理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。
はじまりのハナシをしよう。
それは3年前の秋深い日のこと。
夫から電話がかかってきたのだったろうか。
義母が庭で転んで、救急車で運ばれた。大腿骨を骨折したといい、すぐに手術の日程が決まった。
正式には右大腿骨転子部骨折。
高齢者や、糖尿病などの疾患による骨密度の低下により、骨折すると入院、手術を要する。
そして、そのまま寝たきりになる高齢者も多いということは、それまでも耳にしたことがあった。
予期せぬことは、当たり前だが、予期せぬ時に起きる。
それから義母は3カ月の入院・リハビリ生活を経て、自宅、つまり義母宅に帰ってきた。
当時86歳という超高齢ではあったが、義母がリハビリで復活することは、
なぜか確信していた。
真面目なミッション遂行型。プライドが高く、根性は並外れてある昭和一桁の人だからだ。
リハビリの先生に「義母はリハビリ、絶対頑張ると思いますので」と言ったことを覚えている。そしてそれは現実となり、この年齢でのリハビリ成果の好事例として記録されているらしい。
雪で骨折者が増えた2月の寒い日に追い出されるような形で退院が決まった。
入院中に申請を済ませ、介護認定をもらい、さまざまな方のサポートを受けながらの義母宅での一人暮らしが始まった。
入院中に仏壇の裏からは、処方されていたのに飲んでいなかったらしい大量の薬が見つかった。
予期せぬことが連続でこれから起っていくことに不安は感じつつも、
病院に縁がなく生きてきた私は、とにかく入院病棟に行くのが気が重くてならなかったので、自宅に戻った義母の新しい暮らしに関しては、驚くほど前向きだった。
整理収納アドバイザーという資格を取得していたことも少なからず影響していたかもしれない。
もちろん、ワクワクとまでは言わないけれど、「自分たちが工夫すること」に、何か期待していたのではないかとさえ思う。
これはほんのはじまりのハナシ。