理由あって週イチ義母宅 PR

終わりの夜、寝つけなかった理由

理由あって週イチ義母宅
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理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。

「理由あって週イチ義母宅」は、昨日が60本目の記事だった。
実質的に私の週イチ義母宅通いが終わった。
独居がいよいよ厳しくなった義母は、施設へ入所することとなったのだ。
ケアマネージャー、ヘルパー、デイサービス担当者、そして何より夫が主となり決めたことだ。

極力普通に、いつものデイサービスに行くのと同じように送り出すのがいいだろうから、その日もヘルパーさんに来てもらうことに決めていた。
……結果、前日に夫と私は義母宅へ行き、その日は二人とも義母宅に泊まった。
夫は自分だけが実家に泊まって、翌朝、ヘルパーさんと共に義母を見送ろうと考えていたようだ。

それを知った時、「私にだって感情はあるよ」と私は憤った。
夫は恐らく私に負担をかけないようにしたのだろう。
そんな心の余裕も実際はなかったのかもしれない。
息子と母親とのつながりを考えれば当然だ。

でも、いろいろ考えて、私もやっぱり見送りたいと思ったことを正直に伝えた。
伝えた上で、どうするかの判断を夫に委ねた。

そして、結果的に私も義母宅に泊まった。
当初考えていた、いつものように……ではなかったかもしれない。
でも義母を混乱させるかもしれなくても、私がそうしたかった。
私の週イチ義母宅通いは、5年と4カ月続いてきた。

夜、義母のベッドがある部屋の隣のリビング。
私たちはテレビを見ながら大きなソファに各々横になっていた。
義母はなかなか寝ない。ごそごそと起きて、あちこち歩いてリビングの扉を開けて
「こんにちはー」と挨拶をしたり、「お父さん……」と心細そうな声を出したりする。

やがて早起きして昼間も庭仕事などよく働いた夫はいびきを掻いて眠り始めた。
夫にとっては実家なのだから、まあ当然かもしれない。

夜がかなり更けても私はなかなか寝つけなかった。
耳を澄ますとようやく義母の寝息も聞こえてきた。
トイレに行ったり、多少の物音を立てても、起きないくらい深く眠ったようだ。
その時の安堵感はなんと言葉にしたらいいのかわからない。

この夜の眠りにつくまでの混乱や朦朧とした感じが毎晩のことだったのか、
今日自分たちが作り出した非日常のせいだったのかはわからない。
でも、義母の入所は、「とにかく安心・安全に暮らすこと」を目的としての決断なのだと改めて確信出来た。
よくここまで大きな事故なく続けて来れたなと思う。

夜が更ける。私はなかなか寝つけなかった。
昼間、60本の記事を1本目からさかのぼって読んでいたせいかもしれない。
数時間後、朝が来た。
(つづく)