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「終幕のロンド もう二度と、会えないあなたに」に観る整理収納

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ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。

小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからはそのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。

今回取り上げたドラマは草彅剛さん主演の「終幕のロンド-もう二度と、会えないあなたに-」です。
草彅剛さんはドラマも映画もつい観てしまう俳優さん。そのきっかけは「僕と彼女と彼女の生きる道」でした。アイドルとしての彼しか知らなかった私はその圧倒的な役としての存在感他に驚き、すっかりファンになってしまいました。最近は朝ドラ「ブギウギ」での好演は記憶に新しいですね。映画では「ミッドナイトスワン」で日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞されています。

主人公の鳥飼樹(草彅剛)は、シングルファザー。妻は生まれて間もない息子を遺し、急逝していた。もとは仕事人間だった樹だったが、 今は自身も依頼した遺品整理の仕事に就き、6歳の息子との暮らしも大切にしている。
遺品からの最後のメッセージを解き明かし、残された人へ出来るだけ届けたいと思っている樹と余命を知り、生前整理を依頼した母を持つ絵本作家の御厨真琴との出会いから物語が動き出す。

大切なモノをどこに置きますか?

第1話では遺品整理の現場での様子が描かれています。
依頼内容は孤独死した母親の遺品整理で、10歳の時に母親に捨てられたという理由から遺
品は全て廃棄してほしいというものでした。

樹は亡くなった母親の遺品と丹念に向き合い、息子が確認した方がよさそうなものを集め
ます。例えば、財布やスマホ、毎月欠かさず積み立てた息子名義の通帳や別れ際に息子から渡された絵など。それらの中には息子の名前が書かれた涎掛けをかけた古びたクマのぬいぐるみも入っていました。それは母親がいつも座っていた座椅子からよく見える場所に飾られていたことから、樹は母親が最も長い時間一緒に過ごしてきたのではと考え、その事を息子に伝えます。 最初は向き合うことを拒否していた息子でしたが、一つ一つ解き明かされる遺品からのメッセージに最後は温かい涙を流すことになるのでした。

大切なものをあなたはどこに置きますか? それはあなたが大切なものとどんなふうに過
ごすのかという問いと同じである気がします。

自分では意識していなくても、モノをそこに置くのは何らかの理由があります。
・すぐに手が届く
・出かける時に忘れない場所
・とりあえず置いておくのに便利
などです。
それとは別に特別に自分にとって大切なモノ、今あなたの頭に思い浮かんだそれです。それ
をあなたは今どこに置いていますか?
因みに私は目に見えるところに飾ってはいませんが、いつでもすぐに取り出せるところにし
まっています。
そして今回の母親の場合は、いつも座っている場所からいつでも見ることが出来る場所で
あったということなのです。
それに気づく樹は彼自身がきっとそうしているから気づいたのかもしれません。
亡くなった妻の写真はリビングのどこからでも目に入る場所に飾られていました。

モノが紡ぐものがたり

現場に初めて入っていたスタッフの久米ゆずは(八木莉可子)は、
「寂しかっただろうな」とつぶやきますが
「そうとは限りませんよ」と樹は話します。
確かに部屋を見渡すと朝食の用意された食卓、仲間と笑顔の写真、大好きなカップラーメンなどがあり、そこにはいつもと変わらない毎日の暮らしがあり、死の暗いイメージはありません。
むしろ暮らしの延長線上に死があるのだということを感じます。
昨日まで日常の中で普通に使われていた「モノ」たちは、持ち主が亡くなればたちまち「遺
品」になります。それらのモノたちは持ち主と共に人生というものがたりを紡いできたはずです。 樹は遺品整理という仕事は楽な仕事ではないけれど良い仕事だと同僚に話しています。
そして遺品整理は「橋渡し」なのだとも。亡くなった人と残された人とをモノが繋ぐ。素敵な橋渡しだなと私は思います。
さて、この亡くなった母親の年齢は58歳。なんと私と同じ年齢です。その設定に軽くショックを受けながらまさしく身につまされる第1回のエピソードだったわけですが、自分にとって大切な人に残したいモノや思いは整理できているかなと改めて考えました。
あなたはどうですか?樹のセリフを借りていえば、「昨日まで自分を待っていてくれた人が明日も待っていてくれるとは限りませんから」 本当に、その通り。

文・みのわ香波
ひつじPlanning主催 整理収納アドバイザー。
ドラマを観る時は「ながら観」はせず、できれば一人でじっくり派。
登場人物の観察からの妄想がルーティン。
ドラマは「暮らしを切り取ったもの」、整理収納は「暮らしそのもの」
「映画に観る整理収納」「ドラマに観る整理収納」(ブログ専用ver)はひつじPlanningのちょっとずつお片付けでゆるっと掲載中。
終幕のロンド-もう二度と、会えないあなたに-

放送:関西テレビ 毎週月曜 よる10:00〜
脚本:高橋美幸
音楽:菅野祐悟
出演:草彅剛、中村ゆり、八木莉可子、塩野瑛久、長井短、小澤竜心、石山順征、永瀬矢紘、要潤、国仲涼子、古川雄大、月城かなと、大島蓉子、小柳ルミ子、村上弘明、中村雅俊、風吹ジュンほか