理由あって週イチ義母宅 PR

壁付きキッチンよ、ありがとう

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理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。

買い物とコインランドリーでの乾燥を済まして3~40分後に義母宅に戻ると、
鍵が内側から閉められていた。
これはよくある話。

どれだけ出かけに「買い物に行ってくるね!」と伝えても、その効力はさほどもたないのだ。
だから鍵は持って出るかピンポンを押す。
今日は鍵で開けた。

部屋に入ると、見たくない光景を目にした。
私のカバンから財布やらその他を引っ張り出し、財布の中身を全部出し。
慌てて回収した。
頭の中には
・仕方がない
・財布を置いていった私が悪い
・手が届くところに置いていった私が悪い
・仕方がない
の文字がLEDの看板みたいに点滅しながら並ぶ。
それはそうなのだが、6秒ではどうやら収まらなかったので、「ごめん、ちょっと頭冷やすわ」と15分ほど沈黙した。
なぜ6秒では収まらなかったのかはご想像に任せるけれど、
専門的知識のある人が聞いたら、上にあげたような対処法を諭されるに違いない。
実際そうではある。

さて、その15分で感じた事を少し。
義母宅は昔ながらの家なので、台所はいわゆる台所。壁付きのキッチン台で
いつも料理をしながら、義母のいる部屋には背中を向ける格好になる。

仕事柄、たくさんの家を取材させていただいてきたが、
キッチンといえば最近は、アイランド型やⅡ型がほとんどだ。
昨年取材したリノベ物件の中で、小さいお子さんがいるご家庭だったけれど、壁付けキッチンだったお宅があって、珍しいなと思ったくらいだ。

で、今日ほど壁付きキッチンで良かったと思うことはなかった。
作業をしながら、自動的に背中を向けられる。
斜め後ろには食器棚があり、体を少し移動すれば、この棚の陰にすっぽり隠れることもできる。
無言を貫く約15分、この間取りに助けられて平静を取り戻した。
そして、買い物で買ってきたおやつを出す。

話を蒸し返してもどうにもならない。
だからおやつを食べる。
でもあっけらかんと楽しい話は出来ない。
だからおやつを食べる。
今日ほどおやつに助けられたことはない。いや、それはいつもか。

そこからは通常に戻り、帰宅時に夫に送ったLINEには、
「財布のことは覚えていないので言わなくていいよ」と書いた。

細かいルール(というか心がけ)はこれからも増えていく。
時に壁付きキッチンとこの間取りに助けられながら。