ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
そんな私が毎回一つのドラマと整理収納をリンクして語ります。
私が今回整理収納とリンクしたドラマは波留さん主演の
「魔法のリノベ」です。
『魔法のリノベ』注1は星崎真紀さんの漫画が原作となっています。
波留さん演じる主人公の真行寺小梅は大手リフォーム会社
グローバルステラ D ホームからまるふく工務店へ転職したやり手営業ウーマン。
地域に根差した小規模会社「まるふく工務店」で出会う様々なリフォーム案件に
敏腕をふるってゆきます。
まさに、整理収納アドバイザー的には大変興味の湧く内容です!
お客様の物件も気になりますが、今回は事務所を中心に語りたいと思います。
まずは「グローバルステラ D ホーム」の事務所ですが、こちらはビルに入っているようです。
デスク周りも余計なモノは出ていませんし、ほぼパソコンで仕事は進められている様子です。
こちらの事務所はあまり仕事中の場面が出ないので収納の様子が分からないのですが、
恐らく書類も専用のスチール製の棚にカテゴリー分けされて
取り出しやすく収まっているのではないでしょうか。
パーテーションも上手に使い、ほどほどにエリア分けもされています。
リノベーション会社としてはスッキリと整ったそつのない印象です。
対して「まるふく工務店」は地域に根差した工務店という事もあり、
ふらっと立ち寄れる「気安さ」と「風通しの良さ」を感じる事務所です。
全体を、事務作業、ミーティングスペース、寛ぎスペースというように
机の島で緩やかに分けています。
このような身近な存在の工務店の場合、整いすぎて敷居が高い印象になっても困りますが、
まるふく工務店では、気になる点もいくつか目につきます。
まず、入口近くの机に書類やモノが積まれていて、乱雑な印象があります。
入口はお店の第一印象を決める大切な場所だと思うのですが、
お店に入ってきたお客様にその様子が丸見えになっています。
一般の家庭でも同じですが、扉を開けて最初に目にする場所が片付いていたリ
美しいモノが飾られていたりすると、それだけでとても印象が良くなります。
そのためにもまず、余計なモノが目に入らないようにしたいものです。
例えば机側にモノが収納できるタイプの受付カウンターを設置して、
見えないところに収納すると今のごちゃごちゃ感は解消しそうです。
他にもキッチンが丸見えなのも気になります。
パーテーションを 1 つ置いたり、ロールスクリーンで仕切って目隠しすると
事務所全体の雰囲気も変わってくるでしょう。
また、割と大きめの健康運動機器がいくつか置いてあります。
それもあまり使っていなさそう(特に小梅の机近くの機械)なので、
思い切って手放すとスッキリしそうです。
整理収納的には 1 年間使っていない場合は見直し対象にしたい
モノになりますが、小梅がそのうち使いだすか気にしておきたいポイントです。
ぶら下がり健康器にはハンガーがかかっていますが、これは
「ぶら下がり健康器あるある」事例で結構面白いとも言えます。
お客様との話題作りになるかもしれませんし、私ならつい突っ込んでしまいそうですね。
全体的にテイストが揃っていないように感じるのはモノの多さもさることながら
職場にあるモノと生活の場にあるモノが混在している点にありそうです。
職場にあるモノだけれど生活感満載なのが、まるふく工務店のキャラクター
「まるふくろう」。
目立つうえに、あちこちに点在しているので、少し悪目立ちしています。
ノベルティ―置き場として 1 か所に飾りながら収納するとメリハリの効いた収納になるでしょ
う。
とにかく、まるふく工務店は画面に映る度につい突っ込みどころを探すのを楽しんで
しまいます。
店舗でも自宅でも同じですが人がその場所で何をして、どんな気持ちで過ごす
(または過ごしたい)のかは、空間づくりの最初に考えたい事です。
まるふく工務店は社員やお客様とコミュニケーションをとる場としては
とても良い環境と言えそうですが、理想の家をご提供するイメージ作りや
作業の効率化を考えるとあと一歩工夫が必要かなと思います。
ですが、そんな「あと一歩感」が案外ミソなのかもしれませんね。
なぜなら「私ならどちらの工務店さんにリノベーションをお願いするかな?」と
考えた時に、ほんの些細な修理やお願い事でも気持ちよく対応してくれるまるふく工務店は
やはり魅力的な存在。
家という超個人的な空間を一緒に作り上げる伴走者としては、リノベーションをしたら「ハイ、さようなら」ではなくて、ほんの些細な気になる事もざっくばらんに話せる相談相手とは、長くお付き合いしてゆきたいと考えるからです。
案外、完璧すぎない「あと一歩感」は気の置けないパートナーとして丁度良いのかもしれません。
あなたならどちらの会社にリノベーションを頼みますか?
注1:「魔法のリノベ」星崎真紀著、双葉社 JOUR COMICS 全 4 巻 全 13 話