタントで、一般社団法人 親・子の片づけ教育研究所(ファミ片) 代表理事の澁川真希さん(まきさん)と、整理収納アドバイザーで『日本初の片づけヘルパーが教える 親の健康を守る実家の片づけ方』(大和書房)の著者・永井美穂さん(みぃさん)。
再演を重ね5度目の上演となる『ピアフ』、再演には理由があるはず、一度は目に耳にしておきたい、そう思って開幕直後にチケットを取って劇場へご一緒しました。
作品はその名の通り、1940年代から60年頃にかけて活躍したフランスのシャンソン歌手、エディット・ピアフの人生を描いた物語。

※以下、作品のネタバレを大いに含みます。

ピアフとは小さな雀の意。フランスの路上で歌うエディットを見つけたナイトクラブのオーナーが、彼女に声をかけたことから、ピアフの歌手人生は始まった。恵まれた環境で生きて来なかったピアフは、歌を人生に寄り添わせ、人生を歌うことでやがて名声を得ていく。
しかし彼女の人生には、愛する人を失った悲しみ、戦争、酒、クスリ……、さまざまな影も刻まれていく。エディット・ピアフが生きた人生とは、彼女がたどり着いた最期とは。

ピアフは自分の幸せより
相手の幸せを求めて生きた人

永井 この作品、リピーターが多いというのがわかる気がする。ピアフの人生が濃いから、最初は物語を追うのでいっぱい。次に観たらもう少し余裕を持って細かいところまで観れるし観たいと思うから。
澁川 少しピアフの人生を事前情報として入れておかないと、混乱するよね。それくらい中身が詰まっているというか、波乱万丈の人生だから。
栗原 本当にヘビーな約2時間30分でした。その中で印象的だったシーンを教えてください。
永井 私は最後の恋人となったテオ(山崎大輝)に出会った時に、ピアフがそれまでいろいろな人生を生きてきて、最後の最後に素直になれたんだと思って、それが良かった。やっぱり私は仕事でお年寄りと接する機会が多いから、晩年をどう迎えるか、迎えたかというところが気になるんだよね。
澁川 私が気になったのは、シャルル・アズナブール(上原理生)との別れのシーンで、それまでなかった鏡があったところ。あれに何か意味があるのかなと思って。それから演出として印象的だったのが、ボクサーのマルセル(中河内雅貴)と大きなシーツでじゃれあうシーン。あの時のピアフは本当に楽しそうだったから。
栗原 彼は友人のマレーネ・ディートリッヒ(彩輝なお)が「あなたにぴったりの人がいる」って紹介してくれたんでしたよね。
澁川 でも既婚者なんだよね、それは謎といえば謎だけど……。
栗原 ピアフは常に魂レベルで繋がれる人を求めていたってことなんですかね。
澁川 トップに立っても、立つからこそ孤独を感じるという点でマルセルと共通するものがあったのかも。彼はピアフに会うために乗った飛行機の事故で亡くなってしまうけれど。
栗原 それは後悔というか、引きずるなと言っても引きずらずにはいられないほどの出来事ですよね。
永井 でも結局ピアフって自分の幸せより相手の幸せを求めて生きた人という感じ。誰が相手でも。自分は幸せになれるはずがない、なってはいけない、そんな風に思っていた節があるような気がするよね。
澁川 幼い時の生活環境とか、自分が捨てられたという孤独が影響しているよね、きっと。

舞台やミュージカルで観たい
のは誰の人生?

栗原 救いだったのは、最期に友達のトワーヌ(梅沢昌代)が来てくれたことかな。
澁川 
そうだね、良いも悪いも全部知ってくれてる友人だったからね。
永井
 イヴ・モンタン(竹内將人)は、カウボーイみたいな恰好で出て来て歌った時と、スーツに着替えて「♪帰れソレントへ」を歌った時がすごい変わり様だったよね。あれがすごい良かったよね。甘くていい声で。
栗原 ルイ・バリエ(川久保拓司)も印象的でしたね。
永井 結局マネージャーとしてピアフのそばに長くいた人だよね。

栗原 今作はエディット・ピアフの生涯を描いた作品ですけど、舞台やミュージカルで伝記もの、その人の生涯を描いたもので観てみたい人っていますか?
澁川 うーん、観るとしたらやっぱり男性より女性を描いた作品かな。時代でいえば今日も戦争が出てきたからこのタイミング……と思ってしまったけど、どの時代でも女性の生き方が気になります。歌人の与謝野晶子さんとか、詩人の茨木のりこさんとか、芯のある女性に惹かれるな。

開演前にお茶タイム。事前に甘いもの摂取は正解だったかも<She>

 

しのぶさん=ピアフ
初演のピアフを観てみたい


永井
 それにしても大竹しのぶ=ピアフのショーだったね。
栗原 再演を重ねて今回が5度目の上演。きっと全作観ている方もいるでしょうね。
永井 叶わないことだけど、初回の時の大竹しのぶさんのピアフを観たいなと思っちゃった。ピアフが乗り移るこの感じは、1回目の時はまだなかったんじゃないかなとか。やっぱり演じれば演じるほどピアフになっていってるだろうし。
栗原 言葉を選ばずに言えば、今日とかもう上手く歌おうなんてしていなかったよね。
澁川 うん、してない。
永井 すごい女優さんだなぁ。
澁川 声も高いところから低いところまでとても幅広いことに驚いた。それとやっぱり可愛いよね。
永井 ピアフの周りの男性たちって、互いは争わずにピアフを愛した感じがするじゃない。そこもなんかしのぶさんに共通する感じがした。改めて、また観たくなる気持ちがわかるなぁ。

澁川 最後にキャストが並んだ時に、この人数であれだけの役をやったの? すごいよって驚いた。それがわかった上でまた観たくなるっていうか、確認したくなっちゃうね。
栗原
 私も初見で、ハッピーをくれ! 次こそは幸せに……と思いながら肩に力入れて観ちゃいましたが、次観る時は少し落ち着いて観れるかも。
澁川 彼女が背負うものがあまりにも重くつらいけれど、だからこそ歌えた、歌ったのかもしれないよね。
永井 失恋すると歌えるけど、ハッピーだと歌が作れなくなるっていうミュージシャンの話を聞いたことがあるけど、そういう部分もあるのかもね。
澁川 ハングリー精神みたいなものとかもそうだね。
永井 きっとそれがピアフの原動力だったんだろうね。
栗原 劇場ではおしゃべりは禁止、まだまだ不自由が多いですが、客席にはたくさんの観客がいましたね。また次もぜひご一緒しましょう。今日はありがとうございました。

今回エンタラクティブしてくださったのは……
永井 美穂(Miho Nagai)さん
介護福祉士の資格取得後、10年間介護事務所に勤務し、お年寄りの在宅介護に従事する。高齢者が在宅で安心して暮らせる部屋づくりを考えるなかで、整理収納アドバイザーの資格を取得。個人宅での訪問整理業務を行うほか、「介護者の気持ちがわかる整理の講師」としてもさまざまな業界で活躍。著書に「日本初の片づけヘルパーが教える 親の健康を守る実家の片づけ方」(大和書房/2019)がある。2020年より「介護環境整理アドバイザー」認定講師として介護における環境整備の必要性を広く伝えている。
片づけヘルパー 永井美穂オフィシャルサイト シニア・高齢者のためのゆっくりお片付け

澁川真希 (Maki Shibukawa)さん 
整理収納コンサルタント

一般社団法人 親・子の片づけ教育研究所 代表理事

整理収納コンサルタントとして2006年から活動開始。無理なく片づけられ、家事や仕事の効率がアップする、家具・物の配置プランやゾーニングが得意。2014年(一社)親・子の片づけ教育研究所を設立。片づけを通じて家庭からジェンダーギャップをなくし、社会を変えるべく活動中。モノとコトを「整える」ことで、暮らしを楽に快適にし、人生をしなやかに生きる女性が増えることを願っている。
COMFORT STYLE
一般社団法人 親・子の片づけ教育研究所/