旅の空から PR

オリンピックダイバーな私。屋久島一人旅へ。 (前編)

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

地球が好きな写真家 伊藤華織が、旅の空で素敵な人生の出逢いを綴ります。

ダイビング。

母なる海よ。全ての生命を生み出したもう海への憧れは強く。しかし、泳げない私。

私の若い頃は看護師の中でもダイビングが流行り、泳ぎが不得意でも息継ぎせず、空気が供給されるダイビングには私も興味を持った。

横浜在住の時の私は、同僚の紹介で横浜のダイビングショップでライセンスを取る事とした。

皆さんご存知??

の通り、はい。形から入るタイプ。
※以前の文章にも書きましたが、

初級コースのダイビングライセンス取得講習は全4回。

1回目は映像を観て学ぶ机上の講習。
2回目は深度のあるプールでの実習。
3、4回目は海洋実習。

というプログラム。

第1回目にして心膨らませてフルオーダーのウエットスーツやら、BCDという空気の入るジャケットやら、レギュレーター(口に咥える圧縮空気のボンベと繋ぐ管)やらフル装備を購入する。

しかし、2回目のプール実習にて既に挫折。

私、、、

水に顔つけるの嫌いだった。。。
泳ぐの下手だし、むしろ泳げないという部類に近かった事を思い出す。

しかし、インストラクターさんから優しく教えていただき。
机上で学んだ水中でのコミュニケーションを取り合う為のサインの練習を水中で実際に行う。

海中でマスクが外れた時の為の訓練に水中でマスクを外し、目を開けマスクを再装着しマスク内に入ってしまった水を鼻息で外に追い出すマスククリヤー。潜行、水中で重石を外したり着けたりする訓練などをした。

頭で考え、先ず呼吸を整えてやってみる。ふがふが、何度も鼻から水が入ったり息苦しかったり水中で眼を開ける辛さなど、とにかく大変だった。

なんだろう。。。

こんなに苦しくて大変なんだ。。。

これはなんなんだろう。

。。。。

そうか。

想像は無重力で自由。スイスイ潜り海の生き物たちを見て感動できると、私は思っていたのか。水の抵抗も、ボンベからしか息ができない不自由さも。水の抵抗を感じながら海中を泳ぐ事も。

そうか。私の空想は、その行為の質感までは体感してないのか。当事者にならないと分からないもんだと良く言うが。私はその典型だったな。

と、これを書いている今、分かった、私の思考過程よ。。。

想像は無限。思ってもできない事があるのはそこなのね。。。

そして、2回目の実習で3回目の海洋実習の日をブルーになりながら決める。

3週間後、朝4時起きで準備するであろうスケジュール。
悪天候や海流の具合で海洋実習は中止となる事もあるとのこと。

日にちが近づくにつれ、悪天候で延期にならないかしら〜と思いつつの海洋実習前日。

延期の連絡を待ち望み。当日朝まで来ず。

海の恐怖も相まってか、少々、風邪気味??体調が万全では無い感じがして、朝、欠席する旨、グズグズお断りする。

そうして、石の上にも3年とは良く言うが。

伊藤華織の上には、仕事の繁忙などの言い訳を自分にしながら、そのまま4年くらい経ってしまうのでした。

機材は新品のまま。。。

しかし、職場の同僚がダイビングの話をしていて、この同僚の後押しもあり。やはりこれはやらねばと一代決心をして、第3回、第4回の海洋実習を決死の覚悟で行い初級ライセンスを取得する。
その後、関東近郊ダイバーとして、伊豆や三浦海岸や、葉山の海でダイビングをする。

しかし、余り良くない年だったようで波が海底をうねるのか、浅瀬でも波の動きが荒く、昆布などにも絡まる。

ボンベを背負っているので浅瀬でも、浮力を利用するため海中を泳ぐのだが、浅瀬にて浮力のバランスもとれず、前にも進まずバタバタして過呼吸になってしまったり、体を岩にぶつけてみたり、した。

そして、葉山湾はウミウシというカラフルな可愛い神秘的な妖精のようなナメクジ型の生物を楽しめるのだが、ある時の葉山湾で同僚と他2名とインストラクターと潜った際には。

悪天候で何度か延期になり、ようやくダイビングができるという事で潜ったが、、、

湾ながらの海底の砂が巻き上がっており、波も荒く視界は1メートル。

潜るのも大変だったが、はぐれないように全員手を繋がされ、流されないように昆布をしっかり掴んだりしていた。

たまたまその日集った人は波酔いし途中で私の手から離れ浮いて行ってしまったが、

何度も延期を繰り返していた手前なのか、インストラクターさんは私たちにウミウシを見せようと濁った海底を血眼になって探している。

視界1mという事は、インストラクターさんの足に付けるフィンから膝向こうはもう見えないという具合。

迷わないようにインストラクターの側に寄るが、フィンで蹴られるか、姿が見えなくなるかの過酷なダイビングを体験した。

そして、私はまた休眠する事となる。。。

後編では、いよいよ。いざ屋久島へダイビングの旅へ。

文・写真・伊藤華織(Kaori Ito)集中医療・救急医療の現場で看護師として25年間従事する。
生と死の迫る医療の現場で自身が感じた、生きることの 稀有さ、そこに宿る喜び、失うものへの愛情と感謝を被写体を通して伝えたいと、写真家・映像作家に転身。
2011年より病院の緩和ケア病棟でのポートレート撮影活動をスタート。2020年、コロナ禍による病院の面会制限強化に伴い、家族すら会えない個室で過ごされる患者の方に向けた映像配信「ハートフルビジョンプロジェクト」を企画。死への不安や、孤独などによる不眠が少しでも和らぐように、朗読映像を制作し配信活動を行う。

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。