ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回私が取り上げるドラマは、小泉今日子さん、小林聡美さん主演の「団地のふたり」です。
この二人の共演ドラマというとやはり「すいか」を思い出してしまいますね。そして映画だと「マザーウオーター」でしょうか。 そしてこの「マザーウオーター」の監督 松本佳奈さんが演出をされています。
息の合った雰囲気の二人が50代の親友を演じるということで放送前からとっても楽しみにしていました。 他の共演者の方々も魅力的な方ばかりでとても見ごたえのあるドラマです。
大学非常勤講師の野枝(小泉今日子)とイラストレーターの奈津子(小林聡美)は共に団地で育った幼馴染。 結婚・離婚、仕事でブイブイ言わせたりと若いころはお互いにいろいろあったようだが、今は団地に戻り親と同居している。
気心の知れた二人は日々のいいことも凹んだことも馬鹿話をしながら乗り越えてきた。
知った顔ばかりの団地の住民たちとの出来事や親との事、仕事の事、どこにでもありそうなエピソードと共にノエチ(野枝)となっちゃん(奈津子)の毎日が綴られる。
片付けマイスター登場!?
なっちゃんの母が介護で不在のためかノエチはなっちゃんの家でよく夕ご飯を食べます。
なっちゃんは新鮮野菜やグルメ便などのお取り寄せをしてはマメに料理をしてノエチにご馳走してくれるのです。
気の置けない二人は毎日のなにげない出来事を話しながら食事をし、お茶を飲みながらテレ
ビなんかを見て寛ぐのが日課。 テレビを観ながらのなんやかんやのおしゃべりは私も大好き。なんか昭和感あって落ち着くな~と観ていると、テレビ番組の中になんと「片付けマイスター」なる人が登場してきました! その人は依頼者のモノをほぼ許可も得ずにどんどん捨てていきます。 何ともひやひやする展開に「整理収納アドバイザーはこんなことしないわよ~」と思わず TV に突っ込むワタシ。
二人は番組を見ながら「いつかは親の荷物を片づけなくてはならない現実」を話します。
片付けが苦手なノエチは片付け上手でいつもスッキリしているなっちゃんにそのコツを聞くと
・使ったものはすぐに片づける
・いつも同じところに置く
・こまめに掃除する
とパーフェクトなお答え!
さて、そんななっちゃんの住まいをじっくり見てみましょう。 あちこちに「片づく仕組み」を見つけられます。
なっちゃん家のキッチンの片付く仕組み
調理道具などでよく使うモノはサッと取れるようにコンロ周りの壁に吊るしたり、冷蔵庫の壁面に貼り付けたりして「浮かす収納」にしています。
出したままでもきれいに並んでいると見た目も心地いいですね。
家具の配置も考えられています。
例えばキッチンの作業台が狭くても食卓がその役割も担っていて食器棚との中間にあるこ
とで、そこで盛り付けなどがスムーズにできる動線になっています。
調理道具や食器も多めだけれど、一か所にまとめて置かず、用途によって分けて収納して配置しているようです。
例えば、湯飲みやカップは小さめの棚にまとめられていて、お皿などの食器とは別にされています。 一つ気になるのは、もう一つ別の棚にコーヒーのミルとサーバーが置かれている点です。コーヒーを飲むときに 1つの場所からではなく 2か所からモノを取りだすことになります。
ですが、これはお湯を沸かすコンロの近くに「コーヒーを淹れるまでに使うモノ」を置き、その日の気分でカップを選ぶから敢えて分けているのではないか? と推察して楽しんでいます。
使ったものをすぐに片づけるなっちゃんにとって、「片づけやすい配置」はとても大事なポイント。そんな目線でドラマをニヤニヤ楽しんでみるのも一興です。
ところ変わってノエチの家。
文学博士で大学の非常勤講師のノエチの部屋は当然ながら本や書類に溢れ、行き場のない洋
服はベッドの上の顔にかかりそうな位置に吊り下げられています。
まあ、仕方ないと言えば仕方がない。だって本や書類はお仕事できっと使うモノなのです。
ごちゃごちゃに見えても多分ノエチなりの分類はされているのだと思います。
それより問題は兄が使っていたと思しき物置部屋です。
所狭しと思い出のモノが置かれ、多分、いや絶対今使われていないモノたちのワンダーランドになっています。レトロ好きの私としては一つ一つじっくり見てみたいリアルワンダーランドでありますが、これ実家あるあるですね。
ノエチはこれらをなっちゃんに「フリマアプリで売ってほしい」と依頼します。
お兄ちゃんのモノは勝手に売ってはいけないが……
ノエチは兄の部屋にあった「触るな、ぶっ殺す」と書かれた段ボールを開けたり、フォークソングの楽譜も売ってしまおうと勧めます。
戸惑いつつも懐かしい昭和のモノたちに囲まれて気分も盛り上がり、売ることにしたなっちゃん。 オフコースやアリス、イルカの楽譜を丁寧に拭いて出品すると、これがどんどん売れるのです。
いや本当は勝手に売るなんてダメ、お兄ちゃんの了解を得てからやるべきことです。私もお客様には絶対そう言います。
が、正直何十年もほったらかしのお兄ちゃんにも責任はあります。
今後、お兄ちゃんが勝手に売ってしまった事実を知っても、ここは妹の親友なっちゃんの活躍に免じて「ありがとう」と言ってほしいなと思ったりしています。
二人は売れたお金で京都から漬物を、明石より焼きアナゴをお取り寄せして、ちょっとリッチな晩餐を楽しみます。 いい!これいいですね! 死んだように横たわっていたモノたちが動き出して漬物や焼きアナゴになるなんて素敵!
私たちと同じようにモノにも活き活きとしてほしい。
そう、それが「本当の整理収納アドバイザーの願い」だから。