理由あって週イチ義母宅 PR

グッチ―を共に

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理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。

少し前のこと、新型コロナウイルスワクチンの4回目を受けるために
夫が義母を市の健診センターへ連れて行った。
そもそも第一回目の供給が遅めの地域だったので、90歳になった義母に4回目が案内されるのも遅めだった。

日曜日、夫は予約の時間にあわせて義母を連れて出かけることにする。
このためにレンタカーを借りていった。
さほどの距離ではないが、歩くのはしんどい距離になってしまった。

帰宅後、「4回目はどうだった? 心配なかった?」と私が夫にたずねると
「受けられなかった」とまさかの返事が返ってきた。

「え? どういうこと?」
話を聞くと、4回目の接種の予約時間に合わせて出かけようとした時、
気になって紙パンツ一式を交換してから出かけることにしたらしい。
正確には交換しようとしたら、義母はご機嫌斜めになって
「私をバカにするのかー!」みたいなヒステリックな声をあげたそうだ。

そのひと悶着があったこともあり、予約の時間に5分遅れたという。
1階窓口で受付を済ませると2階のワクチン接種会場に向かった。
……すると、2階で予約時間を過ぎたから受け付けられないと非情な言葉。

「え、同居していないんです。ちょっと離れていて」とか「次はいつ来れるかわからないんですけど」とか食い下がらなかったの?
私が少し憤りながそう話すと、
私が言った言葉とほとんど違わないことを、近くにいたやはり親子連れ、高齢の母と息子らしき人が交渉していて、かなり食い下がってくれていたらしい。
それでも結果はNGだったという。

この話を聞いて、失礼を承知で「田舎の役所仕事が!!」と悪態をついてましまった。
もちろん、夫の前で言っただけだ。
考えてみれば、ここは夫の実家なわけで、慣れ親しんだ小中高時代の思い出なんかも、なんだかいろいろあるだろうに、口の悪いことで、反省。

時間切れを宣告された時、「受けていない方にはまたご案内が届きますので」と、
ひどく冷静にそういわれたそうだ。
「まったくもう、田舎の……(自主規制)」

そうして数週間が経過した。
その間に夫も私も4回目を接種し終えていた。
予告通り、義母宛にふたたびご案内が届き、
今後は市立病院での予約制ということになった。
その病院は2カ月に1度健診に通っている病院なので、それはそれで要領もわかっているし、安心と言えば安心だ。

私が週イチ義母宅を訪れるタイミングで、予約が取れるようなら、
今度は私が連れていくと提案した。

夫が電話をかけると、「明日、〇時〇分でしたらちょうど一枠確保できます」と言われたそうで、翌日、私がレンタカーを借りて、義母と病院を訪れることにした。

問診表の日付も署名も前回のまま。
受付の時にそれを伝えて、余白に書き直すことで対応いただけた。
「前回、5分遅れただけなのに、受け付けてもらえなかったんです」
ぽろりと愚痴った。
窓口の方は「えっ!?」と大袈裟に驚いてくれて、「せっかく付き添って行ったのに……。」と同情してくれた。

余白に署名しながら、「すみません、なんだか愚痴っちゃって」
少しおどけて私がそういうと、
「それは愚痴りたくもなりますよ」とふたたびナイスな返しをしてくれた。

実はこの件、先日、ケアマネージャーさんにも愚痴り済み。
しかも、そもそも門前払いを食らったのは私ではなく、夫だったわけだが、
これにより、レンタカーを改めて借りて出かけなくてはならなくなったのだから、
告げ口みたいな愚痴くらい言いたくもなるのだ、本当に。

無事に病院でのワクチン接種を終えたことを夜になって夫に報告した。
その際、「あの日、門前払いを食らった時って遅れたの何分くらい? 私、5分遅れただけって言っちゃったけど、ちょっと盛っちゃった?」

実は遅れたのは10分くらいだったらしい。
でも、この5分のサバ読みはなんとなく許される気がしている。
90歳の母を、離れたところに暮らす息子が付き添って連れて来たのだから……。

病院の担当窓口の方のナイスなリアクションに、今はただただ感謝の気持ちだ。