ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
そんな私が毎回一つのドラマと整理収納をリンクして語ります。
私が今回整理収納とリンクしたドラマは上野樹里さん主演の
「持続可能な恋ですか？～父と娘の結婚行進曲～」です。
「持続可能…」という題名は時流を反映していますね。
今は「持続可能」というと「サスティナブル」という言葉が真っ先に浮かびますが、
「サスティナブル」の意味は
「持続可能であること、とくに環境破壊をせずに維持、継続できるという意味の英語」(注1)
だそうです。
そして「持続可能」は
「将来にわたって持続的・永続的に活動を営むこと」(注2)
と書いてあります。
松重豊さん演じる主人公の父が辞書編纂者という事で、ちょっと調べてみました。
主人公の沢田杏花（上野樹里）は独立を目指すヨガインストラクター。
2 年前に母を亡くし、父 林太郎と二人暮らしです。
大雑把な性格で家事は苦手、結婚にも興味がない杏花が、ひょんなことから
父とのダブル婚活に巻き込まれる中、恋バナもありつつ父と共に
次の一歩を進んでゆくお話です。
杏花がヨガインストラクターという事でヨガの概念的なものも出てきます。
私はヨガは素人ですが、整理収納の理論ともリンクしているように思います。
そういえば、ヨガに精通した友人も「考え方がヨガに似てる！」
と言っていたことがありましたっけ。
例えば「Live in the moment（今を生きる）」(注3)
という言葉がヨガの精神としてセリフに出てきます。
私も時々ヨガをしますが、先生は
”今の自分の呼吸や身体の状態に耳を澄ましてください“
と声かけされます。
そうすると前回とは心も身体も状態が違う事に気が付きます。
整理収納では「今、使っているか、使っていないか」
で分ける方法があります。
今、そのモノを使って（活かして）いるかいないかで分けて、
今使っているモノを取り出しやすいところに収納します。
今よく使うモノと 5 年前に良く使っていたモノは全て同じではありません。
それらが見直されずにいつまでも同じ状態でしまわれていると
使いにくい収納になってしまうので今現在の状態と向き合うのです。
つまり、フォーカスするのは両方とも「今」という事になります。
変化のない毎日のようでも様々な人やモノから刺激を受けて人は変化します。
始めは「今は起業が第一の目的！ 結婚なんて今は考えられない」
と意気込んでいた杏花も、起業セミナーで出会った晴太（田中圭）や再会した幼馴染、颯（磯村勇斗）との間で変化してゆきます。
父 林太郎も妻からの手紙を発見したり、婚活パーティーで明里（井川遥）と出会い、少しずつ変化してゆきます（個人的にはこちらが気になる！）
ドラマを観ていると「今を生きる」とは今の自分を知らないとできない事なんだなあと気づきます。自分の本当の気持ちをごまかさないで受け止める事。なかなか難しいですが、
そこからすべてが始まる気がします。（もちろん整理収納も一緒です）
ではそんな杏花と父 林太郎の家を見てみましょう。
個人的にはとっても好きな家です。
料理好き、旅好きだった亡き母の趣味が色濃く残るリビングダイニングキッチンは
訪れたであろうたくさんの国のモノが目につきます。
家に遊びに行って、母 陽子さん（八木亜希子）からそれぞれのモノが家にやってきたエピソードを聞いたら楽しいお話を聞かせてもらえそうなわくわくした気持になります。
キッチンのかなり高い所の背面収納はお鍋や食器が所狭しと乗っていて、
見せる収納？ のようです。
ごちゃついて見えそうなほどのモノの量ですが、
テイストが合っているせいか、そうは見えないところがすごいですね！
この部屋はおそらくお母さんが生きていたころのままのようです。
回想の場面で少し映りましたが、同じ様子でした。
2 年かけて少しずつ前を向こうとしている親子にとって、
この部屋は母の面影を感じながら毎日を生きてゆく、大切な場所だったのでしょう。
そう考えると、決して「今使っているモノ」ばかりではなさそうですが、
「今を生きる」ためにそれらは必要なモノなのかもしれません。
これから一歩を踏み出していくであろう杏花と林太郎。
このリビングにあるモノは新たな役目を得て、少しずつ変化してゆくのかもしれませんね。
例えば、母のお気に入りのお鍋と、杏花の新たな時短調理道具のコラボとか、
林太郎さんの書棚に骨格の専門書が加わったりとか？
そのあたりも期待半分で注目してみたいです。
注１：日本大百科全書参照
注２：実用日本語表現辞典参照
注３：第 5 話で杏花が所属するヨガ教室のイベントチラシに書いてある言葉として
杏花が読み、ヨガの精神として話している。
